だから、ここに来た!

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プライムビデオ「Everybody’s Talking About Jamie ~ジェイミー~」【ネタバレ注意】

2021-09-19 | movie/劇場公開作品

先日紹介したミュージカル"Everybody’s Talking About Jamie"を映画化した、
「Everybody’s Talking About Jamie ~ジェイミー~」をやっと見ました!

作品紹介とウエストエンド版についての記事はこちら↓

OGPイメージ

ミュージカル「ジェイミー!」 Everybody's Talking About Jamie ウエストエンド版 - だから、ここに来た!

ロンドン留学中は節約のために観劇はなるべく控えめにしていたのですが、それでも2回見に行ってしまったミュージカルがあります。それが"...

ミュージカル「ジェイミー!」 Everybody's Talking About Jamie ウエストエンド版 - だから、ここに来た!

 

'And You Don't Even Know It' - Full Song From Everybody's Talking About Jamie

舞台と違って映画でがっかりしたらどうしよう…と、
ちょっとだけ心配していたんですが、
映画版には舞台上で表現出来ない演出やシーンもあって、
その心配も何処へやら、涙を流しながらティッシュ片手に見終えました。
最高の映画化でしたよ!

■■■映画版に追加されたシーン■■■

映画版には秀逸な追加シーンが幾つかあります。

舞台は将来を話し合う11年生の教室のシーンで幕が開きますが、
映画はジェイミーが朝起きて新聞配達するシーンから始まります。

ハイヒールを買うために地道にコツコツ小遣い稼ぎをしている
ジェイミーの夢へ向けた努力が見えるシーンですね!
(ちなみに元になったドキュメンタリーが放送された2011年当時、
 11年生は、中学高校にあたるセカンダリースクールの最高学年。)

個人的に特に好きだった映画版のシーンは
プリティがジェイミーにドレス姿でプロムに参加することを促す"Spotlight"のシーン。
舞台では、同級生(アンサンブル)が机を叩きながらコーラスで参加していますが、
映画版ではカフェテリアの掃除をする女性3人
ドリームガールズのように煌びやかなドレスに変身して
プリティの歌に華を添えています。

Everybody's Talking About Jamie - Spotlight

 

一番異なる部分は、ジェレミーのドラァグの師匠であるヒューゴの歌。
舞台では、ヒューゴが女装した姿であるロコ・シャネルの人生と
赤いドレスにまつわる話を語って聞かせる
"Legend Of Loco Chanel"という歌があるのですが、映画ではこれをカット。
そして、代わりに"This Was Me"という新曲が、
ヒューゴの大事にしているビデオテープの映像とともに流れます。
ジェイミーはヒューゴのドラァグ・クイーンとしての戦いの歴史を知って、
単に有名になりたいという憧れが浅はかな考えだったと反省します。

舞台ではヒューゴが作り上げたロコ・シャネルの伝説を披露するのに対して、
映画はプライド・パレードやエイズで亡くなった恋人や友人たちの思い出を通して
ヒューゴ自身の歴史を辿る演出になっているんですね。
現在のヒューゴとジェイミーがビデオの映像の中に入り込んで、
昔のヒューゴを眺めているような演出も素敵でした。

(舞台版ジェイミーのオリジナル・キャスト、
 ジョン・マクリーが演じる若き日のヒューゴの美しいこと!!
 もちろんリチャード・E・グラントの女装もゴージャスだけど!
 リチャード・E・グラントは「ある女流作家の罪と罰」のゲイ役も印象的でした)

映画のヒューゴがダイアナ妃のマグカップを使っていたのも
当時触れただけで感染するのではないかと恐れられていた
エイズ患者の病棟を訪れて恐れることなく触れ合っていた
ダイアナ妃への敬意を表しているんでしょうね。

OGPイメージ

How 'Everybody's Talking About Jamie' honors the AIDS generation

The cast and creatives explain why 'This Was Me' has Section...

Los Angeles Times

 

 

Everybody’s Talking About Jamie - Legend Of Loco Chanel

This Was Me (From ''Everybody's Talking About Jamie'' / Alternative Version)

 

ジェイミーのドラァグ・デビューのシーンは、
舞台では幕が開いて、ヒューゴから譲られたドレス姿のジェイミーの後ろ姿が
シルエットとして浮かび上がって第一幕が終わりますが、
映画ではパフォーマンスのシーンやディーンの野次のシーンも追加されています。

父親に会いに行って真実を知ったジェイミーが
嘘をついていた母と喧嘩して飛び出し、ユニフォームをホルターネックにして
父の観戦するフットボールの試合に乱入する場面も映画独自。

舞台では路上で男たちに突然絡まれる
泣きっ面に蜂のようなシーンで気の毒だったので、
映画の乱入→追い出される流れの方が自然に思えますね。

 

■■■映画版にない曲■■■

前回の記事で「映画ではカットされた曲もあるらしい」と書いた通り、
上記の”Legend Of Loco Chanel”の他にも、
何曲か映画版には出てこない曲がありました。

元夫に会いに行き、ジェイミーとはもう関係ないと言われた母マーガレットが
過去を振り返り、あの頃の自分にあったらなんて言うだろう?と歌う
"If I Met Myself Again"

Everybody’s Talking About Jamie - If I Met Myself Again

映画ではつけまつげで登校したジェイミーが親の呼び出しを受けますが、
舞台では、一度帰宅し、母とレイにプロム用に電球付きで改良?したドレスを披露するシーンがあります。
それが"Limited Edition Prom Night Special"
レイとジェイミーがノリノリで歌うこの曲、結構好きです。

(HD) Everybody's talking about Jamie || prom night special - (song + full scene)

カードも花束も母から送られたものだと知り、
父親から改めて突き放されたジェイミーが
「この醜い世界で一番醜い僕」と歌う"Ugly in this ugly world"

(HD) Everybody's talking about Jamie || Ugly in this ugly world + He's my boy (full scene + songs)

そしてプロム会場に集まる11年生が歌う"Prom song"

(HD) Everybody's talking about Jamie | Prom song + Full scene ( + Jamie and Dean talk )

 

■■■「自分らしさ」に悩む若者に響くはず■■■

冒頭の'And You Don't Even Know It'を歌うジェイミーを見ていて、
高校時代の自分を思い出してしまいました。
若い頃は状況に関係なく自分の可能性を無限に感じて
よりよい自分を妄想したりするもんです。

そして大人になると挫折も知るから、
ヘッジ先生のように、人生なんて思うようにいかないんだから、
夢なんて抱かない方がいいって言う気持ちもわからないでもない…。

ジェイミーが母や先生に「僕はあなたより未来がある」
「可能性がある」と言い放つ場面は、かなりグサッときます(苦笑)。
ジェイミー、大人にそれは言っちゃいかんよ…。
誰もが望んで大人になるんじゃないんだからね。

以前この作品がセクシュアリティに悩む子達の助けにもなればいいね!と書きましたが、
自分の将来に悩む若者みんなに響く物語ですよね。
プリティのように勉強が好きなことを後ろめたく思う子もあるだろうし、
ディーンのように「俺には無理」と柄ではないから勉強を諦めてしまう子もいる。
自分を否定しないで進んでいこうと頑張るジェイミーに、
自分らしさに迷いながら学生生活を送っている子は共感できるのではないでしょうか。

大人になった私のような人間でも、ジェイミーを見ていると、
昔の高校生の頃の自分の気持ちに応えてあげたいと思わされます。
If I Met Myself Again, I'd make her see the future's me. ですね。
つまり、全世代に響くのかも。

 


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