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PAP-JAPAN代表、川井眞理のお仕事(以外もてんこ盛り)日誌

ホテルでの福祉就職フェアに違和感

2008-07-19 | 仕事
偶然見つけた某有名ホテルで開催された老人介護関連の福祉就職フェア。
まだ老人介護そのものへの興味が失せたわけではないので、のこのこと覗きに行った私である。
運よくいい仕事が見つかるかもしれないし、と内心甘い期待もしながら…。

この業界の3Kぶりはマスコミ等で連日騒がれているのでここでは書かないが、一方で福祉界のスタッフ獲得をめぐる動きに興味があったのも確か。

が、土曜の午後というのに会場に人はまばら。
地域限定というマイナーさもあろうが(参加したのはいわゆる゛文化度゛の高い地域が中心)、各ブースとも長机に2名いた施設担当者がヒマを持て余してるようだった。

会場入り口でペットボトルのお茶を貰ったのだが、会場費(出店費)およびこの景品だけでも完全に赤字になったのではないかと心配になるほど。

肝心の求人は、看護師以外では9割5分以上が特養の介護職だった。
歴史の長い福祉の世界は教育界同様、資格が物を言う。
上級資格があればよし、そうでなければ選べる職種は限定されてしまう。
この私も後者にしっかり区分されるため、早々に会場を退出したのだった。

しかしなあ…。
4交代制で肉体的にも精神的にも激務をこなすにもかかわらず、正社員でも介護職の給料はほとんどが基本給17万円弱~、よくて20万円強と本当に安い。(稀に23万超がある程度。こういうところは仕事も多分゛超激務゛だろうと想像。)
平均18万円から19万円というところか。

現場や政府が何と言い逃れしようとも、介護保険内でスタッフの給料をまかなおうという発想自体がそもそも根本的に間違っているとしか思わない私だが(超高齢社会にあって日本人に介護されたいと望むなら相応の負担は覚悟すべきである。他人の人生を安く買い叩き、自分はイイ目にあいたいという考えは下品だ。)、その上業界でのキャリアアップの道も整備されていないとなったら、離職率が他業界を圧倒して2割もあるというのもむべなるかな。

実は密かに職務経歴書を持参していた私だが、こんなものを出した日には施設側から「あなたのようなウルサそうな人は要りません」と一発で拒絶されたことだろう。(苦笑)

当日、ホテルのフェア入り口付近にはパール加工したいかにも高価そうなレザージャケットにネックレスをつけたマネキンのボディがいくつか並んでいたのだが、売り物はそのアクセサリーだったらしく、年配女性のグループが品定めを楽しんでいた。

聞くともなく店員さんとのやり取りを聞いていると、何とカジュアルネックレス1本が17万円ほどかもっとするのだった。
さすがホテル!

片や基本給17万円の汚れ(現場)仕事の世界。
片や有閑マダムたちが17万円のネックレスを品定めするきらびやかな世界。
ホテルは(仕事柄仕方がないとはいえ)偶然、残酷な二極世界の現実を見せつけていたのだった。

福祉職のお見合い会場に、経験の浅い人が就職後のイメージを誤って認識してしまいそうなホテルを選ぶのは間違いである――というのが今回、私が確信をもったことの一つ。
その場が華やかであればあるほど、実務についてからの後悔とのギャップが大きいのではないかと思う。

そんなわけで就職に関する収穫はゼロだったが、会場で資料を販売していたユニークな女性グループと知合った。
今後、意見交換するとかなりの刺激が貰えそう。

結局のところ、そこにいる(働く)人が面白くなければ(興味深い人物でなければ)どんなに組織が有名だったり人気だったりしても意味がないなと実感した次第。
あ、これは私限定の判断基準であるからして、念のためお断りしておく。