こんにちは。
余韻に浸り過ぎて英国旅行記の投稿は滞っておりますが、そうこうしているうちに2016年。
元旦には「SHERLOCK シャーロック」の最新作「The Abominable Bride 忌まわしき花嫁」が放送されました。
この作品は世界各国の劇場でも上映される特別編で、日本でも2月19日より劇場公開予定。
「シャーロック」はシャーロック・ホームズの冒険譚を現代に移したことで話題を呼びましたが、
今回は原作=聖典と同じヴィクトリア朝時代を舞台にしたスペシャル版です。
何故ここにきてスペシャル版なのか?
製作者のインタビューによると、この作品で世界的スターになった
ベネディクト・カンバーバッチとマーティン・フリーマンのスケジュールを含めて、
撮影の期間は1本分しかなかったとのこと。
今までであれば、3話あるうちの1話を撮って、時間を開けてから2話目の撮影に入っていたのですが、
同じシリーズのエピソードの撮影が開いてしまうよりは、特別な一本を撮影した方がいいのではないか?と考えたそうです。
元々、現代版としてヒットした後、製作者のスティーヴンとマークが取材等の際に
「シャーロックがネット環境やスマホを持っていなかったらどうでしょうか?」と聞かれ、
「そもそもホームズの時代はスマホはなかったし(笑)」と答えている中で、
舞台をヴィクトリア朝に戻すかと冗談半分で話していたそう。
主演のベネディクト本人は、ヴィクトリア朝が舞台のスペシャルと知って、
始めは「スティーヴンとマークの自己満足なのでは…」と難色を示したそうですが、
脚本を読んでみて納得がいったとのこと。
それに巻き髪で撮影をしなくていいと確認して満足したそうです。
ここまでは前置きで、ここからは本格的にネタバレエリア。
個人的に気に入ったところを中心に物語を振り返っていきます。
もうすぐ劇場公開されることですし、ネタバレ注意期間は今までよりも短くて済みますね!
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19世紀末、アフガニスタンで負傷したワトソン医師は、
ロンドンに戻り、聖バーソロミュー病院で共に過ごしたスタンフォードと再会します。
ロンドンに住処を探しているワトソンに、
スタンフォードは同じく住処と同居人を探しているシャーロック・ホームズを紹介。
ここまでは聖典や現代版と同じ。
(死体に鞭を揮うホームズも同じだけど、鞭の勢いが格段に早くなっていたw)
オープニング・タイトルの後には、ホームズとワトソンはすっかりお馴染みのコンビとして活躍していて、
ワトソンはホームズの"自伝作家"として、ストランド誌に掲載されている「青い紅玉」の評判が気になっている様子。
(ストランド・マガジンは実際に「青い紅玉」が掲載された雑誌。)
2人がベイカー街に戻ると、部屋にはベールを被った女性の依頼人が。
その正体はワトソンの妻メアリー。
家や妻を放置してホームズと冒険に出掛ける夫に会うために依頼人のふりをしてやって来たのでした。
ワトソンとメアリーが口論をする中、事件を抱えたレストレード警部が彼らを訪問します。
怯える彼が持ち込んだ事件は、複数の男性を殺した後、
拳銃で自分の頭を撃ち抜いて自殺した"花嫁姿の妻"が生き返り、夫を襲うという奇怪なものでした…。
■婦人参政権賛成派?反対派?■
レストレードが持ち込んだ"花嫁"=リコレッティ夫人の事件を気に入ったホームズに付き添うジョンは、
帰ったらお腹がすくから家にいてね!とメアリーを言い聞かせます。
面白くないメアリーは、彼らと共に部屋を後にする警部に、
婦人参政権運動に参加しているといいますが、警部が一言。
実は今回のテーマがこの男性の女性に対する態度だったりします。
置いてけぼりをくらったメアリーでしたが、謎の"M"の呼び出しを受けて、
("M"って時点で予想がつきますがw)彼女もまた外出します。
■モルグの中のIQが下がりそうな会話■
モルグに向かうと、出たー、アンダーソン!
"花嫁"の死体が「復活」しないように鎖でがんじがらめにしているのを見て、
「死体がやったわけがないだろう」と批判するホームズ。
アンダーソンは「おかしなことは起こりうる(Stranger things have happened)」といいますが、
さすがアンダーソン、IQが下がる回答。
ところがそれに負けない回答をする人が同じ場所にいた!
