中国では店によってタバコの値段が違う。
僕はいつも「中南海」という銘柄の八ミリグラムのタバコを吸っているのだけど、今住んでいる広州の近所のコンビニではひと箱七元(約百十五円)なのに、近所のタバコ屋で買うと六・五元ですむ。タバコ屋でカートン買いすれば、さらにほんのすこし割引してくれる。これが広州郊外の工業団地のタバコ屋になるとひと箱六元で売ってくれる。同じタバコなのだけど、近所のコンビニと郊外のタバコ屋ではひと箱の値段が一元(十六・五円)も変わってしまう。
同じ銘柄のタバコの値段の違いは、店舗の地代などが値段にも反映しているからなのだろう。日本はどこへ行っても同じ銘柄のタバコは同じ値段だから、同じ銘柄のタバコの値段が変わることはありえない。中国のほうがコストに正直で資本主義的だ。全国どこでも同一銘柄同一価格という日本のほうがよっぽど社会主義的なのかもしれない。
(2014年2月22日発表)
この原稿は「小説家なろう」サイトで連載中のエッセイ『ゆっくりゆうやけ』において第285話として投稿しました。
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