私、駆け引きができないたちなので、恋愛もカードゲームもかなり苦手です。
ハッタリかますこととか出来ないんですよね。
だから、ギャンブルの話はすごく好き。憧れの目で見てしまいます。
そんなギャンブルの憧れ部分と、
ある意味『大丈夫日記』より笑えるズッコケ部分が混在した、
バリー・ウォン監督の『ゴッド・ギャンブラー 完全版』。
実在の人物を元にして、
潤發先生が負け知らずの伝説のギャンブラー〔賭神〕こと、
コウ・ジョンを演じています。
日本のヤクザとの対戦に勝利したコウ・ジョンは、
その腕を見込まれ、組の小宮山に、
チョウという指名手配されている狡猾な大物賭博師との勝負を依頼される。
対戦するには危険な相手だが、
組の行く末がかかっていることを知り、依頼を受けるコウ。
香港に戻り、コウは弟分のドラゴに代わってバカラの負けを取り戻すが、
そこで勝って受け取った大金の小切手をめぐって狙われるはめに。
ボディガードのロンの助けもあり、なんとか追っ手をまいたコウだったが、
足を踏み外して坂を転がり落ちてしまう。
実は、けちな博打に明け暮れるチンピラのトウ(アンディ・ラウ)が、
気に入らないインド人を罠にはめるために仕掛けた悪戯に
引っ掛かってしまったのである。
…はい。
ここまでだけでもいっぱい突っ込みどころが出てきますよー。
まず、日本での勝負。
鐸のなかにサイコロを6つ入れて、より小さい目を出した方が勝ちの試合で、
相手の、肩に入れ墨入った姉さんが出した目はなんと全て1の目。
そこでコウさんが勝つために採った勝負師らしい選択がちょっと笑えます。
そういうジョークみたいな結果で勝ちが決まってしまうのかー、
博打の世界も気が利いてるなー。
それに、トウが仕掛けた罠。
仕掛けてる最中は、そんなわかりやすい罠に引っ掛かる人いるんですかぁ?
と思って見てたんですが、
コウさん、見事に引っ掛かってました。
インド人が連れてる犬を見つめるだけでおとなしくさせてしまうような、
賭博師というかもはや催眠術師のコウさんが、
なんであんなちゃっちい穴にはまっちゃうのか。
そこをもっと透視してみなさい!と言いたくなっちゃいます。
きっと突っ込むことで成り立つんだわ、この映画って(笑)。
そしてコウさんは、トウと恋人のザン、弟分のウーグワイに助けられるんですが、
頭を打ったショックから、自分が賭神であることを忘れ、
さらには、10歳児並みの知性に退行してしまいます。
身元もわからないまま、大好きなチョコレートばかりねだるコウに、
トウたちは「チョコレート」と名付け、
自分たちの出入りする賭博場に連れていって、
持っている大金を使わせて儲けようとしますが、
そこで、彼らは「チョコレート」にギャンブルの才能があることを知るのでした。
このへんが潤發先生の役者魂を感じさせる部分ですね!
始めの、余裕の微笑みを絶やさない、
常に冷静でスマートな切れ者コウさんを演じる一方で、
ぼさぼさ頭でぼんやり口が開きっ放しの小学生みたいにになっちゃった
「チョコレート」のわがままな不貞腐れぶり、吹っ切れたような演技は、
二挺拳銃と並ぶ彼の真骨頂です。
取って付けたような記憶喪失ですけどね。
だからこそ賭神が余計かっこよくみえるってもんです。
ドラゴの負けを取り戻すシーンで、
相手の挑発を受けたコウさんの
「いい雰囲気になってきたな…よし、俺がやろう」
には痺れましたよ。
そのあとの勝ちっぷりも。
後半のチャンとの勝負も、結果は分かっていてもドキドキしますな。
カードを片手で散らせて、最後の一枚をピッと相手に投げ付ける、
…あれ、やってみたい。
はぁ。コウさんはかっこいいし、
チョコレートは可愛いし(実際面倒見るのは大変そうだが…)、
やっぱり潤發先生素敵だ!
(気になるんだけど、記憶の戻ったコウさんは、
自分のしでかした幼稚な言動に、頭抱えたりしないのかな?)
アンディも、三枚目のお兄ちゃん役で、
変にかっこつけた二枚目より私はこっちの方が好きです。
虎の威をかる狐キャラというか、強気だけど威張れるのはウーグワイにだけ。
(この弟分、見た目ブシェミみたいでおもしろいけど、
意外と兄貴よりしっかりしてそう)
トウはやんちゃなだけで根っからの悪者じゃないんだよね。
チョコレートを置き去りにする場面は、家族もの映画としても見られます(笑)。
彼女のザン=ジョイ・ウォンの可愛さを見るだけでも満足出来るし、
物語の完成度は低くても、見所は多いです(笑)。
バカラのトリックが妙に古めかしかったり、
悪者が時代劇ばりに
「これで私たちの勝利は間違いないですな…ワーハッハッハ」
なんて高笑いしたり、
全然意味のないスローモーションが多様されたり、
ちょっとどうかなーと思うところ多数ですが、
まあ、いいんじゃないですか、バリー・ウォンだし。
監督自ら出演もしてますが、監督の見た目と作品の色合いが
見事マッチしてる気がして、ひそかに笑っちゃいます。
確か、『狼…』にも、リーの上司役で出ていたような。
あとは、出ていると気になってしまう存在、
金貸し役のン・マンタもいい味出してます。
この作品はパロディと、
そのパロディをパクッてしまった続編の方がヒットしていますが、
下手に手を出してチャウ・シンチーにハマるのが恐いです。
何しろ世間の波に逆らって『少林サッカー』
(『カンフーハッスル』金馬奨受賞おめでとうございます)
も見ていない私。
ちょっと時間を置いてから見ようかと思ってます。
喜劇王まで追い掛けたら大変だ。
今は亜州影帝に浸かっていたいのよ。
ちなみに、今回の記事タイトルの台詞には、
あまりにかっこよすぎて、爆笑してしまいました。