「忌まわしき花嫁」の中のジョンって、古き良きワトソン風味が増している気がします。
つまりちょっと間の抜けたことを言ってホームズを呆れさせるような助手のワトソン。
現代版のジョンはもうちょっと賢かったはずなんですがねw
さて、モルグといえば"彼女"ですが…
ハンサム! モリーが男性として登場するとは思ってもみませんでした。
ただ、ジョンだけは"彼"なのか"彼女"なのかを理解している様子。
■何でも知ってるのかと思ってた…■
ワトソンのお間抜け度合いが増している一方で、
レストレード警部の方も、ホームズに頼り切ってる雰囲気があるこの特番。
リコレッティ夫人の事件が解決していないことに苛つく警部をほったらかしで、
何故か懸命に黄道傾斜について調べているホームズ。
何故必死に天体について調べているのかは後で分かりますが、
ホームズも試験前の徹夜みたいなことをするのだと思うと微笑ましいですね。
■不器用なメイドとその主人■
ヴィクトリア朝時代でも、そこにいないワトソンに話しかけているホームズ。
ようやくいないことに気付いてワトソンに電報を打ちますが、
ワトソンは自宅で出来の悪いメイドにご立腹中。
卵も茹でられないし、ブーツの泥を落とすだけでダメにしてしまうこのメイドは
聖典「ボヘミアの醜聞」でホームズが"不器用なメイド"がいると見抜いた、メアリー・ジェーンなんでしょうね。
何故朝の支度が遅れたのか聞かれたメイドはワトソンのストランドの記事を読んでいたと答えます。
ちょっと態度を改めたワトソンが感想を聞くと、
ワトソンはいろんな身内にこんなことを言われてそうですね。
■ディオゲネス・クラブ式会話術■
ホームズたちがやってきたのはおなじみ、ディオゲネス・クラブ。
会話するのは禁止なので、ホームズは入口でコンシェルジュのワイルダーに手話?で語りかけます。
「兄は中にいる?」「はい、朝食中でございます」
身振りだけで会話するホームズとワイルダー。
さっぱり意味が分からないワトソンは、見よう見まねで会話を試みます。
ポテト(笑)。
ところで、このワイルダーって名前はビリー・ワイルダーから取ったのでしょうか、
それとも「新シャーロック・ホームズ おかしな弟の大冒険」の、ジーン・ワイルダーだったり?
■マイクロ太、登場■
ディオゲネス・クラブで待ち受けていたのはもちろん兄、マイクロフト。
シャーロックは、既に解決したマナー・ハウス事件の犯人?アダムスが王立天文学会の論文を書いていたことから、
兄に天文学についての質問されるのを知っていて、黄道傾斜に関する資料を読みあさっていたわけです。
ところで、放送前から一切マイクロフトの姿が公開されていませんでしたが、
その理由は非常に原作に忠実だったからのようで…。
「マイクロフトは超絶太って出てくるのではないか?」という大方の予想通りのこの姿!
太もものあたりのたるみ具合がリアルすぎます。
マークのファンの間では「こんなの私のマイクロフトじゃない!」と嘆く声もちらほら(笑)。
でも見てください、この旨いものに囲まれて幸せそうな顔を(笑)!可愛いじゃないですか。
とはいえ、太っているのはただ怠惰なだけではなく、
弟と「過食しすぎるといつ頃死ぬ事になるのか」という賭けをしているためだとか…
何故そんな命がけのアホな賭け事を…。
手づかみでプラム・プディングをムシャるマイクロフトを見てると、
中身が爆発しそうで、さすがにちょっと気持ち悪くなりそう(笑)←「モンティ・パイソン 人生狂騒曲」参照のこと。
マイクロフトが弟を呼び出したのは、レディー・カーマイクルの調査依頼を引き受けて欲しいというもの。
この案件の敵は「倒すことも出来ず、勝つ事も出来ない」
なぜなら「彼らが正しく、我々が間違っている」と説明するマイクロフト。
そこでワトソンは手当たり次第敵を予想して、ホームズを呆れさせます。
マイクロフトの頭の中では事件は解決しているようですが、
たしかにその姿ではレッグウォークは難しそうです。
■ホームズの"経験"と"衝動"■
レディ・カーマイクルの夫、サー・ユースタスが例の"花嫁"に脅かされていると知ったホームズとワトソンは、
屋敷にひそみ、花嫁の亡霊?の登場を待ちます。
久しぶりに2人きりになったワトソンは、知性あるレディー・カーマイクルの魅力について語り、
(「女性は君の担当だろう」という「第二のしみ」の台詞が出てきます。)
実は、ホームズがアイリーン・アドラーの写真を懐中時計に入れているのを見たことを話します。
これはワイルダー版ホームズからの引用ですね。
ワトソンがホームズの男としての"経験"や"衝動"を探ろうとするところもワイルダー版ホームズを思い起こさせます。
そして、どうして何故一人でいようとするのか、孤独であると決めつけるのか、
何がホームズをそうさせるのかを詰め寄るワトソンにホームズは答えます。
赤ひげ?
犬の遠吠えを耳にし、うっかりすると聞き漏らす程の声で呟くホームズ。
彼が他者に対する愛情を"絶った"のは、やはり赤ひげにきっかけが?
