広東の地では夏が始まってから二か月経った。
亜熱帯の暑さと容赦ない湿気にやられ、夏バテになってしまった。気分はグロッキー。体がだるくてしかたない。この地では、夏はあと三か月も続く。早く「秋」にならないかなあと思う今日この頃。
とはいえ、だるいとばかり言ってもいられない。やらなければならないことは山ほどある。小説も書かないといけないし、働いて生活の糧も得なくてはならない。女の子と遊びにだって行きたい。栄養のつくようなものを食べてばてた体を元気にしようと思ったのだけど、はたと迷った。
もうすでに体に栄養はついている。お腹にたっぷり養分がたまっているのだ。これ以上栄養をつけたら、ズボンが入らなくなってしまう。顔にだって養分が十分ついている。これ以上太ったら、崩れかけの顔の線が本格的に崩れてしまう。
困った。
(2011年7月12日発表)
この原稿は「小説家なろう」サイトで連載中のエッセイ『ゆっくりゆうやけ』において第115話として投稿しました。 『ゆっくりゆうやけ』のアドレスは以下の通りです。もしよければ、ほかの話もご覧ください。
http://ncode.syosetu.com/n8686m/