チャン・ツィイーと言えば、近日公開の『SAYURI』ですね。
彼女が日本の芸者を演じるにあたって、
違和感を持っている人はアメリカにもいるらしい。
なんて言ってるかというと「なぜ小雪を使わない?」だって。
やれやれという感じですが、
私が気になるのは、渡辺健の演じる会長役を、
キャスティング次第ではユンファ先生が演じていたかもしれないってことで。
それはツィイーとのツーショットの画像見ただけでもわかる。
「わー、これは潤發先生のハマり役のはずじゃん! 素敵!」
ですが、出なくてよかったかもね。
この手の映画はもう出る人なんて決まってる。
それにミシェル・ヨーも出てるし、
まるっきり『グリーン・デスティニー』ですもんね。
そんなわけで、『SAYURI』は置いておいて、『グリーン・デスティニー』です。
食わず嫌いでずっと避けてきたのですが、とうとう見ちゃいました。
女剣士シューリン(ミシェル・ヨー)の元に、
師にあたる剣の名手リー・ムーバイ(チョウ・ユンファ)が、瞑想の修業を中断し、
自身が持つ名刀・碧銘剣を手放し北京の名士に届けるように頼むところから始まるんですが、
そもそも、ムーバイが本当に剣を手放す気があるのか謎。
その他にも分からない点が多い。
貴族の令嬢イェンがこの剣を盗むけど、その意味も分かりにくい。
彼女は本当に剣の道を極めたいのか、
それとも自由な愛を求めたいのか、気持ちを抑えているのか。
すべてぼんやりしている。
万人向けに中国の伝統の描写を妥協するなら、完璧に妥協して
もっと登場人物の描き方に明確さを出していいんじゃないかと思う。
コメンタリーを聞いていても、悪役の死に方とか気にしてる問題が違う。
本当に意味の深い作品として世に出すならともかく、
スタンスがちょっと半端なのではないだろうか。
耐えて秘められた愛なら、もっとそれだけの圧力を感じたかった。
それに中盤の回想場面は、中だるみしているような気がする。
後でこの映画が二時間だと知って、本当に?と思ったほど。
三時間あるのかと思っていたから。
もしかしたら、もっと中国の思想の根底にあるものを理解していたなら、
そのそれぞれの繊細な気持ちを感じ取ることが出来たのかもしれないけど、
だとしたら、アカデミー賞を獲った理由はなんだったんだろう。
アジアのエキゾチックな要素ですか? ワイヤーワーク?
ワイヤーワークを否定したりはしませんが、私はあんまり好きではないなー。
というか、これだけ美しい映像なら、ワイヤーワークなんていらないのに。
有名な竹林での戦闘ももちろんですが、
ムーバイとシューリンのツーショットの場面の窓から見える竹林の美しさといったら!
そして、賊のローとイェンが馬で走る中国北部の広大な風景。
スタッフがCGと見紛うほどの現実離れした自然の神秘です。
撮影監督はピーター・パオ。
今まで見てきた『フル・ブラッド』や『狼…』なんかもこの人だったので、
妙に好感が持てたりして。
美しい背景にスクリーン映えする俳優たち。うっとりです。
ところでタイトルに【今週の亜州影帝】と入れなかったのは、
この映画の主役がチャン・ツィイーだからです。
当時はまだ知名度が今ほどあったわけではないけど、
この映画を見て心奪われる部分があるとすれば、チャン・ツィイーの活躍です。
酒場での戦闘シーンは最後のキメポーズで笑っちゃいます。
一番、香港映画的な場面な気もする。
イェンとシューリンの一騎打ちも素晴らしいアクションです。
可憐なチャン・ツィイーと成熟したミシェル・ヨーのアクション。
闘う女って素敵だ!
テレビで観てもよかったかなーなんて思ってたら、
12月16日に日本テレビで『グリーン・デスティニー』をやるそうです。
あちゃー! タイミング間違った!
これも『SAYURI』にあわせての放送なんだな。
なんで放送する可能性を考えなかったんだろう。
またよく見てその奥深さをしっかり考えますよ…。
それと、テレビ東京で12月9日には深夜に『非情の街』を放送します。
ティ・ロンさんとユンファ先生の『…挽歌』コンビですね。