いつか、私宅の野原にある雑草の名前を教えてくれて、その草が食べられる草かどうか、そしてその料理法や薬効もレクチャーしてくれる人に出会いたい。こちらに来て以来、ずっと願っていたことがやっとかないました。
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雑草研究家の前田純さん。(合)つむぎてのメンバーです。稲沢で雑草を栽培し、「和菜」という名前で販売。お茶や、野草味噌もつくっています。大学で雑草学を学び、雑草の世界に魅せられた彼。話が面白くて、伺いたいことばかりなので、一人で聞くのはもったいなくて、「草を採り草を食べ草の話を聞く会」を開くことにしました。
友人、知人に呼びかけると、すぐに定員いっぱいに。草に興味を持つ人がこんなに多いのか、とびっくりしました。
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雑草採取地は私宅の野原。「雪割草ガーデン」と名付け、2年前から、ガーデンらしき場所に生まれ変わらせようと友人知人といっしょに、おりおりの草刈り、草取りを始めました。そして野菜やハーブを植え、なんとか庭の体裁をほんの少し見せ始めたのですが、ともすれば草に負け、現在もこのありさま。
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でも、この野原が、草にとっては最適のすみかを選べる場所になっていたらしい。
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美しい花束はカキドオシ。どこにでもある草ですが、薬効もあり、香りがよくて食べられる草。こうして摘むと可憐です。
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この草は、ウシハコベ。普通のハコベに交じって、育っています。
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こちらがハコベ。柔らかくて、食べやすそう。
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ハルジオンです。稲武ではまだ花が咲いておらず、上のほうの葉っぱを摘みました。つぼみのお浸しは絶品です、と前田さん。たくさん摘めたら食べてみよう。
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ヨメナです。まだうちの庭には育っていないようなので、前田さんが自分の雑草園で野菜同様に栽培しているものを持ってきてくださいました。
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カキドオシです。花と葉を分け、どれも葉はすべて火を通しました。
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薄紫の色が美しい。
カキドオシの多い場所には、ゲンノショウコも育っています。前田さんが下見にいらしたとき、「もしかしたらゲンノショウコそっくりのアメリカフウロかもしれない」とおっしゃったのですが、すぐに調べた結果、本物とわかり安心しました。
植物にも動物と同じように擬態する性質があり、ある植物にそっくりの別の植物がそのすぐそばで生息するということがよくあるそう。例えばミツバそっくりのウマノミツバ。ミツバという名前がついているのに、葉が五枚に分かれているのだそうです。稲そっくりで稲作の邪魔者とされる稗も同様、擬態。稲と同じ環境で育つようどんどん変化し、何千年と生き延びてきたのだそうです。稲がある限り彼らは健在ですが、この世から稲が消えたら、かれらも消滅の運命にあるということです。
草の話はつきることなく続き、摘みながら調理しながら、みなさん、前田さんの話を興味津々で聞いていました。
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シロツメグサの花。こちらも葉は蒸して。花はサラダにちらしました。
うちの敷地内には、シロツメグサも赤ツメグサもたくさん育っているのですが、彼らは、いじめられるほど増える習性のある植物だそう。だから人間が草を刈る機会の多い場所ほど、クローバー系は元気なのだとか。いわれてみれば、よく歩きまわる場所ほどこのクローバーは豊富。ということは、いじめられないと増えないということでもあり、たしかにめったに行かない場所には皆無です。
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料理好きが集まったので、手際よく調理は進みました。
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嫁菜ごはん。ちりめんじゃこと塩を混ぜたものですが、かなりおいしい。
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料理指導は前田さんなのですが、おまけとして、わたしも雑草入りおやき風パンを作って、みなさんに食べてもらいました。おやきの具は、シロツメグサ、ハルジオン、ハコベ、タマネギ、ショウガ、油揚げ、麩。味付けはしょうゆ、みりん、塩、ケチャップで。癖のない雑草を選んだせいか、これは結構好評でした。
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こちらは雑草スコーン。バジルペーストを入れたスコーンのレシピを改変して、雑草ペーストを作って生地に混ぜました。使った雑草は、カキドオシ、セリ、三つ葉、西洋タンポポ。いずれもあくが少し強くて香りのいいもの。でも、バジルのインパクトに比べると香りも味も弱いので、バジルスコーンに入れるペーストの量の3倍入れました。でも、まだ雑草の味は弱い。ペーストをつけて食べたら、草を食べた満足感がやっと得られました。
スコーンを載せたお皿は、前田さんたちつむぎてが企画した銘々皿。草で染めた和紙にこんにゃく糊を塗ったのだそうです。なかなかかわいい。
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こちらは、スコーン生地を薄く伸ばして低温で焼いたクッキー。こちらも草の強さが感じられず、がっかり。
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さて、できあがった草料理の数々。今回はあえて天ぷらはせず、それぞれの草を味わってもらおうと、蒸したり、炒めたり、汁に入れたシンプルな料理ばかりです。サラダも、各自オリーブオイルと塩を好みの量だけかけていただきました。
予想外だったのが、味噌汁に入れたタンポポの葉。味がないほどではなく、かといって癖はほとんどなく、ただの青菜として食べられました。
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前田さんが開発した、シロザから作った品いろいろ。ボールペンやボールペン立て、クロモジがわりの小さなナイフ。これまで私は草木染めを通して、草の魅力をつたえたいとおもっていましたが、草にはさらに多岐にわたる可能性がありそう。おもしろい。
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最後にどんぐり工房で撮った集合写真。草を摘み、草を調理し、草にまつわる話に興じた貴重な一日を過ごすことができて、みなそれぞれ満足げ。次は、夏か秋、開く予定です。
