田舎住まい

吸血鬼テーマーの怪奇伝記小説を書いています。

四畳半の雨漏り

2007-12-27 23:43:08 | Weblog
12月27日 木曜日 晴れ
●昨日は、裏板の節穴のことを書いた。四畳半の星座というタイトルがものめずらしかったのだろうか。想定外の訪問者にちょっとうれしい戸惑いを覚えた。

●芭蕉野分して盥に雨を聞夜哉 芭蕉 

●わたしは雨漏りに関してはトラウマがある。広すぎるトタン屋根のため、わたしがこどものころは絶えず雨漏りがしていた。親父の名誉のために書いておくが貧しかったわけではない。父は倹約家だったのだ。雨漏りの箇所があると布にコールタールを塗ってトタンに張り付ける。これで結構一時しのぎにはなった。でもそれはあくまでも応急処置だ。だからいつも雨になると、ぽたぽたとどこかで雨垂れの音がしていた。家中雨漏りで水浸しになっている夢を今でも見る。節穴を見上げていてしばらくぶりでそのtraumaがよみがえった。

●後年芭蕉のこの句を読んだとき、なるほどな、と思ったものだ。盥に雨の音を聞く。それを澄ました顔でたのしんでみせる。わびさびとは、やせがまんの美学とみた。わたしはいまだにそうした心境にはいたっていない。

●いまのところ雨漏りはしていない。息子に屋根ふきの負担をかけるには忍びないのでステンレストタンで葺いてもらった。なんとか息子一代くらいは雨漏りの心配はしないですむといいのだが。ともかく百坪余もある屋根だ。陋屋でもいいが、ぼろ家でもいいが、雨漏りの悲しさだけは味あわせたくない。部屋に雨が落ちてくるみじめさは、ほとんど恐怖にちかかった。父は平然としていたのだからたいしたものだ。昔の人間は心の鍛え方がちがう。たした胆力だ。

●今夜は冷たい冬の雨になりそうだ。雨漏りの心配のない部屋のホリゴタツでHAL