滞在八日目。
この日はCovent Garden駅へ。
三日目は駅の北側しか歩いていないので、
今度は南側の、コヴェント・ガーデン・マーケットを覗いてみました。
大きな地図で見る
コヴェント・ガーデンと言えば、"マイ・フェア・レディ"(原作は"ピグマリオン")でヒギンズ教授が花売りのイライザに出会う場所ですね。
シャーロック・ホームズが「青い紅玉」で、宝石を飲み込んだガチョウの売り手を探すために立ち寄った市場のある場所でもあります。
市場、といえばコヴェント・ガーデンというイメージがありました。
コヴェント・ガーデン・マーケットは北と南に2本のアーケードが走っていて、
その間は屋根がある地下からの吹き抜けになっています。
チェーン店の有名な雑貨屋さんやブティック、スイーツショップ、パイの専門店もあれば、
手づくりの雑貨や絵を売っているストールも入っています。
(実は以下の内装の写真は後日行った時の写真なんですが…)
外にはレストランやカフェがあり、
路上パフォーマーがマジックや大道芸を披露していていつも人だかりが出来ています。
パフォーマーは盛り上げ上手。
さっそくお腹がすいたので、ちょうど吹き抜けになっている場所で作っていたパエリアを買いました。
(これはちゃんとその日に撮った写真。)
一番小さいSmallサイズは4ポンド。
量はこのぐらい。↓
手のひら一杯分くらいでしょうか。
この吹き抜けに限らず、コヴェント・ガーデン周辺は鳩が多くて、
レストランのテーブルにも平気で近寄ってきます。
このパエリアの鍋の周りでもよく鳩が飛んでいまして…
絶対、羽か何かが中に入ってるはず…
でも美味しかったし、お腹も壊さなかったのでたぶん大丈夫。
ホットソースもお好みでかけられるので、
半分食べたところで使ってみたら、思いのほか辛かった…。
マーケットの傍にはアップル・ストアが。2フロアあってかなり広かった!
思わず写真撮っちゃったりして。
サンプルのiPadがたくさん置いてあるので、
急にネットで調べものをしたい時に立ち寄ると便利です。
さて、何故またコヴェント・ガーデンに寄ったかというと、
単に気に入っているというのもあるのですが、
(実際、この後も何度も立ち寄りますし。)
先日見た"The Recruiting Officer"の上演前に行われるティーチ・インのようなイベント、
"Mark Gatiss And Gawn Grainger In Conversation"があるからなのです。
Gawn Grainger氏は60年以上のキャリアを持つベテラン俳優。
今回の"The Recruiting Officer"では、Sylviaの父で判事のMr Ballanceを演じていらっしゃいました。
若い俳優が多い中、ひときわ存在感があり、
ユーモラスに演じていた様子がとても印象に残っています。
そのGrainger氏から、共演者のMark Gatissを聞き手に
彼の映画や舞台に置ける豊かなキャリアを振り返り語ってもらう、という内容なのです。
このイベント自体は滞在中に知って、即ネットで予約しました。
英国のベテラン俳優のインタビューを、劇場で聴けるなんて貴重な機会だし、
まさか肉眼でwもう一度Mark Gatissが見られるとは。
しかもチケットはたったの2.50ポンド!
本当に後々罰が当たるのではないかと、恐怖に震えましたw
すっかり歩き慣れたニール・ストリートを通って、再びDONMAR WAREHOUSEへ。
先日Markと写真撮ってもらったBox Office前。
入口の壁には公演の場面写真が貼られています。
開始15分前に到着した頃にはすでに開場していて、席は自由席でした。
先日観劇した際は下手の端っこの座席だったので、この日は上手側へ。
前から三列目の、若いお兄さんの横が空いているようだったので、
「誰かいますか?」と確認してから座りました。
(全く関係ないですが、お兄さんの使ってるハンドクリームがいいにおいだった…
ロンドンは女性だけじゃなく、男性からもいい匂いがするなあ…)
客席には年配の、おそらくGrainger氏の関係者を始めとして、
若い演劇ファンも多く来ていました。
中国人の女の子グループも見かけた…。たぶんシャーロック経由だろうな。
左隣に座ってる子は若い白人の女の子で、
ずっと手元のスケッチブックに絵を描いていました。
抱えてるコートは赤い縁取りのボタンホール…もしかしてベルスタッフ? まさかね。
そしてスケッチをチラっと見たら、描いてるのはベネディクト・カンバーバッチの似顔絵!!
この子は完全にシャーロック・クラスタだわ!!
