やあよのブログ

コツコツと詩を書いています。楽しく読んでいただければうれしいです。

ファースト・インスピレーション

2022-05-31 12:21:01 | ポエム
週末 彼女とカラオケに行った
僕が熱唱したあと 彼女が歌ったら

僕の歌がくだらなく思えた
彼女の歌は涙が出るほど真面目で

カラオケで感動なんてはじめて
僕も彼女の歌った歌を歌いたいと思った

現実と理想と空想の境目のない僕と違って
彼女はリアリストで現実性が多分高いんだ
直観で僕のこと 真面目だって見通した彼女を
僕は最初から愛してた

いろいろなことをよく知っている彼女
僕なんて忙殺されて 世界中のこと ろくに知らない
けど 彼女のことならわかるんだ
多分 生まれる前から知っていた

僕の慕情は 彼女のためにあった

彼女のためにあった…


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名前のない土地

2022-05-31 04:32:17 | ポエム
 そこは名前のない土地だった。どこまでもどこまでも田が続く。ひたすら広い平地に水を張った田が続くのだ。僕の車での一人旅はそんなところに行き着いた。一人旅の最終日だった。私道があるだけでバスも電車も走ってなく、電柱には町名ももちろんなかった。
 田の端に墓場があった。新しい墓ばかりが田の角にいくつも立っている。そんな田が多く見られた。そのあたりには寺も斎場もない。人が死ぬとその集落で葬儀も行わずに土葬で墓に埋める。墓石はどこかから持ってきたのだろう。火葬にしなくても田の水が遺体を侵すのだ。
 その土地の人たちはあまり貨幣を持たない。自給自足では済まずに近くの集落から米以外の物を調達するのだ。盗むのではなく、貰ってくるのだ。
 その名前のない土地に住む人たちは、自分たちの暮らしや生活を疑っていない。僕の住む町では土葬は違法になることも知らない。
 僕は車での一人旅を終えて、いつもの町に帰ってきた。僕の住む町だ。途中都市部を通過したとき、信号待ちの横断歩道の脇を浮浪者が通った。いつか僕の町で浮浪者が殺された事件が報道された。僕はそんなことを浮浪者を脇に見ながら思い出した。
 いま自分の部屋でPC前にいても、一人旅の最終日に見た情景を思い出す。名前のない土地。よく眠れずにそのことを今日は書いた。まだ夜明け前、外は雨だ。5月最後の日のひんやりとした空気。僕の傍らで飼っている猫が休んでいる。こんな日常を愛している。
 
 


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