大きな寄り道をしましたが、今回は山田議員の動画へ戻ります。氏が〈NHK放送ガイドライン〉を読み上げ、前田会長が前向きな回答をしたところでした。
山田議員
「私はNHKが悪意を持ってあの映像を作ったとは、思っておりません。それから、皆さんが今も悪意を持ってやっているとも思っていないんです。それはもう、今のNHKの組織を防衛するためには、そうなるのかもしれない。」
「しかしNHKは、受信料で成り立っています。今後は、放送法の改正案も出てきます。それはNHKと受信契約していない人に対しても、受信料を払わない人には割増料金が請求できるという法案です。」
そんな改正案が検討されているとは、初耳です。受信契約をせずにNHKを見ている人のことを言っているのか、見ていない人からでも受信料を徴収するというのか、ハッキリしない言い方ですが、2年前の動画ですから、この法案は成立しているのかもしれません。自民党の議員諸氏は、何を考えているのでしょう。
「この審議に入る時期に当たっているのですから、NHKはそうやって突き放すんじゃなくて、今の会長のお話のように、元島民の方々の納得が得られるような回答を出して欲しいと思います。」
氏は監視されている会長に配慮しつつ、参考人席とその背後に座っているNHKの職員に語りかけています。そして、閣僚席に座る武田総務大臣に言いました。
「NHKの信頼を回復するためのチャンスでもありますので、元島民の人たちにそういう機会を与えて欲しいと思います。最後に大臣に、一言ご答弁をお願いいたします。」
武田総務大臣
「故郷、筑豊の話を持ち出していただいたことを厚くお礼申し上げます。先生ご承知のことと思いますけれども、放送法というのは、事業者が自ら責任を持って、自主自律を基本とする枠組みとなっておりまして、個別についてコメントすることは差し控えたいと思います。」
私は正直に言って、大臣の答弁を聞き失望しました。
「個別についてコメントすることは差し控えたいと思います。」・・この言葉は、大臣や政府役人が責任を回避する時に使う常套句です。問題の核心に触れる質問を受けた時、彼らはこの決まり文句で質問者の言葉を封じます。何か約束事でもあるのか、この言葉を持ち出されると質問者は追求を止めます。
国会での質問は予め政府側に提出されていますから、回答する大臣や役人がその場の思いつきで喋っているのではありません。やっかいな質問たいしては、決まり文句で行こうと決めた上での発言です。
事例はたくさんありますが、一番有名な話を紹介します。平成22年の民主党・菅直人政権時の、武田稔法務大臣の失言問題がありました。氏は地元広島での大臣就任祝いの会で、次のように挨拶しました。
「法相はいいですよ。(答弁は)二つだけ覚えておけばいい。『個別事案についてはお答えを差し控えます』。分からなかったら、これを言う。これでだいぶ切り抜けてきた。あとは『法と証拠に基づいて適切にやっている』」
新聞が連日騒いだので覚えている方もいると思いますが、この軽い発言を自民党の議員に国会で追及され、氏は就任から2か月足らずで辞任に追い込まれました。いわく因縁のある常套句であるにもかかわらず、よほど便利な言葉なのか、大臣と官僚が現在も使っています。偶然にも同じ武田という名前ですが、二人は別人です。
「その上で、NHKにおいては、国民、視聴者の受信料で支えられている公共放送であることを踏まえ、端島の元島民のご意見にしっかりと耳を傾け、皆さんから十分な理解を得られるよう丁寧な対応に努めていただきたいと、このように考えております。」
決まり文句の魔法が効いたのでなく、決められた質問時間が来たため、氏の動画はここで終わっています。山田氏は監視されているという前田会長に気を使い、武田総務大臣はNHKの職員に気配りをし、質疑応答している様子が分かりました。放送法を管轄する大臣なら、繰り返されて来たNHKの誠意のない回答に、なぜもう少し踏み込めないのでしょう。
NHKは反政府、反日の姿勢を隠さない大手マスメディアの筆頭にいて、これまで何人もの大臣や政治家の首を取ってきました。NHKに逆らうと、朝日新聞と共同通信社が加わって、その大臣や政治家への批判報道を始めます。中には二度と政界に復帰できなくなった議員が沢山いることを、私たちは知っています。
なぜNHKは、これほどまでの力を持っているのか。誰がそうさせているのか ?
この疑問に関するヒントが、第一回目に紹介した青山繁晴氏の動画の中にあったと考えています。令和4年12月13日付けの動画・「軍艦島勉強会」です。次回はこの動画へ戻り、割愛していた部分を紹介します。
( 令和5年1月29日13時55分、safariが侵入を阻止したトラッカーが128件。135件よりは減りましたが、まだ100件を超えています。 )