中国の白酒(バイジュウ)はアルコール度数が五十度を越える。
蒸留酒なので作り方は日本の焼酎とだいたい同じなのだけど、白酒は独特の甘い香りがする。
ひと口に白酒といってもピンきりなのだけど、高い白酒は口当たりがよくておいしい。もっとも僕は酒に弱いのであんまり飲めないのだけど。おちょこで何杯か飲んでいるうちに、急に眠気が襲ってきてダウンしてしまう。記憶が飛んでしまい、どうやって帰ったのかわからないことも何度かあった。タクシーに道端で何度も止まってもらい何度も吐きながらほうほうのていで帰ったこともある。
普段、白酒ばかり飲んでいる中国人に日本酒や日本の焼酎をお土産にして渡してもあまり喜ばれない。彼らにしてみれば度数が低すぎて酒を飲んでいる気分がしないのだ。
ところでちょっと怖い話を聞いた。
なんでも、中国に住んでいる日本人の死因の約四〇%はこの白酒が原因なのだとか。
中国人の宴会に参加すれば、決まって白酒の乾杯が始まる。文字通り一気に杯を干す。お猪口でやるのが基本だけど、これが延々と続くものだから、白酒を飲み慣れない日本人は急性アルコール中毒になってやられてしまうのだ。お酒の強い人は平気だろうし白酒で大いに楽しめばいいのだけど、お酒に弱い人は気をつけたほうがいいかもしれない。
白酒(バイジュウ)怖い。
(2013年11月21日発表)
この原稿は「小説家なろう」サイトで連載中のエッセイ『ゆっくりゆうやけ』において第271話として投稿しました。
『ゆっくりゆうやけ』のアドレスは以下の通りです。もしよければ、ほかの話もご覧ください。
http://ncode.syosetu.com/n8686m/