刑務所に収監されている者はただの犯罪者であるが一人の人間でもある。その人間としての人権は守られなければならない。だがそこに大きな落とし穴がある。その人権を利用して刑務所内のアフリカン・ドラッグ・シンジケートは麻薬の網を張り巡らせ生き続けている。もし裁判所が医療的検査であるとして全員の身体検査(肛門を含む)を行えば組織は壊滅する。スタッフはポンプされ肛門内にあるのは刑務官達が知っている。インドはいつその部分にメスを入れるのだろうか。
マリーに頼んでいたモスキートネットが手に入った。ベッドの4隅の棒に紐を掛けるだけで使える。扇風機の風を長時間、肌に直接受けるよりネットを通した方が風が柔らかくなり身体に良いだろうと思った。まだ生きようとする気持ちが残っている。食欲もある。夜、9時頃チャーリーがアフリカ料理を作ってくれた。トマトとトマトピューレのスープにソヤビンを入れた簡単な料理だがそれにアタをつけて食べる。アフリカ人の主食アタは高カロリー食品らしい。外房の角で火を使って煮炊きをしているのを巡回の刑務官が見ても何も言わない。
裁判は全く進んでいない。古い審理書類が山積され弁護士も成す術はないのだろうか、あれ以来一度も顔を見せない。フィリップスの動きもない。時間だけが過ぎていく。第1刑務所に収監されて8ヶ月が経った。ぼくの気持ちの中から早く出所するという望みは失われそうだ。
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