Piano Music Japan

シューベルトピアノ曲がメインのブログ(のはず)。ピアニスト=佐伯周子 演奏会の紹介や、数々のシューベルト他の演奏会紹介等

続 「美しき水車小屋の娘」の調性構造について(No.2081)

2012-07-08 23:34:45 | 作曲家・シューベルト(1797-1828
 昨日号の続きである。

 シューベルトは「曲の依頼者 = シェーンシュタイン男爵」向けに7曲の楽譜を(現代まで)残した。おそらく全20曲あったのが、シェーンシュタイン男爵死後に「記念」とか「遺産相続」とかで、7曲まで減ってしまったのだろう。「価値あり!」でオークションに掛けられたりしただろうし(爆涙


「シェーンシュタイン男爵用移調楽譜」には大きな特徴がある。

シェーンシュタイン男爵の最高音 = 2点F に最高音を合わせた「移調楽譜」


 隣り合う曲の「曲間の調性」には全く考慮が為されていない! 多くのバリトン歌手が気にする「曲間調性」は全く気にしていない><


シューベルトにとって「最も大切」だったのは、「曲の調性上の色」だった!


 この視点がこれまで見落とされている。実はこれを最初に(小さな声で)告げたのは、フィッシャー=ディースカウ だった。ただ、その フィッシャー=ディースカウ が「引退」を1年伸ばしてまでも「後世に是が非でも伝えたい!」と願った曲は意外にも(「冬の旅」ではなく)「美しき水車小屋の娘」だった。この辺りの微妙なことは「フィッシャー=ディースカウ研究家」に任せたい。


 「美しき水車小屋の娘」は、極めて「調性支配」が強い曲集である。例えば

イ短調 = 第5曲「仕事を終えた宵の集いで」は、ピアノソナタ イ短調D537 & D784 の世界


である。
 シャープ記号が5つも付いた「ロ長調」の第6曲「知りたがる男」&第17曲「邪悪な色」については

ロ長調ソナタ = D575 の色彩感がそのまま直裁的の出ている


だ!
 シューベルトは「これまでの経験の集積」を「美しき水車小屋の娘」に集めた。ただ1つ問題あったのは、楽譜出版商の ライデスドルフ の「販売力の無さ」だけだった。


「美しき水車小屋の娘」は「冬の旅」を越す「調性適合」の曲がある


 この事実だけは伝えて置かなければならない。

7月11日 佐藤雄太 + 佐伯周子 「シューベルト:美しき水車小屋の娘」全曲演奏会 は全て原調で歌われる!


 期待して欲しい。
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