でも話しかけるようなことはしませんでした。会話するだけの英語力ないし、スケッチに熱中してたようなので。
午後6時、Dapperなスーツ姿のMarkが登場し、イベントはスタート。
今回は聞き手ということで、見習うべきトーク番組の有名司会者たち(デヴィッド・フロストetc...)の名前を挙げていくMark。
最後に"Toby Hull and Emu"(鳥のパペットと、それを操る芸人)を挙げて笑いを取ってました。
本当に恐れながら、私の英語力ではGrainger氏の貴重なお話を100%拾うことは出来なかったのですが、
wikipediaの力を借りながら思い出しますとw、
Grainger氏は1937年、グラスゴー生まれ。ところが1940年に北アイルランドで生まれた説、もあって、
「二回生まれた」ようになっているのは、彼の実の父親が、両親の下宿人であったことが後になって判明したことに由来しているようです。
彼は(名義上の?)父が演劇に連れて行ってくれたことに感謝し、その経験が演技をする上で役に立っていると語っていました。
元々役者デビューの前から舞台のための脚本も執筆していて、21歳の時には初めて彼の脚本が上演されています。
俳優としてのキャリアを築いた後の80年代には、執筆活動に専念していましたが、
90年代、俳優に復帰。
彼のカムバックはハロルド・ピンターの強い要望があったそうで、
「何故演技に戻らなくちゃいけないんだ?」と訊くとピンターは「君は演技に借りがあるからだ」と言ったとか。
Grainger氏は67年に"Romeo and Juliet"のワールド・ツアーでブロードウェイデビューも果たしており、
彼のUK訛りがセクシーに受け止められて相当モテたらしく、
「まさしく私はロミオだったよ!」と仰ってましたw
また、Grainger氏はローレンス・オリビエとの親交が知られていて、
1972年にナショナル・シアターのカンパニーに参加しています。
オリビエが最後の舞台に立った時にもその場に立ち会っていたということで、
彼が舞台を去った時の様子を再現してくださいました。
舞台上のオリビエが歓声に応えるように、両手を大きく広げてゆっくりと客席に歩み寄り、
跪いて舞台にキスをするのです。
その再現がとても美しく、今でも目に焼き付いています。
Markのしきりっぷりも痛快でした。
後半になって急にアクターズ・スタジオ・インタビューのジェームズ・リプトンの真似をし始めるんです。
仏頂面で椅子に寄っかかるように質問を始めたので、
Grainger氏が「なんだい、それは?」と訊くと
「アクターズ・スタジオ・インタビューですよ、ほら、椅子の前に机があって司会者が大きい顔してて…」
って言いながら、今にもずり落ちそうな程椅子の上でふんぞり返って
番組で恒例になっている"10の質問"をし始めたので、皆爆笑!
「トム・クルーズならそんな回答はしませんよ?
なんだっけ…誰かトム・クルーズが何て答えたか覚えてる人ー?」
と客席に訊いてみたり。
そんなMarkのノリに負けじと、Grainger氏もジョークを交えつつ質問に答えていました。
Grainger氏は85年、George Stephenson(蒸気機関車の実用化に成功した英国の技術者)に扮して
DOCTOR WHOにも出演されているので、トークも終わりに近づくとMarkはすかさず
「DWに出演された時の、あのアクセントは何処で習得されたんです?」
とWHOVIANらしい質問も挟んでいました。
そして、最後に客席からの質問に答えるGrainger氏。
私が一番印象に残っているのは、役者志望の女の子からの
「オーディションを受ける役者の卵にアドヴァイスするなら?」という質問。
Grainger氏はまず一言、"Just do it."と答えました。
そして続けたのです。
「私は62年間俳優をしてきたが、素晴らしい人生であり素晴らしい人たちに出会えたよ。
Just do it. Go for it.」
その誇らしげな笑顔に、彼の人生の輝きを少し分けてもらえたような気分になり、
聞きに来た誰しもが、笑顔になっていました。
他にもアメリカのクイズ番組に出演するようになった経緯や、オリビエとの思い出話等もあり、
人間味豊かなGrainger氏のおしゃべりと、ユーモア溢れるMarkのしきりで盛り上がる中、
有意義な対話の時間はあっという間に過ぎていったのでした。
ちなみに終わって劇場から出ようとすると、反対側からめちゃめちゃ爽やかな青年が。
よく見てみたらMarkの旦那さん=Ian Hallard氏でした。
出口でガッツリ目が合ってしまい、あまりに素敵青年なのでドキドキしてしまったー…。
あんな旦那がいるなんて、どっちもズルい…。
