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「文豪と女優とエロスの風景~『四畳半物語 娼婦しの』」

2011-02-18 | movie/【今週のウチシネマ】


神保町シアターの特集上映「文豪と女優のエロスの風景」。
先日、テアトル新宿で「たまの映画」を見た時にチラシを見かけ、なんとはなしに手にしたのですが、
「おおっ、『四畳半物語 娼婦しの』の上映があるじゃないか!」
一気に鼻の穴が広がりました。

それというのも、露口茂さんが出ているからであります。
見られる作品はCSなどもこまめにチェックして見るようにしていますが、
なかなか見られない作品を映画館で見られるとは!
主演は三田佳子と田村高廣。
三田佳子の作るしなと、田村高廣のちょっと線の細い感じが色気があって、
エロな雰囲気というよりは、艶のある映画という感じがしました。



不忍池のそばに佇む一軒家の襖に綴られた物語を
永井荷風らしき男が読み進めるところから物語が始まります。

明治末期、その家で客をとっていた娼婦のおしげは、
ある日、客としてやってきた男を一目で気に入ります。
しかし、同じようにしげを気に入ったその男がしげに贈り物として手渡したのは、しげの紙入れ。
それはしげの情夫である車夫の竜吉が持っていたものを、
部屋に案内するまでの間に男が抜き取ったものでした。
男はスリ師だったのです。

スリ師であることを気付きながらも、しげはその男のために黙って受け取り、
何事もなかったように、竜吉に再び預けるのでした。

竜吉の方は、しげが男に本気で夢中になっていることを知ると、
わざわざ男を連れてきて、2人を会わせたり、
「うちのおっかさんが…」とこれ見よがしに女房であることを主張して、2人を試したりします。

そんな竜吉に愛想をつかして、しげは家を飛び出し、仕事場の家に越してきます。
さらに男に入れあげるしげに嫉妬し、しげの妹分・きみに言い寄る竜吉。
竜吉ときみの関係を見抜いているしげは
「熨斗付けてあげます」
と竜吉をきみに押し付けるのでした。

男はスリをやめ、印刷工として働くようになり、
わずかな稼ぎでしげに簪を買ってやります。
自分には高価すぎるとためらうしげでしたが、
男の気持ちに喜びは隠せません。

しげは男に、自分の本当の名前を教え、言います。
「これは竜さん…(ハッと手を口に当てて)あの人も知らないんです。あなたはしの、って呼んでくださいネ」

お互いの想いを確かめ合う二人。
しかし、娼婦であるしげにゆっくりと仲睦まじく過ごす時間はないのでした。

そんな中、とうとう竜吉が男の正体を知ります。
しげの紙入れから金が抜き取られていたことに気付いたわけです。
これ幸いと、竜吉は男を捕まえ、別れなければしげを朝鮮に売り飛ばし、スリであることをバラすと脅迫。
男は迷った末、彼女のために別れを決意します。

いずれはこうなることと分かっていたと、
別れを告げられながらも気丈に振る舞うしげ。
愛する男に去られたことを忘れようとするかのように、竜吉から強引に決められた朝鮮行きをも受け入れます。
そう、竜吉は男が別れを告げても、しげを朝鮮に行かせるつもりだったのです。
ところが、しげと竜吉の朝鮮行きの会話を男が聞いてしまい…。



三田佳子のしげと露口さんの竜さんは、切っても切れない腐れ縁、って感じで、
しげもスリ師の旦那が登場しなければそのまま竜さんの言われるがままの人生だったのかもしれません。
スリ師と出会って違う人生を歩める可能性を夢見たんでしょう。
しかし実際は…という、ほろ苦いお話です。

エロい場面は、竜さんがきみちゃんを襲うところと、エンディング近くのしげの“仕事中”の場面でしょうか。
どちらかと言えば女性の美しさが印象に残るので、いやらしさは感じられませんでした。

私の語りたい、露口さんの演技については、
コミカルな場面あり、人間臭い部分ありと、非常に見応えがありました!
特に印象に残ったのは、きみちゃんが初めて相手したお客のおっさんが腹上死したと知らされたときの
「こりゃめでてえや!」ですwww 吹き出してしまいました。
そのあとにおっさんの奥さんがやってくる場面も、劇場に笑いが起こってました。

露口さん見たさに足を運んだ作品でしたが、映画好きとしても楽しめるものでした。
ソフト化されたら買って何度でもみたいのに。
せっかくニュー・プリント版で上映したんだし、ねえ?


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