アンティマキのいいかげん田舎暮らし

アンティマキは、愛知県北東部の山里にある、草木染めと焼き菓子の工房です。スローライフの忙しい日々を綴ります。

「つむぎて」の圃場を見学しました。

2019-06-15 11:07:02 | 小さな旅
    雑草料理研究家の前田純さんが所属している合同会社つむぎて。こちらは主に、耕作放棄地の活用を目指して、さまざまな取り組みをしています。以前から、長久手市にある彼らの圃場を前から見学したいと思っていたのですが、先日やっと実現できました。

   お邪魔した圃場は二つ。一つ目は、当日、市内の福祉施設の職員と入所者が大豆の種まき作業に来ていた場所。遠くに大きな商業施設の見える田園の一角です。圃場周辺に咲き誇っているのは、ニンジンの花。つむぎてのメンバーの一人、さやかさんが大好きな花なのだそうです。

    昨年採取した大豆の種。

    久しぶりにちゃんとした土いじり?をしました。30センチほどの間隔をあけて種をまくのですが、ゆがんだり、間隔が狭くなったりしないようにこんな道具が用意されています。

    一般の農家の方も、こういう道具を使うのでしょうが、彼らの道具は独特。古い糸巻きです。藍染めした糸と布を使っています。

    大豆と小豆のほか、余った場所には藍も植えました。

    こちらの畑から車で10分ほど走ったところに、彼らの多分最も大きな圃場があります。

    「つむぐ草の畑」と書いてあります。看板通り、こちら草の生育場所です。

    山というか丘のふもとにある、原野。でもよくみると、きわめて丁寧に整備されています。写真中央に見える藁の屋根の家が、ずっと見たかった草の家です。

   敷地の周囲に作った水路。はじめは暗渠を掘ったつもりだったのだそうですが、いつの間にか湧水が流れ出し、水路に。こちらには古代米がうえてあります。

   さやかさんのいう「植物の病院」。弱った苗が運ばれ、ここでしばらく育てています。

   「病院」の片隅。ここだけ深く溝が切ってあって、焚火をした後の炭が敷いてあります。

    この圃場で主に育てているのは、セイタカアワダチソウとススキ。必要な雑草を残して不要の草を取り除くという、選択的除草をしてきた結果、このように、みごとに一種類だけの草地ができました。それでも、人間の通る道際の草は生育が悪いそうです。

    森の真ん前にある味噌蔵。竹で作ってあります。1年半前、この地を借りたときは、一面原野。山側は竹がはびこっていました。その竹を伐り、ススキを刈ることから始めた彼ら。伐り倒した竹やススキを利用して、この味噌蔵と、竹の家を作りました。

    竹の組み方や屋根を葺く作業は本職におそわりながら、試行錯誤。竹の柱は、地中に数センチしか埋めていないそうですが、びくともしません。コンクリートで固める代わりに、土と灰を入れて鎮圧しただけなのだそう。後ろ姿はさやかさん。

     かやぶきは、ほんとうは先端を上にしたほうが長持ちするのだそうですが、そういう葺き方はとても難しいのだとか。だから出来上がった屋根は上下さかさまあり、になっています。

     藍の畑。森に近いので、昨年イノシシに全部やられたとか。

     草の家。

     内部です。竹の骨組みを作って、上からススキを葺いたものなのですが、こちらの家は、地面に置いただけ。でも、昨年の2度の台風で、何の損壊もうけなかったそうです。

     別の建物の中に築かれたいろり。いま、石窯も製造中。

     木立の中のハンモック。長久手市は、稲武に比べたら3度から5度は気温が高いとおもうのですが、木陰はとても過ごしやすいそうです。

     最近はめったに見なくなったハハコグサ。選択的除草のおかげで、あちこちに群落ができています。しかも背が高い!

     竹で作ったドームの手前、茶色に枯れている草は、レンゲソウ。一面のレンゲ畑にしたくて、ただいま種ができるまで、草刈りを控えているところだそうです。

     つむぎてのメンバーは4人。野草味噌や野草茶の販売、味噌作り、野草料理、藍染などのワークショップの開催などの精力的に活動しているほか、昨年末からはセイタカアワダチソウの販売も手掛け始めました。セイタカアワダチソウは、アメリカンネイティブの間で聖なる薬草として大事にされている草。無農薬無肥料のこの草を刈り取って乾燥させ、袋詰めは福祉施設に依頼しています。

     まるで「草の苑」とでもいった風情の広い草の畑。ところどころに道や階段が作ってあるので、野原とは大違いなのですが、もともとこの場所にあった草が前よりのびのびと生育できているようで、気持ちのいい光景が広がっています。さやかさんの話では、最初この土地にあったのは、背丈ほどのススキ。刈り取っていくうちに、さまざまな別の種類の草が芽を出し、育ったのだそう。このあたりでもあまり見かけなくなった山帰来の蔓を手にして、さやかさんはうれしそうでした。