女は一体どうすれば…どこに行けばいいんだ…と途方にくれながら、私は帰路に着いたとさ(笑)。
この日はCovent Garden駅へ。
三日目は駅の北側しか歩いていないので、
今度は南側の、コヴェント・ガーデン・マーケットを覗いてみました。
大きな地図で見る
コヴェント・ガーデンと言えば、"マイ・フェア・レディ"(原作は"ピグマリオン")でヒギンズ教授が花売りのイライザに出会う場所ですね。
シャーロック・ホームズが「青い紅玉」で、宝石を飲み込んだガチョウの売り手を探すために立ち寄った市場のある場所でもあります。
市場、といえばコヴェント・ガーデンというイメージがありました。
コヴェント・ガーデン・マーケットは北と南に2本のアーケードが走っていて、
その間は屋根がある地下からの吹き抜けになっています。
チェーン店の有名な雑貨屋さんやブティック、スイーツショップ、パイの専門店もあれば、
手づくりの雑貨や絵を売っているストールも入っています。
(実は以下の内装の写真は後日行った時の写真なんですが…)
外にはレストランやカフェがあり、
路上パフォーマーがマジックや大道芸を披露していていつも人だかりが出来ています。
パフォーマーは盛り上げ上手。
さっそくお腹がすいたので、ちょうど吹き抜けになっている場所で作っていたパエリアを買いました。
(これはちゃんとその日に撮った写真。)
一番小さいSmallサイズは4ポンド。
量はこのぐらい。↓
手のひら一杯分くらいでしょうか。
この吹き抜けに限らず、コヴェント・ガーデン周辺は鳩が多くて、
レストランのテーブルにも平気で近寄ってきます。
このパエリアの鍋の周りでもよく鳩が飛んでいまして…
絶対、羽か何かが中に入ってるはず…
でも美味しかったし、お腹も壊さなかったのでたぶん大丈夫。
ホットソースもお好みでかけられるので、
半分食べたところで使ってみたら、思いのほか辛かった…。
マーケットの傍にはアップル・ストアが。2フロアあってかなり広かった!
思わず写真撮っちゃったりして。
サンプルのiPadがたくさん置いてあるので、
急にネットで調べものをしたい時に立ち寄ると便利です。
さて、何故またコヴェント・ガーデンに寄ったかというと、
単に気に入っているというのもあるのですが、
(実際、この後も何度も立ち寄りますし。)
先日見た"The Recruiting Officer"の上演前に行われるティーチ・インのようなイベント、
"Mark Gatiss And Gawn Grainger In Conversation"があるからなのです。
Gawn Grainger氏は60年以上のキャリアを持つベテラン俳優。
今回の"The Recruiting Officer"では、Sylviaの父で判事のMr Ballanceを演じていらっしゃいました。
若い俳優が多い中、ひときわ存在感があり、
ユーモラスに演じていた様子がとても印象に残っています。
そのGrainger氏から、共演者のMark Gatissを聞き手に
彼の映画や舞台に置ける豊かなキャリアを振り返り語ってもらう、という内容なのです。
このイベント自体は滞在中に知って、即ネットで予約しました。
英国のベテラン俳優のインタビューを、劇場で聴けるなんて貴重な機会だし、
まさか肉眼でwもう一度Mark Gatissが見られるとは。
しかもチケットはたったの2.50ポンド!
本当に後々罰が当たるのではないかと、恐怖に震えましたw
すっかり歩き慣れたニール・ストリートを通って、再びDONMAR WAREHOUSEへ。
先日Markと写真撮ってもらったBox Office前。
入口の壁には公演の場面写真が貼られています。
開始15分前に到着した頃にはすでに開場していて、席は自由席でした。
先日観劇した際は下手の端っこの座席だったので、この日は上手側へ。
前から三列目の、若いお兄さんの横が空いているようだったので、
「誰かいますか?」と確認してから座りました。
(全く関係ないですが、お兄さんの使ってるハンドクリームがいいにおいだった…
ロンドンは女性だけじゃなく、男性からもいい匂いがするなあ…)
客席には年配の、おそらくGrainger氏の関係者を始めとして、
若い演劇ファンも多く来ていました。
中国人の女の子グループも見かけた…。たぶんシャーロック経由だろうな。
左隣に座ってる子は若い白人の女の子で、
ずっと手元のスケッチブックに絵を描いていました。
抱えてるコートは赤い縁取りのボタンホール…もしかしてベルスタッフ? まさかね。
そしてスケッチをチラっと見たら、描いてるのはベネディクト・カンバーバッチの似顔絵!!
この子は完全にシャーロック・クラスタだわ!!
