目の前で誕生した初々しいカ
ップルに顔をほころばせなが
らも、ドーナツ型のガラス張
りの建物の中にいる人は、こ
の世の人ではないという現実
に胸が締め付けられました。
こんなに若くして命を落とし
もうこの世にはいない2人。
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褐色の肌に艶やかな黒い巻き
髪の青年は、長年話を聞いて
いた知り合いの友人の弟だっ
たようです。面識のない人な
がら、夢を見ているときから
「彼」だと判っていました。
夢を見る数日前に彼が自ら命
を絶ったことを知りました。
彼はアラブ系ムスリムでした
が比較的リベラルな両親をも
ち、西洋(NZではありません)
の大学を出て、現地で順調に
キャリアを積んでいました。
最近交際を始めた女性は西洋
人のクリスチャン。近く両親
だけでなく親族に紹介すると
いう段階で、イスラエルのガ
ザ封鎖が本格化。女性は親か
らアラブ系ムスリムとの交際
を反対され、交際は破局。彼
は自らこの世を去りました。
「失恋を苦にして青年が自殺」
と一括りにされそうな話です
が、彼を追い詰めたのはたっ
た1人のガールフレンドでは
なく西洋という社会でした。
自分が身を置く社会に背を向
けられ、受け入れられていな
いと感じた孤独と絶望こそが
彼を苛み追い詰めたのです。
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命を絶った青年があの世に旅
立つ直前にここで誰かに出会
い、一緒にエレベーターだか
ロケットだかに乗り込むのか
と思うと少し救われました。
彼がどんな思いでこの世を去
っていったのか、その片鱗を
を知る身として、また同じよ
うな年齢の子を持つ親として
も、見たかった光景を夢で見
たのではないかと信じます。