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雑草研究家の前田純さん。(合)つむぎてのメンバーです。稲沢で雑草を栽培し、「和菜」という名前で販売。お茶や、野草味噌もつくっています。大学で雑草学を学び、雑草の世界に魅せられた彼。話が面白くて、伺いたいことばかりなので、一人で聞くのはもったいなくて、「草を採り草を食べ草の話を聞く会」を開くことにしました。
友人、知人に呼びかけると、すぐに定員いっぱいに。草に興味を持つ人がこんなに多いのか、とびっくりしました。
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雑草採取地は私宅の野原。「雪割草ガーデン」と名付け、2年前から、ガーデンらしき場所に生まれ変わらせようと友人知人といっしょに、おりおりの草刈り、草取りを始めました。そして野菜やハーブを植え、なんとか庭の体裁をほんの少し見せ始めたのですが、ともすれば草に負け、現在もこのありさま。
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でも、この野原が、草にとっては最適のすみかを選べる場所になっていたらしい。
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美しい花束はカキドオシ。どこにでもある草ですが、薬効もあり、香りがよくて食べられる草。こうして摘むと可憐です。
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この草は、ウシハコベ。普通のハコベに交じって、育っています。
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こちらがハコベ。柔らかくて、食べやすそう。
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ハルジオンです。稲武ではまだ花が咲いておらず、上のほうの葉っぱを摘みました。つぼみのお浸しは絶品です、と前田さん。たくさん摘めたら食べてみよう。
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ヨメナです。まだうちの庭には育っていないようなので、前田さんが自分の雑草園で野菜同様に栽培しているものを持ってきてくださいました。
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カキドオシです。花と葉を分け、どれも葉はすべて火を通しました。
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薄紫の色が美しい。
カキドオシの多い場所には、ゲンノショウコも育っています。前田さんが下見にいらしたとき、「もしかしたらゲンノショウコそっくりのアメリカフウロかもしれない」とおっしゃったのですが、すぐに調べた結果、本物とわかり安心しました。
植物にも動物と同じように擬態する性質があり、ある植物にそっくりの別の植物がそのすぐそばで生息するということがよくあるそう。例えばミツバそっくりのウマノミツバ。ミツバという名前がついているのに、葉が五枚に分かれているのだそうです。稲そっくりで稲作の邪魔者とされる稗も同様、擬態。稲と同じ環境で育つようどんどん変化し、何千年と生き延びてきたのだそうです。稲がある限り彼らは健在ですが、この世から稲が消えたら、かれらも消滅の運命にあるということです。
草の話はつきることなく続き、摘みながら調理しながら、みなさん、前田さんの話を興味津々で聞いていました。
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シロツメグサの花。こちらも葉は蒸して。花はサラダにちらしました。
うちの敷地内には、シロツメグサも赤ツメグサもたくさん育っているのですが、彼らは、いじめられるほど増える習性のある植物だそう。だから人間が草を刈る機会の多い場所ほど、クローバー系は元気なのだとか。いわれてみれば、よく歩きまわる場所ほどこのクローバーは豊富。ということは、いじめられないと増えないということでもあり、たしかにめったに行かない場所には皆無です。
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料理好きが集まったので、手際よく調理は進みました。
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嫁菜ごはん。ちりめんじゃこと塩を混ぜたものですが、かなりおいしい。
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料理指導は前田さんなのですが、おまけとして、わたしも雑草入りおやき風パンを作って、みなさんに食べてもらいました。おやきの具は、シロツメグサ、ハルジオン、ハコベ、タマネギ、ショウガ、油揚げ、麩。味付けはしょうゆ、みりん、塩、ケチャップで。癖のない雑草を選んだせいか、これは結構好評でした。
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こちらは雑草スコーン。バジルペーストを入れたスコーンのレシピを改変して、雑草ペーストを作って生地に混ぜました。使った雑草は、カキドオシ、セリ、三つ葉、西洋タンポポ。いずれもあくが少し強くて香りのいいもの。でも、バジルのインパクトに比べると香りも味も弱いので、バジルスコーンに入れるペーストの量の3倍入れました。でも、まだ雑草の味は弱い。ペーストをつけて食べたら、草を食べた満足感がやっと得られました。
スコーンを載せたお皿は、前田さんたちつむぎてが企画した銘々皿。草で染めた和紙にこんにゃく糊を塗ったのだそうです。なかなかかわいい。
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こちらは、スコーン生地を薄く伸ばして低温で焼いたクッキー。こちらも草の強さが感じられず、がっかり。
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さて、できあがった草料理の数々。今回はあえて天ぷらはせず、それぞれの草を味わってもらおうと、蒸したり、炒めたり、汁に入れたシンプルな料理ばかりです。サラダも、各自オリーブオイルと塩を好みの量だけかけていただきました。
予想外だったのが、味噌汁に入れたタンポポの葉。味がないほどではなく、かといって癖はほとんどなく、ただの青菜として食べられました。
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前田さんが開発した、シロザから作った品いろいろ。ボールペンやボールペン立て、クロモジがわりの小さなナイフ。これまで私は草木染めを通して、草の魅力をつたえたいとおもっていましたが、草にはさらに多岐にわたる可能性がありそう。おもしろい。
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最後にどんぐり工房で撮った集合写真。草を摘み、草を調理し、草にまつわる話に興じた貴重な一日を過ごすことができて、みなそれぞれ満足げ。次は、夏か秋、開く予定です。