京呉服わき ごふくや日記

着物って楽しい!
呉服屋の女将の独り言?楽しいことや裏話、思うままに・・・

振袖と般若のお面

2008-03-11 14:16:49 | 着付あれこれ
卒業式のお着付がチラホラと

今日も朝早くからお仕事でした。


さて、今朝のお客様ですが
お母様にご予約いただいたのはずいぶん前で、一度髪型の相談に・・・と
先日お嬢様がご来店くださいました。

サイドをおろしたままで後ろはキュッとお団子に・・という
ご注文でしたが、髪飾りは?とお伺いすると
「これを・・・」と見せてくださったのが「般若のお面」

先にお預かりしていたお振袖と、お嬢さんから受けた第一印象が
般若とあまりにギャップがありすぎて
「これをつけるのは・・・ちょっと・・」
おもわず、言ってしまいました。

少しお話させていただき、美術系の学校の卒業式とのことで、
少々納得。
それでも
お振袖は、ごくオーソドックスなおとなしめの古典柄で、
ピンク地のかわいい蝶の柄。

う~ん、やっぱり浮くでしょう・・大ぶりの木彫りの立派な角のある般若のお面・・・

とりあえず、やめましょう・・と送りだしたけれど
美術系、みんなが振り返っても全然平気、
とおっしゃったお客様の言葉に、一晩考えて・・・
「それならば・・・」
そんなに、般若のお面がつけたいのならつけようではないか・・


でも、お振袖があのままでは、やっぱり・・変
それなりの世界がなければ。

そこで、半衿を、白から紫系の柄物に変えてみて・・
こんなイメージにしたいと、お客様にもう一度相談と確認。
お客様も、乗ってくださって・・・


今朝、「真っ赤な口紅と切れ長の目」とアドバイスさせていただいたとおりに
メイクもばっちり決めてきていただき
写真のような姿に、あいなりました



髪につけたのは、般若のお面と塗りのお箸。
色半衿をたっぷりと出し、黄色と朱色の二色が重ねてあった伊達衿は
朱色一色にしました。
裾はおくみを少し返し、おはしょりはあえてなくして着付けました。

帯は、蛾のようなアクの強い蝶なら良かったのかもしれませんが
かわいい帯でしたので、黒地か金地の帯があればと
探していただいたところ、おばあちゃまの黒の繻子の帯をお持ちいただきました

前は黒一色にはならないでしょうか?というお客様に私も賛成
帯の裏を使って、朱の帯〆が生きました。
帯結びはシンプルな文庫に。
袋帯を半分に折って半巾帯のようにつかって、片流し風に。
お太鼓柄でしたので、文庫の一部に華紋の柄が上手くでて
アクセントになりました


最初、お面を見たときには、正直ギョッとしたのですが
私自身、楽しんでしまいました

お客様もまさかこんな感じになるとは予想していらっしゃらなかったと
思いますが、
「うれしい、うれしい
と、とっても喜んでくださいました。

これは変です・・
と、固定観念でお客様の思いを切り捨てないでよかった・・・。

いつもは、古典の正統派をおすすめしていても
時には、柔軟な頭でいなければ・・・
オバサン脳にまだまだなってはいけないぞ


こんなモードっぽい着付けはめったにさせていただくことはありませんが
たまには、刺激になっていいですね


でも・・・
街で、見かけた人たち、きっとびっくりしただろうな・・・

そうでもないか・・・
東京にはいろんな格好した人いますもんね











コメント
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