時々雑録

ペース落ちてます。ぼちぼちと更新するので、気が向いたらどうぞ。
いちおう、音声学のことが中心のはず。

大成功!

2006年04月16日 | Indiana大学
この学期中、応用言語学科のYoosunさん、という韓国人学生の被験者になりました。「第二言語習得」の授業の研究プロジェクトで、私の英語を調べます。私はたまたま知り合いの日本人の方の仲介で彼女と知り合い、最終回の今日まで5回、それぞれおよそ2時間ほどのセッションに付き合いました。

質問に答えて話す、絵を見て場面を説明する、DVDの内容を見て日本の文化を話す、Webページを見ながら日本の観光案内をする、などなど、さまざまな手法を使って、私の英語の「誤用」を引き出そうとしていました。で、今日、すべてのセッションを終えたあと、彼女はDebriefing(実験時に隠していた真の狙いの説明)をしてくれました。

まず「あなたは言語学科の院生だから、本当の狙いが分かってしまうのではと心配だったんだけど、何だと思った?」と聞かれたので、「テンスやアスペクトだと思った」と答えました。理由も聞かれたので「さまざまな、とくに時系列で展開する場面の説明を求められたから」と。そうではないかとうすうす思っていたのですが、彼女の研究の邪魔にならないようにできる限り意識しないように、ともあれ内容に集中するようにしていた、と説明しました。

いつものとおり、ニコニコしながら黙って聞いていた彼女は大喜び。実は、私の予想は「大ハズレ」。彼女の真の狙いは「複数形」でした。

今日のセッションの初め、私は単なる雑談と情報提供のつもりで、こんな話をしました。「いっしょに音声学の実験をしているクラスメートと文書を交換して気づいたんだけど、私は単数・複数の一致がだめらしい。いつも直されるんですよー。私はどうやら、時間表現より、そっちが苦手らしいですよ。参考になれば・・・」

彼女はそれを聞いて、「バレたか?」と内心ヒヤヒヤしてたそうですが、当の本人がそうとは全く気づいてなかったことを最後に確認。真の意図が気づかれないまま最後のセッションを終えたわけで、プロジェクトは大成功! 完璧にだまされたこっちは言語学者の端くれとしてなんだかトホホですが、お役に立てたようです。

実験に参加・協力してくれる人を見つける難しさは経験しているし、そもそもどの分野にせよ人の実験を見られるのはとても勉強になるので、二つ返事で引き受けたのですが、「ワタシはこうだまされた」という経験も含め、とても勉強になりました。彼女も逆に、われわれの音声学の実験のために、不足している全羅道方言の話者(なぜか少ない)も紹介してくれたし、いいことばかりでした。

とくに写真はないので、帰りに10thストリートマーケットでこっそり撮ってきた写真を。カタカナで「ミクスドシリアルのクラッカー」と書いてありますが・・・ 本当に日本人に買ってもらおうと思ってるのでしょうか。