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【今週の亜州影帝】Oh~、ベリーナイシー!!

2005-11-13 | movie/【今週のウチシネマ】
ユンファが歌う主題歌が頭から離れません。歌えるようになりたいくらいです。


誰が言ったか知らないが、
周潤發を好きになったものが、必ず一度は経験しなければならない映画、
それが『大丈夫日記』

私は、本当に潤發の映画が好きだと言い切れるようになったら、
この映画を観ようと心に決めていました。
なんとなく、刺激が強そうだからね。
そして今週、ついにその封印を解いたのです!

潤發演じる主人公・ファッツァイは「高給とり」の証券会社勤務。
雨の日に出会ったサリーとジョイ、ふたりの女性と付き合いだしたファは、
どちらと結婚すべきか悩んでいるところで、
ジョイに持っていた指輪を偶然渡してしまい、結婚に同意されてしまう。
それじゃあ、サリーとは別れるしかないと彼女に会いにいくと、
プロポーズされると勘違いされ、今度は指輪を渡される。
かくしてnoと言えないファッツァイの過酷な二重結婚生活が始まるのです。

あの、分かりにくいかもしれませんが、二重生活から寝不足のため、まぶたに目を書いています。この場面、なんか好きです…



はっきり言って、笑えます。
目を覆いたくなるような、ハラハラもののスクリューボールコメディ。
そしてチョウ・ユンファほどの人が、なぜこんな役を?と考えただけで
笑いが込み上げてきます。

これが『男たちの挽歌』のマーク?
これが『狼…』のジェフリー??
これが『アンナと王様』のシャムの王様???

この演技派俳優の欠片も感じられないマヌケっぷりはなんだ!

重婚がバレないように、その場しのぎで言い逃れ、
なんとか女たちをだまくらかし、しょっちゅう冷や汗タラタラ、
ビクビクしながら親友にすがる状況に陥っているにもかかわらず、
乗り切ると、妙に自信満々に
「ビック・マン(大丈夫)は俺だ!」と歌いだす陽気さ!
しかもその歌声もすばらしくヘタクソで最高!
ずり落ちたデカ縁メガネがまたまたマヌケさ倍増、面白すぎます!


酔った妻のご機嫌とりに、フランスパンを頭につけ、
眼鏡を逆にかけて「Drスランプ」の歌を踊り付きで歌いだしたときにゃあ、
そこまでバカやってくれると逆にかっこよくも見えてくるってもんです。


楽観的なのにピンチになると
「神様ぁ、僕が何をしたというんですぅ?」と嘆く、
そのコメディ的切り返しがすごいうまくて、
さすが!とも思えます。
ファが観てる側に語りかけてくるのも個人的にツボ。
(『フェリスはある朝突然に』と同じ。こういうの弱いんです。)


また、『男たちの挽歌』で、兄貴分だったマークを乞食同然に扱うボスを演じた
レイ・チーホン
が、親友の同僚役でファの重婚生活を支えるために、
身を粉にして奔走するのもまた痛快です。
いいように利用された挙げ句入院させられて、ファの写真をペンで刺しながら
「死ね! 死ね!」と言ってるのに、なぜかまた助けようとするところが泣ける!


チーホンよ、どうしてそこまでしてファを助ける!
これもまた潤發映画によくある友情の深さなのか??
(「お前とは前世で何かあったな」というようなファッツァイの発言があるので、
 おそらく、『挽歌』の頃の復讐をここでしているんでしょうね…)

あとは、ラジオをつけたファが、
「主演男優賞は、チョウ・ユンファです!」というアナウンスを聞いて
「またあいつかよー!」と言ってみたり、
『上海灘』の最終回を観ようというチーホンの婚約者に
「最後はユンファがババババって撃たれちゃうんだよ!」
と説明したりするご本人からのサービス付きです。


豪華女優二人(ジョイ・ウォン、サリー・イップ)が共演っていうのも贅沢。
ファと歌うシーンはすごくエレガントでかわいい!

