今度の芝居は…初の再演です。
今から10年前の…お芝居です。
僕は…前回と同じ役を演じます。
同じ役ですから…同じ衣装をと思います。
そして大きくなった身体を…締めてみます。
やはり衣装が合わなくなった…僕の身体です。
いよいよ来月…本番です。
しかし遅々として…戻りません。
そこでズボンを…改良する事にします。
街の…仕立直し屋さんに行きます。
店には…おばあちゃんが一人です。
凄く小さな…可愛おばあちゃんです。
ズボンを見て…おばあちゃんは言います。
「これ詰めるんですかね」?」と…聞きます。
『いや…伸ばして頂きたいたいです』と僕です。
「これだけしか…伸びません」
「これだけで…良いですかね」
「これしか…できないんです」
技術の話が…続きます。
全てを快諾し…お願いした僕です。
すると話を終える…おばあちゃんです。
慌てて…仕上り日を聞きます。
急いで…値段を聞き払います。
吃驚して…領収書を頂きます。
おばあちゃんは…仕事に戻ります。
僕のズボンは…そこに置きっ放しです。
そして僕の存在など…全くないようです。
腕は確かな…おばあちゃんのようです。
他の事は関係ない…おばあちゃんのようです。
多分僕のズボンを忘れた…おばあちゃんのようです。
果たして僕のズボンは…
伸びているか?詰まっているか?
楽しみです!