Hei!(「ヘイ」って読んで「やあ」って意味)~義務教育世界一の秘密

義務教育世界一の国の教師養成の実態を探る旅。フィンランドの魅力もリポート!その他,教育のこと気にとめた風景など徒然に。

そったくどうじ

2012年05月16日 | 教育・研究・ひとの育ち
「そったくどうじ」とは何か。

「口卒」(くちへんにそつ):そっ
「啄」:たく
「同」:どう
「時」:じ

卵から雛鳥が孵ろうとするとき,雛鳥は卵の内側からくちばしで殻をつつき音をたてて殻を破ろうとする。これが「口卒」。

時を同じく場所を同じくして,親鳥が卵の外側からくちばしで殻をつつき,ついばんで破ろうとする。これが「啄」。

口卒啄同時とは,その「口卒」と「啄」が同時に行われることを言う。禅の教えの一つだ。

法話「口卒啄同時」

ご承知のように,「口卒」と「啄」が同時に行われて初めて,卵から雛鳥が生まれる。生命が誕生する。

雛鳥は決して自分一人の力だけで生まれることはできない。卵の外側から力を添えてくれる親鳥の扶けがあってこそ生まれる生命。そのタイミングがずれても,つつく箇所がずれても,雛鳥は生まれることができない。一つの生命の誕生は,取り巻くさまざまな環境や条件の整備によって可能になることを理解させてくれる。

転じて人間ではどうか。

子どもたちの行動を見ていると,彼らが今まさに次の段階に生まれ変わることができるであろう,さまざまなチャンスに囲まれていることに気づく。子どもたちは常に,今の殻を破ろうと自分の殻の内側をつついている。雛鳥と同じだ。

人の成長とは,常に殻を破り続けて自分自身を更新すること。人も雛鳥と同じように一人では殻を破ることができないからこそ,その時その瞬間の親の関わり,大人の関わりによって,子どもが次の段階に成長する機会を得たり,逆にその機会を失ったりする。親鳥の役割を果たす人が問われている。

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