銀ステ根なし草

銀のステッキ旅行・スタッフの雑記帳

94歳のHの生きる喜び、それは

2019年01月17日 | Hの生きる喜び、それは

うちのばーちゃんは大正14年生まれの94歳
じーちゃんを亡くしてからも、ずっと元気に暮らしています

とは言え、いよいよ足元もおぼつかなくなってきたので
少しでも元気なうちに旅行にでも連れて行ってあげようか、ということになり
先週末、父母、そしてばーちゃんと、4人で温泉旅行に行ってきました

ばーちゃんにとっては、久しぶりどころか何十年ぶりかの旅行
じーちゃんが大の旅行嫌いで、何かと厳しいじーちゃんが元気な時は
一切外に出してもらえなかったのです
でも、ばーちゃんは出かけるのが大好きで、この日を楽しみにしていた様子

車で1時間以内で行ける、東吉野の温泉にしました
「ここ、婦人会で行ったわ。湯盛温泉やろ」
婦人会…?ということは半世紀以上前!
「ここに大広間があってな、みんなでずらっと並んでん
夕食に、鮎の串焼きが出たわ」
へえ、よく覚えてるね

最近のことはよく忘れてしまうようですが、昔のことは細かいことまでよく覚えています

旅館に着くやいなや、ばーちゃんが向かった先、それは・・・

フロントの一角にあるパンフレットコーナー

もちろん自力では歩けないので、車いすを自分で動かしながら向かって行きました

お部屋に行こう、と車いすを動かそうすると
「まだ見てるねん」と動こうとしません
すみからすみまで、読みこんでいます

旅行なんて、とても行く余裕がなかった時代に生まれ、
行ける状況じゃなかったいろいろな事情があり、
やっと行けるようになったら、自分はすっかり年を重ねていた

今、目の前にズラリと並んだ色とりどりの旅行パンフレットや観光チラシは、
ばーちゃんにとって、夢の世界

行く途中の車中でも、県地図を持って、
地名とてらしあわせていました
身内の私が言うのも何ですが、勉強熱心です!

94歳、あきらめるどころか
まだ見ぬ未来を追いかけています

-ここ楽しそうやな
-次はここ行きたいな

ばーちゃんがこの旅行で一番楽しかったこと、それは

ロビーの窓いっぱいに広がる吉野の山と清流の風景、ではなく
地元の幸がいっぱいのお料理、でもなく
大きな檜風呂と、露天風呂、でもなく
地元の物がいろいろ並んだお土産物コーナー、でもなく
道の駅のお買い物、でもなく

夢がぎっしりつまったパンフレットを目の前に、
知的好奇心と夢をふくらませる時間、だったのではないかと思います

東吉野まで来たのに、、?

宿泊じゃなくても良かった、、、⁈

(新聞も大好き)

もちろん、お料理も驚くべき食欲にてほぼ完食!
道の駅でもたっぷりお買い物して
おしゃべり好きなので、旅館のスタッフの方ともたくさんしゃべって、
結果、どれもこれも楽しんでくれました

帰り、家が近づいてくると

「もう帰んのか・・? あそこに新しいお店ができたみたいやから
行ってみたいねん」と早速パンフレット研究をして、
行きたいところがでてきたようです

あんまり遊びすぎたらアカン、次にしとこな、と両親にぴしゃりと言われ
ぼちぼちと家に帰ってきましたが

家に帰るやいなや、持って帰った大量のパンフレットを
庭で日向ぼっこしながら、再びゆっくり眺め始めました

次はどこに行きたいのかな?
ばーちゃんの夢はまだまだ広がりそうです

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