風になりたい

自作の小説とエッセイをアップしています。テーマは「個人」としてどう生きるか。純文学風の作品が好みです。

豆腐のタイ風チリソースがけ(連載エッセイ『ゆっくりゆうやけ』第368話)

2017年08月12日 06時45分45秒 | 連載エッセイ『ゆっくりゆうやけ』
 家族で上海料理のレストランへ行ったとき、おいしい豆腐料理があった。たぶん、その店の創作料理なのだろうけど、家庭でも簡単に作れるので、上海人の義母が時々作って出してくれる。
 まずはパン粉をフライパンでかりかりに炒める。お好みに合わせて、ガーリックスライスをいっしょに炒めてもいい。豆腐一丁まるごとを皿にのせ、豆腐のうえに炒めたパン粉をのせる。そのうえから、タイ風チリソースをかければできあがり。タイ風チリソースはタイ物産展で買ってきた。
 さっぱりしているし、ぴり辛だから暑い夏は食も進む。ビールをひと缶開けて、つまみにするのもいい。
 なお、レストランでのこの料理の名前は「你没吃过我的豆腐」というものだった。直訳すれば、「あなたはわたしの豆腐を食べたことがないのね」となる。もちろん、この訳は間違いではない。だが、中国語で「吃豆腐(豆腐を食べる)」とは、「おっぱいを触る」という意味の隠語でもある。豆腐のやわらかい感触から乳房を連想するわけだ。
 なので、この料理名は「あなたはわたしのおっぱいを触ったことがないのね」というのが正確な訳になる。なんとも直截な誘惑の言葉だ。豆腐料理にこんなネーミングをつけるのも、上海っ子のユーモアといったところだろうか。







(2016年8月1日発表)
 この原稿は「小説家なろう」サイトで連載中のエッセイ『ゆっくりゆうやけ』において第368話として投稿しました。
 『ゆっくりゆうやけ』のアドレスは以下の通りです。もしよければ、ほかの話もご覧ください。
http://ncode.syosetu.com/n8686m/


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