もしかすると山田議員と私の思いが似ているのではないかと、そんな気がしますので、議員の質問と前田会長の回答を紹介する前に、質疑の最初と最後に山田議員が会長に語った言葉を紹介します。
〈 質疑の最初の言葉 〉 ( 令和3年5月17日の参議院決算委員会 )
「私は前田会長に抗議したり、吊し上げたりする気持ちはありません。今回の件は前田会長にしても、初めて聞かれた話だと思います。また私も、NHKが66年前に悪気でこのドキュメントを作ったとも思えません。」
「『緑なき島』を見ればわかりますが、本当に明るい端島の映像なんですよ。元作業員だった人と元島民の方々が、坑内の映像だけがおかしいのではないかと、そう言っているんです。この部分だけが違う場所じゃないかと、そう言っているわけです。」
〈 質疑の最後の言葉 〉 ( 令和3年5月17日の参議院決算委員会 )
「私の想像なんですが、坑内の映像だけは、当時の端島炭鉱の規定で、危険だからとテレビ撮影が許可されなかった。」
「坑内の映像のない『緑なき島』じゃあ、しょうがないよね。どこか坑内を撮れる場所はないかと、スタッフの人たちが探してみて、あ、そうそう、筑豊にも炭坑があるからそこで撮ってもいいんじゃないかと、取材陣がキャストを集めて、そして撮ったのがこういう映像ではないかと、私は想像しているところです。」
なぜ山田氏の言葉を先に紹介したかの理由については、青山繁晴氏の『ぼくらの国会( 第451回 )』( R4.12.13付 )の中にあります。動画の内容は「護る会」が主催した「軍艦島勉強会」で、氏が次のような説明をしていました。
〈 青山繁晴氏の説明 〉 ( 令和4年12月13日の「軍艦島勉強会」 )
「 令和3年3月20日に、私が国会で前田会長に質問した後、こちらがお願いしていないのに、実は会長が議員会館の私の部屋にお見えになりました。」
「このとき会長の後ろに、NHKのプロパーの人がぴったりくっついていました。秘書さんがアテンドしているというよりは、監視しているという印象が強くありました。推測ですけれど、会長の目の奥には、私は監視されているという雰囲気が感じられました。」
「NHKのOBの方の中には、このドキュメントを作ったデイレクターは、似た場所だから使ってもいいじゃないかと、そんな考え方をするいう人物だったと話をする人がいます。」
「実際の端島炭鉱の坑内は、整然としているのでイメージとして弱い。彼らはいわゆる炭鉱のイメージを作ろうとして、筑豊の使われていない炭坑を利用して、俳優を使って撮影したのではないかと、私は推測しています。」
「NHKは調査能力があるので、ひょっとしたら、この事実に辿りついているのではないか。NHKがここまで頑なな理由は、やらせの映像と、商売用にと新たにDVDにして販売していたとなると、会長の首が飛びますからね。」
「もちろん今のは、私の推論ですけれど、そういうところまで考えて国会の質問の際は、新しい会長に問うていきたいと思っています。」
青山氏の話は令和4年12月13日のものですが、令和3年の国会質疑のスケジュールを見ればわかる通り、山田氏の質問は青山氏の後です。つまり山田氏は、青山氏の話を聞いた上で前田会長への質問をしていることになります。会長へ配慮した最初と最後の氏の言葉は、ここから出ているのではないでしょうか。会長は、突然出てきた映像の疑惑問題について詳しい経緯を知る人物で無く、NHKのプロパー職員に監視されているとなれば、山田氏の言葉に温情がこもるわけです。
NHKの経営委員会は令和4年12月5日に、任期満了となる前田晃伸会長(77)の後任として、日本銀行元理事の稲葉延雄氏(72)の任命を決めました。新しい会長と青山氏が言っているのはこのことです。
稲葉氏は1974( 昭和49 ) 年に東京大学を卒業後、日本銀行に入行し、システム情報局長や考査局長などを経て2004 ( 平成16 ) 年に理事に就任しています。大阪支店長などを務め、現在はリコー経済社会研究所参与を務めています。
次回は、山田氏の質問と前田会長の回答を紹介します。
( 令和5年1月24日15時15分、safariが侵入を阻止したトラッカーが127件 18時40分、133件。)