畑沢祭りがあった4月15日、熊野神社で聞いてみました。
「この貝 見だごどあっべが」と言って、ある地域で拾ったマツカサガイの貝殻を差し出しました。
すぐさま、「スズラガイだな。んだげど、今は見だごどなえな」
しかも、「ドブガイなどと比べて泥臭くなくて、食べやすかった」そうです。
その人は私よりも若い方です。むむ、「畑沢を遊び切っていない」ことを後悔しました。私は、学校帰りの道草王・野生児としてはまだまだ、未熟だったようです。
昨日、九日町の出身者とお話しする機会があり、このことが話題になりました。その方も知っていました。三日町と九日町を流れる川に生息していたそうです。スズラガイの「スズ」は、清水または湧水を意味し、スズラガイとは、そのような綺麗な川の小さな砂利混じりの砂地に棲んでいる貝だというのだそうです。きれいな水に棲んでいるので、泥臭くないのです。どうも常盤地区には広く生息していたものかもしれません。今は、尾花沢市内でも珍しく、ある地域にだけ生息しています。
実は、もう一つ幻になった二枚貝があります。このことは熊野神社に集まった方々も御存じないようでした。かなり稀にしか見つからなかったようです。私の父が生存中に話してくれたことがあります。「昔は、田んぼで、こだな貝へ見だごどあっけ」というのです。手は約30cmを表現していました。また、上畑沢の人から、「小っちゃい時に、荒町の人が、『畑沢にはおっきいカラスガイいるんだどなあ』と言ってだけ」との話を聞いていましたので、常盤地区の中では畑沢に特産していたのかもしれません。この貝は全国的に絶滅しかけており、県内では10年ほど前に村山市内からの報告があっただけです。しかし、県内内陸部にまだ密かに生息していて、その地域の人達によって大事に守られています。畑沢でも守ってやれれば良かったのですが、残念です。
これらの貝がいなくなったのは、1960年代からの大量な農薬使用、水路のコンクリート化、機械による耕運、水質の悪化等々が原因なのでしょうか。また、貝の幼生期に寄生すべき魚もいなくなったこともあります。幸い、農薬使用が変化し、生き物が少しずつ戻っていますので、この幻の二枚貝も復活させたいですね。皆さんのお力をお貸しください。
上のスケッチは、海辺の沼で40年以上も前に採集したときのもので、写真は尾花沢市内のある小川で撮影したものです。
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