期待していたが二ナはあれ以来こない、一応義理を果したということか、それとも危険で身を隠しているのか。ニナはジャンキーだ期待している方がどうかしている。フィリップスはナイジェリア人でプッシャーだがスタッフはやらない。ここで信頼できるのは彼しかいない。
年内、大使館の面会がないとクリスマス、正月はそんなに余裕はない、大使館も年末は多忙だろう。ヨーロッパ各国の収監者はクリスマスを前にして連日大使館員の面会を受けていた。面会から戻って来る者は一様に大きな袋を下げている、ここでは手に入らないお国の食べ物や冬用衣類とお金だろう。白人でも国によって事情が違う。先進国といわれる国の者は10ルピーもするビリを頻繁に吸っている。ポーランド人のダニエルは大使館員の面会や援助がない、野菜を買うお金もないから食器を洗ったりしてグループに残っているようだ。ぼくは幸いなことに自分のお金を持っている。ジャパニーはお金を持っている、という点について信用があり不自由はしていない。かなり借金をしているのだがそれでも黙っていても何か必要なものはないかと親切に言ってくれるアフリカンがいる。だがフィリップス、スリランカ人その他の親切な者も何れぼくに大金が入る事を知っているからだ。パールガンジ警察署に保管されている私物の返還請求を私選弁護士を通して裁判所へ提出する予定だが近く実現しそうになった。現金、小切手を合せて約3000ドルぐらいはあると思っている。そんな事でもなかったら誰もぼくを助けてくれないだろう。地獄の沙汰は金次第、刑務所の沙汰も同じく金次第と言う事か。