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意外にも、感動的家族ドラマ「エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス」

2023-03-05 | movie/劇場公開作品

ミシェル・ヨーや俳優に復帰したキー・ホイ・クァンが出演しているという以外の前情報を入れずに
話題の映画「エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス(以下、EEAAO)」
土曜の仕事の後に見に行きました。

 

夫婦でコインランドリーを営むエヴリンは、国税局へ提出する領収書の確認で切羽詰まっている。
春節のパーティーも迫る中、陽気だが頼りない夫ウェイモンドとは落ち着いて会話する余裕はなく、
監査官との通訳のために呼び寄せた娘ジョイとは
ガールフレンドの存在を認めることが出来ないままギクシャクしており、
中国から呼び寄せた父親に娘の彼女のことをどう説明していいのか悩んでいた。
そして、夫と父を連れて国税局へと向かったエヴリンの前に、全く別の人格の夫ウェイモンドが現れる。
彼は別の宇宙からやってきた別の夫で、全宇宙を破滅に導く悪ジョブ・トゥパキから世界を守らねばならず、
それが出来るのはエヴリンだけだというのだ…

 

 

アクションが見られる映画であることは知っていたけど、
どんな展開になるのかは全く知らず、ワクワクしながら鑑賞していましたが、
途中から「オール・ユー・ニード・イズ・キル」を観た時のスピード感を思い出し、
後半には「インタステラー」を観た時の感動を思い出す…
そう、EEAAOは、アクション映画と思いきや、マルチバースを激しく行き来するSF映画であり、
大事な人との繋がりを再確認する家族ドラマだったのです!!

 

ここからはネタバレあり。

 

マルチバースというと、マーベル映画ですっかり見慣れた感はありますが、
(別々の主人公を同一人物と説明することに成功した「スパイダーマン:ノーウェイホーム」は別としても)
「あの時こうしていれば…」とか、他の宇宙の自分を妬んだり羨んだりとか、
そういう展開はマーベルに限らずハッキリ言って食傷気味でした。

しかし!EEAAOのエヴリンは、他の宇宙の自分を知ることによって、
(多次元で自分自身が開発したシステムを利用して)その能力をダウンロード出来る!
他の宇宙の条件のいい自分を知ることでより強くなっていく設定が最高でした!
自分を妬むのではなく、自分にもその才能の可能性が秘められているんだと目覚めるとか、
なんて希望に溢れた設定なんだ!!

そして、自分の能力だけでなく、別宇宙の夫や国税局の監査官(!)の存在から得た
他者に対する慈愛が世界を救う力になっていたのも感動的。

他宇宙に移動するには、なるべくあり得ない行動を起こさなければならず、
例えば、スティック糊を食べるとか、国税局の監査官のトロフィーをケツの穴に突っ込むとか(笑)、

色々なパターンが出てきますが、イヴリンが最初にやるよう指示されるのは「監査官に愛の告白をする」こと。
エヴリンは嫌がりながらも何度もI love youを連呼しますが、何故か拒否されます。

その部分を見ている時は「なんでだろ」と思ってたんですが、
その後に別の宇宙でエヴリンと監査官がパートナー同士であることが判明し、
さらに、主人公のエヴリンの世界にいる監査官も、
エヴリンと同じような辛い時期を経験していたことがわかり、
そこでやっと本当の意味で愛情の籠った会話をすることができるようになるんですよね。
だから、実は、エヴリンと監査官にとってはありえないことではないから初めに拒否されたのかもしれないと思ったりしました。

そしてミシェル・ヨーの素晴らしい演技やアクションもさることながら
復帰したキー・ホイ・クァン演じる夫の可愛いこと!
「インディ・ジョーンズ 魔宮の伝説」を見た時は、
(自分も子供だけど)なんて可愛い少年なんだろ!と思ったもんですが、
40年経ってもその可愛さは健在。
しかも彼も武術助監だったこともあり、ウェストポーチを使ったアクションが見事!
父ゴンゴン役のベテラン、ジェームズ・ホン(御歳94!)や、
娘ジョイ役のステファニー・スー(衣装もメイクもよかった!)
そして監査官のジェイミー・リー・カーチスと、助演の存在感も圧倒的。

「ドクター・ストレンジ」どころではないカオスな他宇宙へのジャンプや、
ネットミームや映画の引用など、
振り返るともっとたくさん気になることが出てきそうですが、
とりあえず以上が私の気に入ったところ。

もっと若い頃に見ていたら、かなり衝撃を受けて、より大事な映画になったかも知れませんが、
多感な時期にエヴァンゲリオンの劇場版を目の当たりにし、
大人になりいくつかのSFを経た自分だからこそすんなりこの映画が受け入れられたような気もします。
そんな耐性がない人には訳のわからんことになる危険性はある映画ですね。


実はまだ購入したプログラムも読んでないので、これからじっくり読みたいと思っています。

 


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