「伊福部昭オーケストラ音楽のスケールの大きさ」を音で実感させた 広上淳一 X 東京交響楽団
幸運にも「生前の伊福部昭」と面識があった私高本は、いろいろなお話を聞かせて頂いたモノだ。その中にバレエ曲について語って下さった曲が3曲あり、内2曲がこの日のプログラム「プロメテの火」「鹿踊り(← 伊福部昭はこちらの曲名で語ってくれた)」である。(もう1曲はピアノ伴奏舞踏曲「イコザイダー」で、「プロメテの火」「鹿踊り」の方が遥かに良い、とのことだった。)
資料を読むと、他にも舞踏曲(バレエ曲)は多数存在するのだが、特にお話にはならなかったので、思い入れの深い2曲は、いつか機会があれば、是非是非聴きたい! と兼ね兼ね思っていた。すると
「プロメテの火」「鹿踊り」両曲の初演オーケストラ = 東京交響楽団 が、屈指の伊福部指揮者 = 広上淳一 を招いて一挙演奏!
ではないか!! 定期会員の特権を生かして、発売初日に「好みの座席」をgetして、この日を迎えた次第である。
演奏会を聴き終えてすぐには批評を書けなかったのには(私高本なりに)理由がある。
- 「鹿踊り」で上映された映像と、広上淳一指揮音楽の終了がかなり大巾にずれたこと。
- 「バレエ音楽は、芸術音楽の分野」と生前私高本に語ってくれたが、当時見付けていた文献資料を探し出すのに時間が掛かったこと
の2点である。2点目は「資料整理の悪さ」が原因。日頃の行いの報いか?
昨日やっと発掘した。
「鹿踊り」で上映された映像と、広上淳一指揮音楽の終了がかなり大巾にずれたこと、については、東京交響楽団に演奏会終了後にお伺いした。回答は
演奏会時に放映した画像は2011.05.15の「宮操子三回忌メモリアル」公演の実写であり、『1950年初演当時の 上田仁 X 東京交響楽団 オープンリール録音』に合わせた舞踏、本公演のテンポは 広上淳一 の解釈の通り
であった。なるほど! 納得。
「上田仁 と 広上淳一 の解釈の差」だけでなく、「1950年当時の多目的ホールの乾いた音響空間 と 川崎ミューザの豊かな音響空間の差」も大きい
2点目は「タプカーラの彼方へ(木部与巴仁 著)」だった。この本は、アマゾンでも購入できない状態なので、「幻の著書」なのかも知れない。著者は、2013.06.01演奏会にも、極めて目立つ服装で来場していたが。
半世紀以上前に「新たな芸術」を創作して行った 伊福部昭、江口隆哉、上田仁、東京交響楽団
には、敬意を表すばかりである。その日(新作初日)があって、今がある。ありがたい限りである。(続編に続く)