ねこ庭の独り言

ちいさな猫庭で、風にそよぐ雑草の繰り言

『軍事力とは何か』( 反日の江畑氏 )

2017-09-16 21:44:47 | 徒然の記

 江畑謙介氏著「軍事力とは何か」( 平成6年刊 光文社 )、を読了。

 氏は、昭和24年に生まれ、現在68才です。上智大学大学院を卒業後、英国防衛雑誌や海軍情報誌など、各種雑誌の特派員として執筆し、かたわら、通商産業省、外務省、防衛省、内閣官房における、各種委員会委員や講師、参考人などを務めています。

 NHKの番組に軍事評論家として、時々出演していたので、顔だけは知っていました。どういう人物なのか、ほとんど知りませんが、何となく好きになれないという印象をもっていました。意見をまともに聞かないのに、印象だけで語るのですから、これこそ「偏見」というものなのでしょう。

 しかし著書を読み、偏見が外れていないことに気づき安心いたしました。陸海空の兵器や、軍の組織などにはとても詳しいのに、専門家としての主張は何もしていませんでした。

 軍事評論家として政府の委員会に顔を出し、外国誌の特派員もしていたというのなら、日本の現状はこのままで良いのか。憲法は改正しなくて良いのか。明確に意見を述べるのが、専門家でないのかと失望しました。

 氏の著書を読んでいますと、敗戦後の諸事情から、現憲法を持つことになった日本の歴史も語らず、憲法の矛盾点にも触れず、自衛隊や政府が国民に対し、軍事力の説明をごまかし続けてきたような印象だけを受けます。

 「例えば現在、日本は既に、世界でもトップクラスの国防費を支出し、世界でも一、二を競う兵器輸入国である。とくに後者の現実を、ほとんどの国民は認識していない。」

 氏の言う現在とは、平成6年のことです。中国が、爆発的に軍事費を増大させてきたのは、平成22年以降ですから、無理もない叙述と分かってもなんとなく気に入りません。

 平成29年の中国は、公式発表の数字だけでも、日本の3.6倍の軍事費を使おうとしています。中国は平成22年以降、毎年、前年比二桁で軍事費を増額しており、偶然氏が著作を出した平成6年は日本とぼぼ同額でした。

  公式数字以外にも、沢山の軍事費を隠している中国が、年々それを増大させている危険性を、なぜ平成6年の時点で指摘しないのか。日本の軍事費の額だけを強調するのか。合点がいきませんでした。

 氏の話によりますと、世間で言われている通り、日本は核兵器でも、大陸間弾道弾でも、アメリカ並みの地球監視衛星ネットワークでも、すぐに作れる技術力を持っています。「やるか、やらないか」は日本の意思次第だといいながら、もし日本がそれをすれば、国際社会で孤立するから「やれない」のだと言います。

 過去を知っているから、日本がそうした兵器を手にすると、近隣諸国が警戒し、紛争の種になるから、やるべきでないと言います。何のことはありません。政府の委員会の委員をやっていましても、氏の思考は、「東京裁判史観」と「自虐史観」でした。日本の過去を否定し、現行憲法を良しとし、日本の自主独立を是としない考えの持ち主でした。

 重火器、戦車、戦闘機、空母、潜水艦、ハイテク機器等々、詳しい知識を持っていますが、何も感心しません。戦後の国際情勢の中で、アメリカの保護国というより、属国としての日本がこのままで良いのか。政治的判断は避けたと氏は述べていますが、政治と直結した軍事を語る専門家が、自分の国の実情に言及しない卑怯さを感じました。

 どうしても好きになれない石破氏は、軍事オタクと揶揄されていますが、江畑氏も似たようなものでした。「日本は、本気で核について検討すべきでないか。」と、正論を言った石破氏の方が、江畑氏より専門家らしいでないかと思ったりします。

 「民主主義の基本が、国民主権で、国民は知る権利があり、政府は国民に対して報告の義務がある以上、秘密保護法の制定に関しては、その内容に慎重であらねばならないだろう。」

 「情報を保護することを目的とした、法制でなく、基本的に情報は公開するという、民主主義の根源に立った法制でなければならない。」

「秘密保持の強化は結局民主主義の否定であり、国民を信じられない、民主主義国家は存在し得ない。」

 この言葉を読んだとき、私はある発見をしました。秘密保護法が国会で審議されていたとき、腐れマスコミの報道のがまったく氏と同じ論調でした。反日左翼議員が、政府案を攻撃する理由が、氏の言葉とそっくりでした。偶然そうなったというより、もともと氏は、反日左翼思想の政府委員だったのです。

 国の安全保障のための、「秘密保護法」の実態が、他国ではどうなっているのか。他国のそれを知る氏が、なぜこんな愚論を展開するのでしょう。国の軍事機密を、国民に公開する基本で整備している国はありません。氏を、軽蔑するしかできなくなりました。

 この本の目的は政治的意見を述べるのでなく、軍事力を客観的に伝えることなので、政治的発言は控えましたと氏は初めのページで書いていました。最後になってこのような意見を出すのは、おかしな話です。これこそ政治的発言であり、「お花畑の住民」を喜ばせる意見です。

 だからNHKが、氏を番組に登場させたのかと理解しました。今でも、政府の各種委員会の委員をしているのかどうか 知りませんが、そうだとしたらとんでもない話です。この本も野菜くずや魚の骨と一緒にゴミ袋に入れ、ゴミステーションに捨てます。

 台風18号の影響で今夜半から天候が崩れ、日、月と大荒れの天気になります。「ねこ庭」の花木も私の心も、嵐となりそうです。

コメント (2)
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