ササは見る間に岩肌を登っていく。煙の出ている穴にするりと身を滑り込ませていった。鬼吉は祈るような視線を残して入り口に向かう。
ササは頭を下にして慎重に煙り穴を下りる。目をしばしばさせながら、室内をそっとのぞき込む。いろりには鍋がさげられて、湯がわいているようだった。ぱちぱちと燃えている木がはぜる音が室内に響いている。
二つ鬼は室内にいた。
だが、不思議なことに壁に背をぴたりとつけて廊下から身を隠している。
(いつも何かに警戒している暮らしが普通なのかしら。恐ろしい奴だ) ササはそう思った。
ササは頭を下にして慎重に煙り穴を下りる。目をしばしばさせながら、室内をそっとのぞき込む。いろりには鍋がさげられて、湯がわいているようだった。ぱちぱちと燃えている木がはぜる音が室内に響いている。
二つ鬼は室内にいた。
だが、不思議なことに壁に背をぴたりとつけて廊下から身を隠している。
(いつも何かに警戒している暮らしが普通なのかしら。恐ろしい奴だ) ササはそう思った。