     自然をそのまま保護するのではなく、人間にとって有用の植物を生かすために自然を壊さない工夫をする。不要の植物は何とかして使う努力をする。あくまで人間の暮らしに役立つように考えるさやかさんたちの試みは、とても面白く興味深いものです。この夏は、育った藍の葉を塩もみして染め付けるワークショップを開くとか。都合が合えば、ぜひ参加したいとおもいます。
      
      
   
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石窯で遊ぶ会、楽しみました。

2019-06-15 09:14:42 | 稲武のモノ・コト・ヒト・バ
   6月8日、数か月ぶりの「稲武の大きな石窯で遊ぶ会」を開きました。昨年は、2回も台風で中止。今年は無事開けるかだろうかと心配しましたが、小雨程度の雨が少し降ったくらいですみました。

   今回来てくださったのは、豊田市街地のほか、設楽、東栄町、遠くは安城から20数名の大人と子供たち。お父さんたちも参加くださいました。

   作ったのは、ピザ、大きなカンパーニュ、野菜たっぷりのスープ、スコーン。いつもと同じメニューですが、石窯やかまどでの料理は、火との勝負。毎回、出来具合が違います。

   ピザの具、今回は野草をいろいろ用意しました。

   前日私の草の庭から採ってきた三つ葉、セリ、ウド。当日朝、かまどとピザ担当のキヨミさんが自宅庭で採ったオレガノとクレソン。ウドは、新芽のあるやわらかい部分や青い皮を刻んでキンピラにしたものです。もっとも子供たちの口に合わないとおもわれるので、別皿にとって、各自でトッピングしてもらいました。
 
   久しぶりに見る窯の火。暑くもなく寒くもなく、窯遊びには打ってつけの日でした。

   欲張って野草を入れすぎたため、ちょっと水気が出てしまいました。でも、やっぱり窯で焼いたピザはおいしい!

   窯の近くにあるかまどでは、大きな鍋を仕掛けて野菜スープを煮ます。スープは昆布だし。やさいのほか豆も入れた具だくさんのスープです。でも、ついうっかりして鍋の様子を見そびれていたら、何と鍋の中の汁けがほとんどなくなっていてびっくり。慌てて水を入れて煮直しました。せっかくの昆布だしがみんな蒸発してしまったかも、とおもったのですが、参加者からは、「スープおいしかった!」「昆布だしがきいていた」と絶賛の声が。おかわりもたくさんしていただきました。よかった!

   お昼ごはんは東屋の中やかまどの近くでおもいおもいに。子供たちは、広い空き地や木々の間で、遊びまわっていました。

   昼食の後、窯に入れて30分ほどで焼けたカンパーニュ。ライ麦と全粒粉が半分入った、素朴な黒パンです。焼き立てを切って味見したら、大人にも子供にも好評でした。最後にまな板に残ったひと固まりをじっと見ていた男の子が、「パン残っているよ」と指摘。「残っているけど、食べたい?」と尋ねたら、おおきくうなづきました。小さく切り始めたら、ほかの子供たちも寄ってきて、瞬く間になくなりました。黒パンは、日本人にはあまり好まれないというし、黒パンを売る店は少ないのですが、石窯の会ではいつも、みんな口をそろえて「おいしい」と言ってくださいます。うれしいことです。

   石窯のある豊田市の施設ハウスポニーの建物の裏手。前にあった小屋が全部取り壊され、遠くの山々が見えるようになりました。すがすがしい風が吹き通ります。

   石窯遊び、最後はスコーンを焼いて終わりです。今回は、クルミとカカオニブ入りと、甘夏ピールとリンゴの塩煮入りの2種類を作りました。何度も言いますが、石窯で焼いたスコーンは、火が程よく通り、味も食感も抜群です。でも、この日はちょっと焼きすぎて、風味が少し飛んだように思いました。

   毎回、何かしらの失敗(今回は鍋を見なかったこと)とか、不足とかやり過ぎ(主にパンの発酵に関して)があって、反省すべき点が必ずある石窯遊びですが、終わるといつも快い疲れとともに充実感を味わいます。調理や洗物にいそしんでいただいたお母さんたちのかわりに、子供たちの相手をしていたのはもっぱらお父さんたち。いささかお疲れの表情が見えましたが、まずまず満足の一日を過ごしていただけたようです。次の石窯遊びの会は、秋。おって、詳細を告知いたします。なお、5組以上の方のお申し込みがあれば、日にちを調整のうえ、開催しますので、お気軽にご相談ください。 
    
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