4
「こいつもうたすからないよ」
仲間に撃たれた。
哀れな男。
死んでいく男の額に手をおいた。
目を閉ざしてやっている。
それから立ち上がった。
キリコはおおきく手を広げて死体の横にいる。
まるで、ブルーシートで人目を遮断しているようだった。
いやじっさいにそうした効果があるらしい。
何台もの車がなんの注意もはらわずに通過していく。
「あのかたどなた」
パニックから立ち直った美智子が発した言葉だ。
しみじみとした顔で隼人の返事を促している。
「キリコ。黒髪キリコ」
隼人もそれしか知らない。
「知りあいが、日光にいたのね」
すこし、オコッテいるようだ。
声がとがっている。
「美智子それより、早く乗って」
美智子の険悪な表情をやわらげようと、
里佳子がふたりの会話に割ってはいる。
ぼくだってキリコの正体を知りたい。
まだなにもわかってはいない。
全裸の少女が幻のように二社一寺への街道に現れたときは、おどろいた。
それがいまは、完全に実体化した。
そのうえどこかに暴漢の死体の処理をたのんでいた。
「クリーニング屋は呼んどいたから。ぐずぐずしないで、さきにいって。
携帯に連絡はいれるから。直人さんのね」
隼人はからかわれている。
「クリーニング屋? それって……」
「わたしは日光忍軍の棟梁の孫娘。それくらいの手配はなんでもないわよ」
「これってロケですか」
直人との思いでの場所を覚えていてくれた記者が追いついてきていた。
「サンケイ週刊の三品です。カメラは、写真はとりません。だから、教えてください。トラブルですか」
「ごめんなさい。東京にもどってからにしてください。ほんとにごめんなさいね」
里佳子がこたえる。
プレスの車がつぎつぎに到着する。
危ないところだった。
美智子が隼人といるところを目撃されるところだった。
隼人は後部座席に身を伏せていた。
里佳子はゆっくりとBMWをスタートさせた。
隼人がいる。
急ぐことはない。
これから、なにか危険があっても頼りになる若者がいる。
でも、隼人を人目にさらしたくはない。
直人とそっくりなのを気づかれたくなかった。
それこそ、マスコミの狙い撃ちに美智子さらすようなものだ。
だれもが、直人そのものが生きていたと思うだろう。
わたしだってまだ半信半疑なのだから。
イトコだときいたいまもまだ信じられない。
隼人が美智子の隣にいる。
エンジンはぶじだった。
美智子はうれしそうにほほえむ。
「ほんとにあのころの直人さんに瓜二つね。そっくりよ」
里佳子が慎重に車をスタートさせた。
すぐに後部座席に声をなげかけてくる。
「美智子。怪我はなかったでしょうね」
美智子は窓の外を見あげている。
上空をキリコの操縦するヘリが東京方面に飛びさっていく。
「活動的なひとね」
「ぼくは直人兄さんの恋人が女優さんだなんて聞いていなかつた。
きれいなひとだとは母からいわれていました」
美智子は静かに吐息をもらした。
「襲われるこころあたりは? ……あいつらだれです。
プロですよ。こころあたりは」
美智子は危うく拉致されるところだっのだ。
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「こいつもうたすからないよ」
仲間に撃たれた。
哀れな男。
死んでいく男の額に手をおいた。
目を閉ざしてやっている。
それから立ち上がった。
キリコはおおきく手を広げて死体の横にいる。
まるで、ブルーシートで人目を遮断しているようだった。
いやじっさいにそうした効果があるらしい。
何台もの車がなんの注意もはらわずに通過していく。
「あのかたどなた」
パニックから立ち直った美智子が発した言葉だ。
しみじみとした顔で隼人の返事を促している。
「キリコ。黒髪キリコ」
隼人もそれしか知らない。
「知りあいが、日光にいたのね」
すこし、オコッテいるようだ。
声がとがっている。
「美智子それより、早く乗って」
美智子の険悪な表情をやわらげようと、
里佳子がふたりの会話に割ってはいる。
ぼくだってキリコの正体を知りたい。
まだなにもわかってはいない。
全裸の少女が幻のように二社一寺への街道に現れたときは、おどろいた。
それがいまは、完全に実体化した。
そのうえどこかに暴漢の死体の処理をたのんでいた。
「クリーニング屋は呼んどいたから。ぐずぐずしないで、さきにいって。
携帯に連絡はいれるから。直人さんのね」
隼人はからかわれている。
「クリーニング屋? それって……」
「わたしは日光忍軍の棟梁の孫娘。それくらいの手配はなんでもないわよ」
「これってロケですか」
直人との思いでの場所を覚えていてくれた記者が追いついてきていた。
「サンケイ週刊の三品です。カメラは、写真はとりません。だから、教えてください。トラブルですか」
「ごめんなさい。東京にもどってからにしてください。ほんとにごめんなさいね」
里佳子がこたえる。
プレスの車がつぎつぎに到着する。
危ないところだった。
美智子が隼人といるところを目撃されるところだった。
隼人は後部座席に身を伏せていた。
里佳子はゆっくりとBMWをスタートさせた。
隼人がいる。
急ぐことはない。
これから、なにか危険があっても頼りになる若者がいる。
でも、隼人を人目にさらしたくはない。
直人とそっくりなのを気づかれたくなかった。
それこそ、マスコミの狙い撃ちに美智子さらすようなものだ。
だれもが、直人そのものが生きていたと思うだろう。
わたしだってまだ半信半疑なのだから。
イトコだときいたいまもまだ信じられない。
隼人が美智子の隣にいる。
エンジンはぶじだった。
美智子はうれしそうにほほえむ。
「ほんとにあのころの直人さんに瓜二つね。そっくりよ」
里佳子が慎重に車をスタートさせた。
すぐに後部座席に声をなげかけてくる。
「美智子。怪我はなかったでしょうね」
美智子は窓の外を見あげている。
上空をキリコの操縦するヘリが東京方面に飛びさっていく。
「活動的なひとね」
「ぼくは直人兄さんの恋人が女優さんだなんて聞いていなかつた。
きれいなひとだとは母からいわれていました」
美智子は静かに吐息をもらした。
「襲われるこころあたりは? ……あいつらだれです。
プロですよ。こころあたりは」
美智子は危うく拉致されるところだっのだ。
今日も遊びに来てくれてありがとうございます。
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