鬼吉は別れる前にササに伝えていた。
「ササのタイミングで囲炉裏の鍋をひっくり返してくれ」
二つ鬼は入り口に忍び寄る鬼吉の気配にすでに気付いているようだった。壁から背を離し、一歩、二歩と歩み出している。
ササは音も無く、床に降り立つ。
鬼吉がすぐそばにいるだろう入り口に二つ鬼が到達するまであと二歩。ササは床に転がっていた置物を、鍋めがけて蹴り込む。
瞬間、ひっくり返った鍋から湯が囲炉裏にぶちまけられる。もうもうと煙があがった。二つ鬼が鬼の形相で振り返る。煙の中にいる自分の姿がばれているようにササは感じた。恐怖でその場から一歩も動けない。
「ササのタイミングで囲炉裏の鍋をひっくり返してくれ」
二つ鬼は入り口に忍び寄る鬼吉の気配にすでに気付いているようだった。壁から背を離し、一歩、二歩と歩み出している。
ササは音も無く、床に降り立つ。
鬼吉がすぐそばにいるだろう入り口に二つ鬼が到達するまであと二歩。ササは床に転がっていた置物を、鍋めがけて蹴り込む。
瞬間、ひっくり返った鍋から湯が囲炉裏にぶちまけられる。もうもうと煙があがった。二つ鬼が鬼の形相で振り返る。煙の中にいる自分の姿がばれているようにササは感じた。恐怖でその場から一歩も動けない。