田舎住まい

吸血鬼テーマーの怪奇伝記小説を書いています。

鹿沼クレーン車事故(4) 麻屋与志夫

2011-04-21 11:18:09 | Weblog
4月21日 木曜日

●クレーン車の運転手が「居眠りしていた」と発言していたことから、
ナルコレプシーについて言及しているブログがあった。
教えて! gooのクレーン車事故、〈居眠り〉についての解答欄にでていた。

●実は、わたしも数年前に、この病名を知った。
わたしは、クレーン車事故の起きたこの鹿沼の街で、
小さな学習塾をやっている。
そして、この前のブログでも書いたが、
異常な睡眠に陥る生徒を何人か目撃している。

●夢中になってインターネットで調べた。
アメリカで親がヘビースモーカの家庭で、
この病気を発病している子がいるとでていた。
ほんとかな?
医学には疎いわたしにはわからない。
ただ、たしかにその異常な眠り方をするKクンの親はタバコをすっていた。
その生徒の衣服にはタバコの臭いが染み込んでいて、
わたしは咳き込んだことがしばしばあった。

●もし、そうした病気で、
さっと、所かまわず眠りに陥ってしまうのだとしたら、
治してあげないと将来たいへんなことになるだろう。

●話変わって、菊池秀行の小説「淫邪鬼」だったと記憶しているが、
格闘中でも不意に眠ってしまう主人公がでてきた。
あれはやはりナルコレプシーなのかな。

●学校で長く教鞭をとっていた知人が、
「教室で眠ってしまう子がおおいんだよね。栄養障害かな」
ともらしいたことがあった。

●現実問題として、
このクレーン車事故は究明しても正確な解答にはいたらないだろう。
平凡な答えに成るはずだ。

●そこで、小説である。
わたしは永いこと鹿沼を舞台にした小説をこのブログで書きつづけている。
読んでいただければわかるが、
ファンタジーとして取り上げている場面がおおい。
でも、現実にこの鹿沼で起きた事件に影響されていることは確かだ。

●いろいろ書くことがこの街にいるとあり過ぎて、
わたしが東京にもどれないでいる理由のひとつでもある。

●いずれにしても、
クレーン車事故問題が早急に解決することが望ましい。
たとえ、それが根本的な解決でないにしても……。


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裏鹿沼(4)/三億八千万年の孤独 麻屋与志夫

2011-04-21 05:02:50 | Weblog
作者注。性用語がでてきます。小学生は読まないでください。

4

「おとうさんが倒れた。
帰っておいで。
鹿沼にもどってきて。
さもないとわたしたち死んでしまうからね」

もうあれから半世紀も経っている。

赤坂の郵便局の赤電話から家に電話をいれた。
胸騒ぎがして下宿から駆けつけた郵便局だった。
あのときの母との逼迫した会話はいまも、覚えている。
父がなにか得体の知れないものとたたかって敗れた。
倒れたのだといった。

母には正体がわからない。

父から麻耶の血脈を受け継いだわたしにはすぐに理解できた。
故郷鹿沼にむかしから住みついているデーモン。
悪魔、鬼神、なんとでも呼べる。
恐ろしい敵を相手にしたのだろう。
人を破滅させる悪霊。
父は敗れたのか?

わたしは赤電話を手にしたままその場にへたりこんでしまった。
じぶんの体がずるずると地の底にひきずりこまれていく。
受話器からは――。

「もしもし……翔太郎……翔太郎」
と呼びかけてくる遥な距離ある場所からの母の声がしていた。
母の声の背後でカラスのけたたましい鳴き声がしていた。
はじめはかすかに、そしてそれは群れの声として高なってきた。

「お母さん、カラスの鳴き声がするけど……」
「そんなことはない。
いま仏間で電話にでているのだから……。
カラスの鳴き声がはいることなぞあるわけがない。
不吉なことをいっていないで、早く帰ってきてくれないかね」    

わたしはおもわず受話器をとりおとした。

耳もとでカラスの邪悪な鳴き声は高なるいっぽうだ。

ヤッラは勝ち誇っている。
わたしをさそっている。
かえっておいで。
かえっておいで。
むかしのように遊ぼう!!
ショウタロウクン。ショウチャン遊びましょう。

わたしは家の裏の墓地にいた。
なぜか、カラスの声は人の声だった。
いっていることがよくわかった。
さそわれている。
わたしと遊ぼう。
あそぼうよねぇ。
いいでしょう。
わたし翔太郎のことすきよ。
その場所まで――決して遊びにいってはダメですからね。
と母にいいつけられていた墓地の奥が森に連なる辺り。
墓石や巨大な一枚岩のような墓碑銘がまばらとなる《境界》に足を踏みいれていた。
地面がじめじめしていた。
低い低木地帯で羊歯が生い茂っていた。

後年、自己分析してみた。
あれはカラスではなかった。
黒い――はじめて、いままでには、見たことのないぬものを見た。
見てはいけないものを垣間見た自責から、
そのものをカラスの黒い姿におきかえたのだろう。
でなかったら、カラスがわたしを誘惑するはずがない。
あれは女陰をふちどる黒々と多毛な陰毛だった。
黒いかげりのなかに肉色の割れ目があった。
カラスが嘴をひらいて喉の奥までみせてわたしを誘うために鳴いた。
翔ちゃん、アソビマショウ。アソビマショウ。
その境界のさきは森が、森はずっと日光の山岳地帯までつづいていた。
その向こう側は安達が原の鬼ババァの伝説のある東北へとつらなっているのだ。
あれは鬼の娘だったのだろうか。
わたしははじめて性器が猛々しく隆起していた。
カラスの声が高鳴りわたしは精通した。
はじめてめくるめく快感とともに射精していた。


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鹿沼クレーン車事故(3) 麻屋与志夫

2011-04-21 04:35:27 | Weblog
4月21日 木曜日

●鹿沼クレーン車事故で亡くなった関口美花(9)さんのお通夜が営まれていた。
テレビでみていて涙を誘われた。
犠牲者の親族の心の痛みをおもうと、そのムゴサに涙がとまらない。

●むかし、教え子がトラックにバイクで衝突して亡くなったことがあった。
あのときの悲しみをおもいだした。
交通事故死ほどむごいものはない。
家を出た時は、健康体で、なにもなかったのに。
突然の事故で、死んでしまう。
あまりにむごすぎる。

●「御成橋のソバで、
クレーン車であの人は、
事故を起こしていたの。
それで事故にあったセンパイは陸上できなくなって、
止めちゃったの」これは生の声だ。塾生のMちゃんからきいたはなしだ。

●3年前のはなしだそうだ。
陸上選手になることを夢見ていた児童の希望が消えた。
事故は被害者の人生をおおきくかえてしまう。
あの時、
事故に会わなかったらと、
遠い未来の記憶の中で、
いや一生涯トラウマとして残ることだろう。

●人身事故の多い街だ。
車を運転するひとりひとりには、最大の注意が必要だ。

●きょうも買い物に出かけるのだが、
横断歩道で待っていても誰もとまってくれないだろうな。
車のきれめを辛抱強く待たなければならないだろう。


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