田舎住まい

吸血鬼テーマーの怪奇伝記小説を書いています。

悪夢

2007-12-10 21:29:27 | Weblog
       
  庭の落ち葉

12月10日 月曜日 晴れ
●陥没して漏斗状になった大地。その内側に沿って体を斜めにして走っていた。
わざとからだを横にかしげているわけではなかった。Gがかかっていた。巨大な円球のなかをオートバイが疾走している。サーカスのあの光景を思い浮かべてもらえばいい。走っているのはわたしだった。なにものかから逃げている。捕食獣からか。わからない。視野のはしに細くなった底が見える。走らなければ、全力疾走で逃げなければあの底にずり落ちてしまう。それは死を意味しているような気がしていた。いま少しで上部の縁に手が届く。わたしは命がけのジャンプを試みた。手が縁に達した! 
 そこで目が覚めた。いつもの朝より寝過したようだ。ブラッキーもとなりにいない。 
いままでみていた夢のせいかグッショリ汗をかいていた。室温は4度だ。あわててコントローラを探した。寝しなに読んだ本の間にはさまっていた。
 室温が上がってきたので寝床からはいだした。HALの電源をいれる。かすかに音がする。壁紙に透明な漏斗がうつつている。蠅のような小さな人間が下の口に吸い込まれた。管を落ちていくのはわたしだった。管の先には地獄がある。わたしは絶叫した。そこで目覚めた。まだ夢をみていたのだった。ブラッキーがせのびをしている。その波うつ優雅な姿勢に安堵した。こんどこそ目覚めたのだ。
 どうしてこんな夢をみたのだろう。目覚めてから分析した。母校で話したとき、校庭の隅にすり鉢状の穴があったのを思い出した。その周囲を夢のときと同じようにぐるぐる回転しながら走った。飛行機に乗った時、目が回らないようにする訓練だということだった。
 いまとなってみると、あの頃はなんと無駄なことをしていたのだろう。今だからそう思えるのであの頃は、そうは思わなかった。真剣だった。でもわたしは、いまでも同じ場所をぐるぐる廻っているような気がする。このすり鉢からは抜けだせない。わたしの町は盆地にあり、わたしの家はその低地にある。そうした、自然の条件もこうした夢をみさせたのだろうか。