田舎住まい

吸血鬼テーマーの怪奇伝記小説を書いています。

メランコリー

2007-12-12 07:01:13 | Weblog
12月12日 水曜日 朝焼けがきれいだ。
●遠景のベンチの隅に女が座っていた。おおきなボストンバックをベンチの中央にどんと置いて、じぶんは隅のほうに自堕落な横座りをしている。なげだされた足の先にあるバックはかなりおおきめのビトンらしい。茶色っぽい色からそう判断した。真偽のほどはわからない。バックが偽ブランドかどうかもわからない。それはこのさいどうでもいいことなのだ。女はタバコをすっていた。そのみようにきどったすいかたがきになった。お水系とみた。

●わたしはここからさほど遠くない駅東公園でベンチにぼんやりとすわっていた。一時間くらいすわっていただろうか。異形コレクションの新刊がでた。早速読みたくて出かけてきた宇都宮だった。書店には置いてなかった。

●わたしは書店の店員を呪った。そんな本は知らないといった応対だった。それでもパソコンで在庫を親切に調べてくれたのだから文句はいえない。わたしはジブンが好きなものは他の人も好きだとおもいこんでしまう。そういう習性がある。若いときからそうだった。異形の執筆陣は当代一流のテダレだと称賛しているわたしにとつては、とても信じられない現実だった。あまり売れてないのだろうか。心配になってきた。

●なぜこれほどまでに、人気にこだわるのか。わたしは評判が芳しくない。という理由でなんど掲載をことわられたことがあった。読者の好みがつかめないでいた。いやいまでも、時流にはますますのれなくなっている。あげくのはてに、忘れられた作家となっているテイタラクだ。

●ぼんやりとベンチにすわっていた身にとっては、女のようすが気にならないわけがない。新しい働き口をもとめてやってきた女。早く着き過ぎたので宵の口まで時間をベンチにすわってまつ。喫茶店にはいるほどのもちあわせもない。そんな通俗的な筋しかかんがえつかない。想像力の乏しさがはらだたしかった。

●ところで、あなたはどんな本を読んでいますか。田舎住まいが長く、孤立したわたしにとつてはとてもたいせつな疑問です。これからは、ベストセラーにも興味をもたなければいけないのだろう。そんなの関係ない、なんてぼやかないで、すべての世の動きにもっと敏感になろうと反省した。