そして、ついに花嫁の姿を見つけた2人はすぐさま屋敷へと駆け込みますが、
花嫁の"幽霊"に翻弄されたワトソンとホームズは、
サー・ユースタスが短剣で刺され倒れているところを発見します。
■Miss me?■
ホームズに幽霊を見たと断言するワトソン。
信じようとしないホームズは幽霊のことは忘れろ!と言い聞かせますが、
何事か起きることを察知し現場にやって来たレストレードとの会話で、
いつのまにか死体に書き置きのメッセージが残されていることに気付きます。
"Miss me"?
何故か、現場に残されたメッセージを入手しているマイクロフト。
再びディオゲネス・クラブで兄と面会するホームズの場面になりますが、
ここからだんだん、彼らの会話が分かりにくくなってきます。
"Crime scene" や "in a nutshell"といった、
現代版で使うような言葉遣いで会話しはじめるホームズ兄弟。
ヴィクトリア朝のモリアーティも、滝から落ちて死んでいるようですが、
弟はまだ解決していないと考えている様子。
何を終わらせるのか、何が終わっていないのか…
ここのやりとりの意味は、後で次第にはっきりとしてきます。
■警部にも解ける事件?のはずなのに■
兄との面会後、一口も食事せずマインドパレスに引きこもるホームズ。
ハドソンさんやレストレード警部が心配げに覗き込みます。
誰が犯人か分かれば嬉々として教えてくれるホームズが黙り込んでいることを不思議に思う警部。
「私が解けるほどとても簡単だと言ってたのに…」というとハドソンさんが一言。
exaggerate=大げさに言う
ガッカリぎみの警部(笑)。
「大いなるゲーム」の時のようなハドソンさんと警部の会話は楽しいですね。
■モリアーティとの再会■
ついにコカインに手を出してしまうホームズ。
待ち受けていると、部屋に人影が。
モリアーティ!会いたかった!!(笑)
彼の登場の台詞はもちろん聖典「最後の事件」と「大いなるゲーム」両方からの引用。
「君の部屋、好きだよ。臭いがすごく…男っぽい」「挿絵画家と一緒に旅を?推理中はポーズをとってるのか?」
と、人をからかうような話し振りでホームズを挑発するモリアーティ。
(しかもホームズの不在中に勝手にベッドの寝心地をチェックまでしてたらしい!)
指先でマントルピースの上をなぞると、埃の大部分は人の皮膚で形成されていると話しながら、
ぺろり。
(ここを見て、マークが書いたドクター・フーのS9"Sleep No More"を思い出しました。
Sleep Dust←つまり眠っている間に人から出て来た目やにから出来たモンスターが出て来たりするのです。発想がヤバい(笑)。
このあたりの台詞はマークが書いているのかもしれないですね。)
ホームズは事件の真実を知るためにモリアーティを召還したように見えますが、
本当はリコレッティ夫人の事件に興味はないのだとモリアーティは語りかけます。
この事件にこだわるのは、他の事件を思い起こさせるためだと。
「なんだっけ、ほら、舌の先まで出かかってる…」
'It's on the tip of my tongue. It's on the tip of my tongue...'
拳銃を舌に押し付けるモリアーティ。エロい。
このあたりの気持ち悪さ、プールのシーンを思い出します。
こういうモリアーティがまた見たかったんだー!!
そして彼はなんと、「ライヘンバッハ・ヒーロー」でバーツの屋上でしてみせたように、
自分の頭を口から打ち抜くのです。
そして何事もなかったかのように立ち上がってみせるのでした。
くるりと回って吹き飛んだ頭まで見せてくれるサービス精神(笑)。
唖然とするシャーロック。
なんで生きているんだ? 何故死んでいない??
問いかける彼にモリアーティは「これは君を殺す"落下"じゃないんだよ、シャーロック」と語ります。
そう、モリアーティは登場してから、シャーロックをホームズとは呼んでいません。
このモリアーティも、モリアーティ教授ではなく、ジム・モリアーティなのです。
「"落下"なんかじゃないんだ、これは…」
221Bの中に起こる、地震のような激しい揺れ。そして…
あれぇ??(笑)
…パート2へ続く。
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TVでSHERLOCKシリーズを観てファンになり、映画版を観に行ってきました。何の予備知識もなく、まだシャーロキアンでもないので???の部分も多く、展開が速くて日本語onlyの私には字幕を追うのが精一杯。小物を楽しむまで目がついていかず…。
で、こちらを見つけておさらいし、2度目を観てようやく落ち着きました。
episode 3.5。平日の昼間、あきらかに暇つぶしに座っている人たちは、どう思ったのでしょう?
過去のエピソードは数回ずつ観ていますが、これもまたこちらでおさらいさせていただきます。
映画館での鑑賞の手助けになれたのなら幸いです。
私は映画公開前に海外で発売されている映像で予習をしていたのですが、
やはり劇場で一回見ただけではなんだか分からないうちに終わってしまいますよね。
上映後もテレビ放送してくれると復習出来てよいのですが、あってもまだ先なのかな〜。
またお越しいただけたら嬉しいです