クライマックスからオチまで、香港映画ならではのムチャクチャ加減ですが、
一度受け入れたらくせになりそうですよ。


とりあえず、観る気になった方は、
まず『男たちの挽歌』のマークの屈辱を観てから『大丈夫日記』を観ましょうね。
『男たちの挽歌』レビューはこちら

ここからマストバイ『大丈夫日記』!『男たちの挽歌』!



さて、ほかにも周潤發出演作を観ました。
まず『ストーリー・ローズ~恋を追いかけて~』
マギー・チャン演じる、ボーイフレンドにはこと欠かない美人学生ローズが、
大好きな自分のお兄さんのような男性に出会うまでを描いています。


兄と妹の再会



彼女が大好きな保護者代わりの兄貴は、もちろん潤發なんですが、
ローズの恋人ガミンと二役を演じています。

問題は、ローズは一体だれが一番好きなのか、
はっきり分からないんです。

初めて深く好きになった人とダメになったときに、
忘れるためにパリに留学すると言いだすけど、
そこまで入れ込んでたのか分からなかったし、
兄貴も兄貴で、ただ妹が心配なのかシスコン入ってるのかいまいち分かりにくい。

それで最後までひたすら雰囲気が暗くて、つらかった。
映画としてどういうスタンスで描きたいのか分かりにくいです。

あえて、ミーハー路線で観るならば、ガミンの笑顔満載なところ。
潤發の笑顔フェチは萌え~です。おそらく。
あとベッドシーンがたまりません(笑)。
次の日にローズとガミンが初体験の話をしてるとき、
「あなたはいつ?」とローズが聞くと
「うーん…昨日の夜」とおどけてみせるガミン。


ひゃー。


ところでまるっきりネタバレですが、
潤發の死に方の美しさがこの映画でまた拝めます。
なんであんなにも切なく死ねるんだろうか。
意識を失っていくまでのあの演技、悲しいよー。
余計暗ぁーくなってしまいました。


あと一本は『アゲイン/明日への誓い』
これは『男たちの挽歌』の前日談なんですが、
監督がジョン・ウーからツイ・ハークに替わったせいか、
まったく別物映画になってます。

マークがベトナムにいる、いとこと叔父を
女ボスの協力を得て香港に渡らせるんですが、
なんでホー兄貴の前日談じゃないんだろう。
続編である意味がない内容です。

あ、時任三郎が思いっきり吹き替えで出演していて、
なんで出てるんだろうかと思ってしまいました。
香港の日系の方でいいような。

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【今週の亜州影帝】完璧映画『狼/男たちの挽歌 最終章』

2005-11-13 | movie/【今週のウチシネマ】

亜州影帝ことチョウ・ユンファ周潤發にすっかり心奪われてから
毎週チマチマ出演作を観ているので、
すっかり【今週のウチシネマ】というか、【今週の亜州影帝】と化していますが、
ちゃんと他の映画も見てるんですよ、私。
でも観てもなんとなくうわの空。

この調子じゃ、好きな映画に出会えても、うっかり気付かないまま通り過ぎそう。
だけど、とっておきの映画はたいてい、
誰かに夢中になってるときにふいに出会ったりするものだ。

たとえば『博士の異常な愛情』にしても、そこにはキューブリック監督の、とか、
ピーター・セラーズの出演作で、という見えない前提がある。

彼らが関わっていることで出会った作品であると同時に、
はっきりと映画として純粋に気に入っていると言える。
だから、潤發が好きな今の私だって
最高の映画に出会えるチャンスがあるはずなんだ。


そう思っているときに観たのが
『狼/男たちの挽歌 最終章』THE KILLERだった。

killer2killer1



「男たちの挽歌」と入ってはいても、続編ではなく、
ジョン・ウー監督、ツイ・ハーク製作、チョウ・ユンファ主演の
三つ巴がまた揃っていることからついているだけで、
ストーリーもまったく異なります。

私の求めていた映画だ!
観始めてすぐに思った。
純粋に体がこの映画を喜んでいるのがわかる。
泣かされもせず、大げさな感動もしない、
でもどこかのパズルのピースがぴったりはまる。
私はこの映画を探してた!



