スペインでは法律上の結婚可能年齢が十四歳から十六歳に引き上げられたそうだ。日本で言えば、今まで中二で結婚できたわけだ。世の中いろんな国があるんだなと思う。
人口増加を抑えるために晩婚を奨励している中国では婚姻法で男性は二十二歳以上、女性は二十歳以上と定められている。
ところが、農村では法律より若い年齢で結婚していたりする。以前、農村の結婚披露宴に出た時、新郎は二十歳、新婦は十九歳だった。
「ねえ、中国の法律だと結婚できないんじゃないの?」
僕は披露宴に連れて行ってくれた中国人の友達にこっそり訊いた。
「そうだけど、わたしのふるさとはみんな二十歳くらいで結婚しちゃうわよ」
「でも、結婚届はどうするの?」
「みんな先に結婚しておいて、結婚届を出せる年齢になった時に役所へ行って手続きをするの」
友人は当たり前でしょという顔をして説明する。
「なるほどね」
本人同士が「結婚」してそれで倖せに暮せばそれでいいことなのだから、婚姻届を出すのが数年遅くなってもべつにさしさわりはない。法律よりも自分たちの習慣のほうが優先するんだなとあらためて思った。
(2013年4月13日発表)
この原稿は「小説家なろう」サイトで連載中のエッセイ『ゆっくりゆうやけ』において第231話として投稿しました。 『ゆっくりゆうやけ』のアドレスは以下の通りです。もしよければ、ほかの話もご覧ください。
http://ncode.syosetu.com/n8686m/