さっきアップした患者さんもそうする予定ですが、私は抜歯即時植立を患者さんがOKと言えば、ほぼ100%して来たDRです。
その理由としては、手術を何回もされるのが好きな患者さんは1人もいない、と言うことに尽きます。
しかし、抜歯即時植立は今なおハードルが高く、日常的にされる先生は少ないようです。
そこで今日は、私の考えるコツのコツをブログにします。
それはたった2点です。
まず第1点、抜歯即時植立で最も大事なことは、病巣を取り切ることです。
これが出来ていないから、インプラントが感染を起こし、脱落すると言う不幸な事態を招くのです。
次に大事なことは、抜歯後の骨の形態をしっかりと把握して、インプラントの植立位置決めをすることです。
これは、言葉で聞くと簡単そうですが、実際には骨の形態が斜面になっているので、それに左右されないできっちり真っ直ぐ植立する、と言う技術の高さを要求されるものです。
この2点をしっかりと理解して、チャンと対応できれば、抜歯即時植立であっても、通常のインプラント植立手術と変わらない成功率を上げられるはずです。
これでブログ終わりにしたら、多分叱られると思いますので、具体的手技に関しても書きます。
それではまず抜歯に関してですが、抜歯する歯根の状態を把握して、歯根の形で綺麗に抜歯することを目指すべきです。
これはどう言うことかと言うと、骨を傷付けないことを目指して、歯根を分割して抜歯することを推奨する考え方がありますが、その考え方に私は異論があるのです。
歯根を分割するなら必ず形態を考えて、抜歯する時に邪魔になる部分とそうでない部分に分けて素直に抜けるようにすべきです。
ただ分割すれば良いと考えて、闇雲に行ってしまうと、感染源である歯根の先端だけが骨の中に残ってしまって、それを取り除くのに結局骨をかなり削らないといけない、と言う大変に困った事態を招きかねないからです。
問題は、日本人の歯根は殆どのものが彎曲している、と言うことで、それへの配慮がないと、非常に拙い事態を招いてしまいます。
歯科用CTがあるなら、歯根の形態を充分に把握して、素直に抜ける方向を見抜いているべきです。
大臼歯とかの場合なんかでは、特に近心根が曲がりも強いし、内側が凹んでいたりするしで、先端が割れて残存したりしたら大変です。
3根とかを1つずつ分割して素直に抜くことを丁寧にやるべきです。
私は、そうしてペリオトームを用いて、歯根膜の隙間を丁寧に広げて、骨から歯根が浮き始めるまで頑張って、素直な方向に抜いています。
ピエゾのチップでやるのも最近は少しだけしています。
これも非常に有効だと思います。
とにかく抜歯で大事なことは、一塊で取り切ること、で割れた破片とかを骨の中、それも深い所に残さないことです。
次に、病巣の除去ですが、徹底的に行う、と言うことです。
今はその為の細かい道具類も揃っていますので、面倒臭がらず、徹底的な掻爬をして下さい。
抜歯したら、原因がなくなったのだから骨は治る、と言うのは迷信です。
ある程度の大きさになれば、人の体の中は温かいし、湿気はあるし、栄養豊富だしで細菌にとっては天国のような環境です。
原因がなくなっても、ある程度大きくなってしまったら、それ独自で存在できるようになるものです。
ですから、骨の表面全部をこそぐようにして綺麗にする、これが大事です。
林先生とかチェン先生とかが勧めている、ロングダイヤモンドバーも良いです。
そして、いつも言いますが、拡大視野でちゃんと見る、と言うことが必ず要ります。
手探りで終わらせることなく、小さいミラーを使ってでも中をしっかりと見て、取り切る。
ここを妥協してはいけません。
これをちゃんとすることで、抜歯即時植立のトラブルは激減します。
しかし、私はそれでも心配なので、抗生物質の水溶液で洗浄することもしています。
シャネリック先生はドキシサイクリンを使っているそうですが、私はテトラサイクリンを使っています。
私は1カプセルを5cc程度の生理食塩水で溶かして、洗浄しています。
これだけ丁寧にすれば、もう大丈夫です。
続いて、インプラントホール形成です。
斜面への形成、と言う難題がありますが、これもロングダイヤモンドバーを用いて、邪魔している斜面をレールを作るように削ってしまって、それをガイドにして形成すれば大丈夫です。
斜面への形成は、どうしても骨のない方向に流れがちで、斜めになってしまいがちです。
それを防いで、ちゃんと形成したいなら、それを邪魔している所を取り除いてしまえば良いのです。
そうすれば、骨の面に階段状の引っ掛かりが形成できて、そこを基点として形成すれば良いので、非常にやり易くなります。
インプラントホールが形成できれば、植立になる訳ですが、ここでも骨のない方向へどうしても斜めになってしまう危険性を孕みます。
この場合のコツは、ずれないように横脇を押さえ付ける、と言うことに尽きます。
出来ればチタン製のピンセットの取ってとかできつく抑え込むのが良いでしょう。
又、使うインプラントの種類で、テーパー型になっているものを用いれば、やり易くなるので、それも一法です。
ストレートのインプラントを用いる時には、敢えてホール形成をテーパにするとかの工夫もありでしょう。
実は私はストローマンインプラントなので、この方法を使っています。
入口は広げておいて、中は細くなるようにする、これが良い初期固定効果を生みます。
後は所定の深さまでインプラントを植立して、周囲には骨とか歯茎が治るように処置して終わります。
基本はたったこれだけのことです。
何だ当たり前じゃないか、と思われるかも知れません。
しかし、当たり前のことを誰にも真似が出来ないくらいしっかりとやる、これが抜歯即時植立の成功のコツのコツです。
本当にちゃんと出来ていますか?
それなら、結果、成果は続いて出る筈です。
生意気ですが、私は出しています。
そこの所を、素直に聞いていただきたい、と思います。