
聖平小屋は2200メートルの鞍部にある。聖岳への分岐“薊畑”から標高で200メートルほど下がった場所。小屋に下る急坂のガレ場で植生の回復に向けた作業をしている人たちがいた。草原の一角にネットを張り囲っている人たちもいた。この写真を撮るため、ネット張りをしている人に草原に入る許可を請うと、快く承諾してくれた。そして「昔は、聖平の一帯は、今の時期ニッコウキスゲで覆われていた。鹿の食害で、今はキスゲが殆ど見られなくなった」と教えてくれた。見渡したが、ミヤマカラマツソウの後ろに写った数株のニッコウキスゲしか見えなかった。
「ミヤマカラマツソウ」はキンポウゲ科の多年草。高山植物。色とりどりのお花畑の中で、清々しい緑色の葉と白い花が印象的。花がカラマツの葉の付き方に似ることからこの名がついたという。白く花弁に見える部分は雄シベが集まったものだそうだ。
聖平小屋に周辺がニッコウキスゲで埋め尽くされるほど見事に群生している大分古い写真が張られていた。ガレ場の再生、植生の回復への努力が始まったことなども紹介されていた。毒草のため食害にあいにくいバイケイソウだけが増えるのでは味気ない。
聖平にはハクサンフウロやクロトウヒレン、ヨツバシオガマ、シナノキンバイやミヤマキンバイ、ミヤマキンポウゲなど数は少ないが色々な高山植物が見られた。お花畑の復活を祈る。