「皆さん、このマークは何でしょうか?」
6月初旬、梅雨の合い間の晴天に恵まれたある朝、
その日のツアーは、こんな質問から始めてみました。
配布した行程表には、この質問のためにマークを幾つか並べています。
「さぁ、どうですか? 小学校で習いましたよ」
この日のツアータイトルは「マルベリー摘み」。
そして行き先は、京都北部の綾部市です。
マルベリーとは桑の実のこと。
そして、それがヒントでもありました。
「わかった。…桑畑!」
さすが、間髪入れず、正解が出ました。
桑畑の地図記号。私自身もツアーの準備をするなかで、
そういえば小学校で習ったなぁ…と思い出したのですが、同時に不思議な気がしました。
地図記号になったということは、それほど身近にあったということ。なのに…。
実は、事情があり、去年の秋から桑の木を探し続けました。
「桑の木のあるところ、ご存知ないですか」
周囲に訊きまわり、園芸業者さんを訪ね、市役所にも問い合わせ、
神戸にある桑の木幼稚園にも行ってみました。
そうして半年かけて、宝塚・川西・神戸周辺でやっと見つけた桑の木は、たったの3本。
今や桑畑など消滅寸前なのです。
なぜ桑の木を探していたのか…は、さておき。
本日の目的地、綾部はかつて何鹿(いかるが)郡と呼ばれ、養蚕が盛んでした。
そこから生糸をつくる会社として郡是(グンゼ)が生まれました。
そのグンゼのOBさんらが由良川沿いに200本ほど残る桑の木畑を借り受けて、
一年にわずか一週間、マルベリーファームとして開園しているのです。
濃い紫に熟し、たわわに実るマルベリー。
目を輝かせるお客様とは対照的に、私の関心はもっぱら葉っぱのほう。
これであの子たちを飢えさせないですみます。
「こんなに桑の木がいっぱいあるとこ、もうないですよねぇ」
お世話になったグンゼのOBさんにしみじみ言うと、「ないない」と即答されました。
そして、気づきました。
新しいものにまったく興味がなく、かといって歴史にも疎い自分が
ほとんど唯一こころ惹かれるのは、たとえば桑畑のような風景なのです。
失われつつある風景。
近い過去。
これからは、そういうものを追いかけてみようと思います。
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