恋は始めたばかりが勝負。
女の子の心は恋のときめきで溶けているから、わりと素直に男の子のいうことを聞いてくれる。自分の色に染めることができる。冷静に考えれば、どうして僕なんかの言うことを聞いてくれるのだろうと思ったりするのだけど、むずかしいことは考えないことにして、女の子は僕の色に染めてもらうのを待っているんだ、と思うことにしている。
わざと僕のわがままをいろいろ言ってみる。
自分の好きな食べ物や好きな映画を勧めた時に、はにかみながらうなずいてくれたりすると、「かわいいなあ」って思ってどきどきしたり、嬉しくなったり。ちょっとした魔法使いの気分になって、
「もっともっとボクの色に染まれ」
なんて思ってしまう。もちろん、あんまり調子に乗りすぎると女の子は息苦しくなってしまうから、そこは気をつけないといけないのだけどね。なるべくやさしく、やわらかく。フォークダンスでリードするみたいに。
僕は上手に恋をできるほうではないし、不器用な恋しかしてこなかったのだけど、初めのうちに男の子の色でたっぷり染めたあげた恋のほうが、長続きするような気がする。
こんな考えは、やっぱり男のわがままかな?
(2011年1月16日発表)
この原稿は「小説家なろう」サイトで連載中のエッセイ『ゆっくりゆうやけ』において第73話として投稿しました。 『ゆっくりゆうやけ』のアドレスは以下の通りです。もしよければ、ほかの話もご覧ください。
http://ncode.syosetu.com/n8686m/