平泉氏はハト派だと言うのが、ネットの情報だったが、シアターテレビを観ていると違っていた。
マスコミが使うハトやリベラルなどという言葉は、本来の意味を失い、単なる平和憲法信者を指している。あるいは加害者の人権ばかりを守ろうとする、似非人権主義者だ。マスコミがいかに間違った使い方をしているのかが、よく分かる動画でもあった。
マスコミがハト派と呼ぶ政治家は、河野洋平氏とか鳩山由紀夫氏とか、どこか魂の抜けた人間が多いが、いったい平泉氏のどこがハト派なのだろう。
「終戦の時、アメリカはあまりにも日本を叩き潰しましたね。」
「軍隊は持たせない。憲法は自由にさせない。三分の二の賛成がないと改訂出来ないなんて。暴論ですよ。」
「民主主義の国で三分の二なんて、できっこない。これは日本には改正させないという、アメリカの強い意思です。」
「軍と憲法は国の根幹ですよ。」「それをアメリカは、日本には未来永劫手出しをさせないと決めました。」
「自衛隊を日陰者みたいにしてしまったから、これでは志のある軍人は育ちません。」「独立国には根っこに防衛と安全保障があるべきなのに、戦後の日本は防衛意識も防衛力も無くしてしまいましたね。」
「占領下では仕方がなかったんですが、これをそのまま放置したのは日本人の責任ですよ。」
「基地問題だってそうです。」「沖縄だけでなく、日本全国に米軍基地が有ります。こんなことは、日本の歴史始まって以来のことですね。」
「しかし米軍がいなくなって、無力な日本だけになったら、中国が出てきますよ。」
「基地が要らないとアメリカにいうのなら、憲法を改正し、自国を守れる軍隊を持ってからのことです。」
「一旦ことがあれば、アメリカと一緒に行動する。そうでなかったら、アメリカはいうことなんか聞きませんよ。」
「アメリカは第二次大戦後から、もっと言えばペリーの時代から、中国を重要視しています。」「今は共産化し、アメリカに対抗しているのですから、尚更のことです。」
「アメリカも中国も、国益のためならなんでもやる国です。いい時はいいでしようが、いったん対立すると怖い国ですし、危険な国です。」
「大国の意思一つで小国がどうにでもなる。これが国際社会ですね。」「だからヨーロッパでも、アジアでも、大国に挟まれた小さな国は、必死なんです。」
「国の生存がかかっているという危機意識が、戦後の日本人には無くなってしまいましたね。」
「アメリカと中国という巨大な覇権国の間に挟まって、日本はどうすればいいのか、こんな危機意識が政治家にも国民にも欠けています。」
57回シリーズの21回目を見終わったところだが、一言も聞き逃すまいと真剣に見ている。ここに記している氏の言葉は、そっくりそのまま私のものだと自分では思っている。
こんなにも立派な意見を持っていた氏でも、閣僚だった現役時代にはこうした考えを喋っていないはずだ。
現役だったら、マスコミと野党はおろか、自民党の中からだって軍国主義者とか右翼だとか言われ攻撃され、潰されていたに違いない。
氏の正論が今になってからしか聞けないというこの事実、ここにこそ敗戦後の日本の現実が横たわっている。
憲法と防衛を自分たちで作ってから、やっと戦後が終わるのだと私も信じている。その日がくるまで日本はアメリカの属国であり、敗戦国のままだ。
まだ21回目だから断定できないが、聡明で博学な氏なのに、「敗戦国の認識」においては私と異なっているような気がする。
現在「ライシャワーの日本史」を4分の1ばかり読んだところだが、動画をみていたら、それどころでなくなった。
ブログにも、シアターテレビの続きを書かずにおれなくなるだろうし、気持が一気に引き締まってきた。世の中には知識と経験と才能とに秀でた人物がいるという事実を、再認識した。
少しくらい本を読んだからといって、分かったような口をきいてはならないと、これはもう、心からの自戒だ。