組織のボスを襲撃する際に、誤ってある歌手の視力を失わせてしまった
殺し屋のジェフリー(チョウ・ユンファ)。
責任を感じ、彼女の角膜移植手術の資金を稼ぐため、
これを最後と、元・殺し屋の親友シドニーから暗殺の仕事を引き受けた。
ターゲットは中南米麻薬裏組織の大物・トニー・ウェン。

一方、VIPとしてドラゴンレースに招かれているトニーの警備に当たる
リー(ダニー・リー)という刑事がいる。

銃の不法取引のおとり捜査の最中に、通りかかった警官を目の前で殺され、
リーは犯人を追い、バスの中で男を射殺した。
彼にとっては追い続けていたヤマに決着をつけると同時に、
打たれた警官の復讐を果たす当然の行為であったが、
結果しか見ない上司は、民間人の中で銃を発砲したことを問題視し、リーを非難する。
納得できないまま渡された次の仕事で、彼は殺人犯のジェフリーを追うことになる。


ジェニーの部屋で再会する二人



殺し屋と刑事。
この相反する人間たちは、本来憎み合うべき相手なのに、どうしてか似ている。
いつかまた離れていくだろうふたりの、ひとときの友情。
なんて刹那的で、これ以上ないくらい美しいんだろう!

そして彼らは友人ともまた深い信頼関係を持っている。
ジェフリーに、体を張って仁義を通そうとするシドニー(チョウ・コン)、
リーを理解し、忠実に従うチェン刑事(ケネス・ツァン)、
たとえ一度憎みあうことがあっても、友情は変わることがない、
この二組の絆もまた熱く、魅力的。


この作品のすごいところは、実はもともとラブストーリーだったってこと。
元々は、殺し屋と歌手の恋愛がメインで撮影される予定だった。
ところが、ジェニー役のサリー・イップが歌手としての活動に専念するため、
なかなか撮影に入れなかった。
そのため、恋愛映画にするには女の出番が少なくなってしまうことに。

普通、そこから男同士の友情ものに移していくと、
どこかしら歪みが生まれるものですが、この映画ではまったく感じない。
もともとこういう映画だったとしか思えない完成度です。
私は見る前に、その事情をよく考えて観賞したので、余計に感心しちゃいました。

おそらくカットされたシーン



そして演出の確かさ。
ジョン・ウー監督は前にも書きましたが、本当にストーリー展開に無駄がない。
これはつまり物語の主流しか作らないということで、
粗捜しを始めたらボロボロ突っ込みどころは出てきますが、
それは「映画だからね」と見逃せる範囲内。
粗を捜すくらいなら、素晴らしい演出を目に焼き付ける方がどんなにためになることか。

はじめからサービス精神旺盛な銃撃戦、
ジェフリーとトニーの魂をダブらせる手法、
それに『リプレイスメント・キラー』で多様された、
「手前に人が通ると消える殺し屋」ね。
(『リプレイス…』はこれをお手本にしているんだね。それにしても雲泥の差が…)

ジェフリーのライフルを構えるタイミングから、
逃げた後狙われてることに気付くときの間合い(これがまたかっこいいんだ)まで、
すべてがベストと言える出来。
映画教科書あるならこれを一本まるごと掲載してもらいたいね。



もちろん潤發様もかっこよくて鼻血出ます。つつーっと。
どの作品よりも男前です。

女子供(カタギ)への優しさと、
殺し屋としての技術の高さを感じさせる演技にしびれます。
そしてジョン・ウーがインタビューでも語っていた、
裏切られた人間の表情は必見。
笑いとも悲しみともつかない複雑な感情が「再現」されています。アッパレ。

そんなわけで、この映画は私のベスト映画の仲間入り。
潤發映画でどれを観るべきか聞かれたら、これを薦めます。
で、気に入ったら『大丈夫日記』を薦めます(笑)!
『大丈夫日記』レビューはこちら

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