でも話しかけるようなことはしませんでした。会話するだけの英語力ないし、スケッチに熱中してたようなので。
午後6時、Dapperなスーツ姿のMarkが登場し、イベントはスタート。
今回は聞き手ということで、見習うべきトーク番組の有名司会者たち(デヴィッド・フロストetc...)の名前を挙げていくMark。
最後に"Toby Hull and Emu"(鳥のパペットと、それを操る芸人)を挙げて笑いを取ってました。
本当に恐れながら、私の英語力ではGrainger氏の貴重なお話を100%拾うことは出来なかったのですが、
wikipediaの力を借りながら思い出しますとw、
Grainger氏は1937年、グラスゴー生まれ。ところが1940年に北アイルランドで生まれた説、もあって、
「二回生まれた」ようになっているのは、彼の実の父親が、両親の下宿人であったことが後になって判明したことに由来しているようです。
彼は(名義上の?)父が演劇に連れて行ってくれたことに感謝し、その経験が演技をする上で役に立っていると語っていました。
元々役者デビューの前から舞台のための脚本も執筆していて、21歳の時には初めて彼の脚本が上演されています。
俳優としてのキャリアを築いた後の80年代には、執筆活動に専念していましたが、
90年代、俳優に復帰。
彼のカムバックはハロルド・ピンターの強い要望があったそうで、
「何故演技に戻らなくちゃいけないんだ?」と訊くとピンターは「君は演技に借りがあるからだ」と言ったとか。
Grainger氏は67年に"Romeo and Juliet"のワールド・ツアーでブロードウェイデビューも果たしており、
彼のUK訛りがセクシーに受け止められて相当モテたらしく、
「まさしく私はロミオだったよ!」と仰ってましたw
また、Grainger氏はローレンス・オリビエとの親交が知られていて、
1972年にナショナル・シアターのカンパニーに参加しています。
オリビエが最後の舞台に立った時にもその場に立ち会っていたということで、
彼が舞台を去った時の様子を再現してくださいました。
舞台上のオリビエが歓声に応えるように、両手を大きく広げてゆっくりと客席に歩み寄り、
跪いて舞台にキスをするのです。
その再現がとても美しく、今でも目に焼き付いています。
Markのしきりっぷりも痛快でした。
後半になって急にアクターズ・スタジオ・インタビューのジェームズ・リプトンの真似をし始めるんです。
仏頂面で椅子に寄っかかるように質問を始めたので、
Grainger氏が「なんだい、それは?」と訊くと
「アクターズ・スタジオ・インタビューですよ、ほら、椅子の前に机があって司会者が大きい顔してて…」
って言いながら、今にもずり落ちそうな程椅子の上でふんぞり返って
番組で恒例になっている"10の質問"をし始めたので、皆爆笑!
「トム・クルーズならそんな回答はしませんよ?
なんだっけ…誰かトム・クルーズが何て答えたか覚えてる人ー?」
と客席に訊いてみたり。
そんなMarkのノリに負けじと、Grainger氏もジョークを交えつつ質問に答えていました。
Grainger氏は85年、George Stephenson(蒸気機関車の実用化に成功した英国の技術者)に扮して
DOCTOR WHOにも出演されているので、トークも終わりに近づくとMarkはすかさず
「DWに出演された時の、あのアクセントは何処で習得されたんです?」
とWHOVIANらしい質問も挟んでいました。
そして、最後に客席からの質問に答えるGrainger氏。
私が一番印象に残っているのは、役者志望の女の子からの
「オーディションを受ける役者の卵にアドヴァイスするなら?」という質問。
Grainger氏はまず一言、"Just do it."と答えました。
そして続けたのです。
「私は62年間俳優をしてきたが、素晴らしい人生であり素晴らしい人たちに出会えたよ。
Just do it. Go for it.」
その誇らしげな笑顔に、彼の人生の輝きを少し分けてもらえたような気分になり、
聞きに来た誰しもが、笑顔になっていました。
他にもアメリカのクイズ番組に出演するようになった経緯や、オリビエとの思い出話等もあり、
人間味豊かなGrainger氏のおしゃべりと、ユーモア溢れるMarkのしきりで盛り上がる中、
有意義な対話の時間はあっという間に過ぎていったのでした。
ちなみに終わって劇場から出ようとすると、反対側からめちゃめちゃ爽やかな青年が。
よく見てみたらMarkの旦那さん=Ian Hallard氏でした。
出口でガッツリ目が合ってしまい、あまりに素敵青年なのでドキドキしてしまったー…。
あんな旦那がいるなんて、どっちもズルい…。
女は一体どうすれば…どこに行けばいいんだ…と途方にくれながら、私は帰路に着いたとさ(笑)。