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KARA COMPLEX『調教師』

2005-11-11 | stage
choukyoushi

10日は、ろくに仕事をせずに渋谷へ。
シアターコクーンで上演されている、『調教師』を観にいく。
唐十郎作、内藤裕敬演出のプロデュース公演。

唐さんの芝居は好きだ。
そうは言っても何冊か戯曲を読んだりしただけだし、
テント公演も一回しか観た経験がないのです。
それでも好きだといいきれるのは、かたちはなんであれ、
唐さんの作品に触れたあと、

これだ、これが演劇なんだよ
と目が醒めるから。

そして、こうしちゃあいられないと思う。
異様な劇空間に焦がれて、火傷のあとをつけたい、体に刻みたいと思ってしまいます。
要するに、見せ付けられたエネルギーに圧倒されて、
自分まで力が湧いてくるような感覚になるのです。

この作品が、はじめは小説として完成されたのちに
『透明人間』『水中花』という戯曲になって上演され、
今回再び『調教師』というタイトルで上演されていることなど、
私は何も知らないところから観始めて、
前半は
「やっぱりテントが醍醐味の唐演劇をコクーンでやっても合わないんじゃないか?」
と感じていました。

舞台上ではいきなり人間が焼鳥屋の二階でもみ合ってる、
なのに「臭さ」を感じない。清潔過ぎる。

保健所員の田口(萩原聖人)と上田という男が
なにやらモモ(黒木メイサ)という女について話し合っている場面から、
狂水症の犬が人を噛んだという知らせが届き、
その「時次郎」という犬の飼い主である調教師の合田、
革ジャンを着た男・辻(椎名結平)、犬に噛まれたマサヤという学生、
統合失調症の女調教師・白川(木野花)と、次々に人物が舞台に引き出され、
そのつながりが整理できないまま、モモの身代わりの女(峯村リエ)が現われて前半終了。

ところが後半に入ると、とたんに過去と人々がつながりを持ちはじめ、
嘘の現実が急に真実に見えてくる。
辻という男とモモ―それは焼鳥屋にいるモモなのか、かつて辻のそばにいた犬のモモなのかわからなくなってくる―
の間に起きた、誰が見たのかもわからないような曖昧な夢のような記憶が、
繰り返し口から吐き出されると、だれもが虚構の中に現実を見始める。

雨がふり、樋を伝って下手に水が流れ込んでくる、
そして水の中に、皆呑み込まれる。
唐さんお得意の水だけど、今回は青々とした水だ。

辻が、自分の命を水中花に例えるけれど、
唐さんによると、これは千夜一夜物語をモチーフにしている。
作品の中にいくつもの背景があり、合わせ鏡のように果てしない深さを感じる。

今回見て椎名結平がこの作品の中に馴染んでいるのが面白かった。
革ジャンが煙草を吸うところはどうやってるんだろうか。
黒木メイサちゃん、綺麗な足じゃった。
押された時の倒れ方がよかった!
萩原聖人って以外とたくさん芝居出ているんですよね。違和感なかった。

演出で気になるのは、大人数になったときの、その他大勢の
「え!」「ああ」という反応の仕方。
どうもあれには慣れません。
それ以外は大人数場面はよく出来ています。

今、原作って手に入るのかな。
これから改めて唐さんの勉強をしたいと思います。
コメント
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