九月の中旬だというのに、今朝はぐっと冷え込んだ。
先ほどチリで大地震があったらしく、日本の太平洋岸に津波が押し寄せる可能性大とNHKが報道していた。桜島、箱根、阿蘇と各地で噴火があり、住民が避難している。自然が怒っているのか、警鐘を鳴らしているのか、自分には分からないが、異常現象が続いているということだけは確かだ。
それでも今日は、平泉氏の動画について述べたい。自然界の異変と同様、このところ中国経済の動きが、世界を戸惑わせている。こんな状況を見ていると、確かに氏が言われたように「中国は大国になった」と思う。
この国の政府発表に、世界が一喜一憂している。だが私は氏の話に、今でも素朴な疑問を抱いている。
「こんなに人権を無視する国が、果たして、世界の大国になれるのだろうか。」
「国民を、虫けらのように蹴散らし、平然としている国が、どうして大国と呼べるのか。」
当分の間私の疑問は消えないだろうし、平泉氏の思考との溝も残るに違いない。だとしても、今後の日本の英語教育に関する氏の意見には、感心させられるものがあった。
文部省が、小学校の低学年から英語教育を導入するという話に、どうでも良い話と無関心だったが、目から鱗の衝撃を受けた。
・先日、久しぶりに、東大の入学式に行って来ました。そこで小林教授の話を聞きまして、なるほどと思いました。
・日本の国際的地位が落ちた大きな原因の一つが、英語力の欠如にあるというのですね。
・日本のリーダーたちが、誰も英語が分からない。通訳を介してやればいいのだと言う政治家もいますが、今はもうそんな時代ではない。
・大事な国際会議の場では、当意即妙の対話が重要なのに、会話もできないリーダーが国際人と言えるのだろうか。
・そんな話でしたが、とても大事な意見ですね。今の日本は、時代の流れとして、国民が英語をやらねばならなくなっています。
・書物を理解するための英語でなく、日本人の意見を世界に発信するための、道具としての英語なんです。
・TPPの場にしたって日本人の発言が出ないから、日本の意見というものが世界に伝わらない。
・中国や韓国は、世界から学ぶために英語をやっているのでなく、自分たちの考えを、世界に伝えるためやっています。
・だから日本人は世界で、中国人や韓国人にやられてしまうのです。
・日本語に安住するのでなく、世界の共通語を、予備として持つことの重要性に、気づかなくてはなりません。
ここまで説明されると、私にも分かる。まして、中国と韓国を引き合いに出されると、即座に納得した。国際会議の様子をテレビで見たが、他国の首脳は気楽に談笑しているのに、日本の総理だけが孤立していた。
そんなものだろうと思ってきたが、とんでもない間違いだった。
国内では官僚を怒鳴り散らし威張っていた菅総理も、国際会議では仲間はずれの悪ガキみたいに小さくなっていた。話しかけられても、照れ隠しの笑いでしか応じられない菅首相だった。
菅氏に限らず麻生元総理にしても、沢山英語を喋っていたが、ほとんど相手に通じない日本語英語だったと、意地悪な話もある。
偉そうに言っている私にしても、しどろもどろの英語しか話せず、外国旅行をした時はほとんど通じなかった。
面倒臭いから居直って日本語で喋ったが、今にして思えば、恥を撒き散らしたようなものだった。イギリス、スペイン、オランダ、イタリア、ベトナム、台湾と、私の英語は、まったくと言って良いほど通じなかった。
他人事でなくなった私は、真剣に氏の話を聴いた。
・英語が重要だというのは、喋っている国の多さと人口の多さなんです。
・欧米は、もちろん英語が通じますね。ASEAN諸国だって、ほとんど英語圏ですよ。
・インドネシアが人口2億人、インドが13億人、中国が15億人、韓国が5000万人。ざっと数えても、これだけの人口が、英語の習得に向かっています。
・韓国などは、防衛のための英語習得を国を挙げて目指しているのです。
どうも氏の話は人口がからむと大雑把になる嫌いがあるが、肝心なところには、納得させられる。
・日本人は、英語を使って国を守るという気概を持たなくてはなりませんね。もっと言葉の大切さを、認識すべきなのです。
このシリーズの動画では、日本人が認識すべき、大切なことが沢山語られるので、書き留めておかないととても覚えきれない。
・学校の先生には、申し訳ないんですが、英語の教育を、日本人が教えるなんてところから間違っているんです。
・英語の授業は、英語を喋る人間から教わらないと無意味です。
・ジスイズ ア ペン。アイアム ア ボーイなんて、カタカナ英語を何年やったって外では通じませんよ。
まったくおっしゃる通りですと、反論の一つもできない私だった。
中学校の3年、高校の3年、大学の2年間、会社員になってから3年間、通算10年間英語に接してきたというのに、かくも無残な自分の足跡だ。
私が受けた英語教育は、目的もなく漫然としたものだったから、役に立たないままに終わった。政府に苦情を言うのでなく、己の不甲斐なさを恥じなくてならない。政府が何を言おうと、自分が目覚めていたら違っていたはずだ。
しかし氏は凄い人物だ。私みたいに身勝手で偏狭な人間を、たった20分そこいらの動画で覚醒させるのだんら、驚きと言うしかない。
こういう観点から英語教育が国民に説明され、生徒に教えられたら、社会そのものが変化していくはずだ。さすがに政府は、これほど赤裸に中国や韓国の方針を語れないのだから、代弁者としての平泉氏の役割は大きかったはずだ。
どうにもならないことだが、惜しい方が亡くなられてしまった。改めて、氏のご冥福を祈り、感謝の念を捧げたい。