最近思うんだけども、
『シティーハンター』の実写が發仔主演だったらどんなによかっただろうかと…
私だってジャッキーさんは好きですし、
テレ東の深夜に映画やってたら見ますよ、そりゃ。
だけど、初期の渋いハードボイルドなシティーハンターを
軽いタッチで再現してぴったりくるのは彼だけのような気がするのです。
「ママに遺言状の書き方を教わっときな」とか、言って欲しかったわけです。
なんて言いだしたのは、先週に引き続き『男たちの挽歌2』を観たからでありますが。
『男たちの挽歌』の正統な続編。
服役中のホー(ティ・ロン)に弟のキッドや、
タクシー会社のキンさんもちゃんとでてきます。
そして死んだはずの潤發の役もちゃんとあるわけだ!
一作目に比べると話の質は落ちますが、
アクションシーンでいうとこっちの方が断然上です。
はじめっから見なくていいから、とりあえず最後の銃撃戦だけ観て欲しい。
手下に組織を乗っ取られた上に娘を殺され、
さらには渡米して身を寄せた友人の神父まで殺され、
絶望から精神に異常をきたしてしまった元マフィアのボス・ルンが病から立ち直り、
警察から組織を壊滅させるために協力を要請され出所したかつての子分であるホー、
そしてルンを病から救った恩人であり、
前作で40発の銃弾を受けて散ったマークの双子の弟(!)ケンとともに、
組織のアジトに乗り込んでいく場面。
どんだけ撃たれても彼らは死にません。不死身。
でもいいんです。迫力があるから。
撃たれた敵が必要以上に飛び上がって倒れたって、
いいんです、派手だから。
ケンが、(マークの形見の)コートの穴に引っ掛けた手榴弾を投げた時の
あの爆発の迫力といったら!
あそこは映画史に残るスローモーション名場面です、間違いなく。
ホー兄貴が振り回す日本刀もグッドです。
ほかにも、ケンがヤンを守ってアパートの階段を滑りながら
二丁拳銃で応戦する場面も見所だし、
前作よりずっと大人になったキッドが、
潜入する組織の信用を得るためにひとりで偽札を奪い返すシーン、
先に組織のなかに入りこんだホーにキッドが
自分を撃つようにささやくシーンなども見せ場で、
人物のなかではキッドが一番おいしい役になってますが、その分犠牲は大きいと…
それでですね、マークはすでに伝説になっていて、
NYにいるホーの知り合いがマークの絵を描いて部屋に置いているんですが、
その中にシティーハンターの扉絵とまったく同じ構図の絵があって
驚いちゃったわけです。
扉絵は85年頃に描かれているので映画の方が後。
まさか漫画の影響はないでしょうが、なんとなくうれしいのでした。
今後はひとりで、漫画のあの回を実写にしたら…などと考えて楽しみたいと思います。
佐藤由美子登場の回あたりがいいなー、っつっても仕方ないか(笑)。
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さて、お話変わって、今度は太平洋の向こう側の映画について。
今年の中頃は偉大なミュージシャンの伝記映画が多かったですね。
『Ray』のレイ・チャールズ、
『五線譜のラブレター』のコール・ポーター、
そして『ビヨンド・ザ・シー』のボビー・ダーリン。
『五線譜…』はコール・ポーターの人生を舞台で上演すると見立てて
生涯を振りかえるつくりになってましたが、
『ビヨンド…』はボビー自身が彼の伝記映画に出演している設定で
話が進んでいきます。
ボビーを誘うのは、子供時代のボビー自身。
小さいころから心臓を患い、
十五歳まで生きられればいいほうだと言われていた彼の支えになったのは、
ショウガールだった母から教わった音楽。
「あなたはいつか、シナトラ以上のスターになるのよ」
コパカバーナの前に通りかかると母は彼にそう教え込み、
かくして彼の人生の目標は、尊敬し愛する母の望むスターになることと心に誓うのでした。
いまいち盛り上がりに欠けるというか、
人の人生を盛り上がるように描くこと自体難しい気もしますが、
わかりやすいクライマックスがあるわけではなく、映画は淡々と進んでいきます。
一番注目すべきなのはケビン・スペイシーのそっくり加減です!
歌も見事に歌いこなし、ダンスも軽やかに披露しています。
それだけで見る価値があると言えるでしょう。
話がかつらに触れる時はかなりどきどきしちゃいますが。
『ビヨンド』といい『五線譜』といい、
構成に懲りすぎて中身がぼんやりしてくるきらいがあります。
なぜ素直に人生を見せようとしないのでしょうか。
彼らの音楽や生い立ちは、変わったプロットで飾らなければ見せられないものなのかなぁ。
私は彼らの音楽の世界観を表現してくれればそれだけで十分映画たりえると思うのですが。
でも、最後の小さいボビーと一緒に踊るシーンはすごく素敵でしたね。
ウォールデン(彼の本名)は死んでも、ボビー・ダーリンは生き続ける…。
小さいボビーがウォールデンとして命を背負って旅立っていったように思える最後は、
美しく見えました。
確かこの映画が公開して何週かたった頃、
ボビーの奥さんであったサンドラ・ディーが亡くなっているはずです。
まるで、世の中に彼の名前が広まるのを見届けるように去っていくようで、
感慨深いものがありました。
彼女の台詞(実際にいったかどうかは分からないけれど)、
「観客は見た目だけで判断するものよ」という言葉は、
彼にとって本来の自分のあり方を気付かせるものだったと思いますね。
だからこそ、自分がスターを演じることに喜びと苦しみを同時に抱えていたことを
実感したのかもしれませんよね。