ソロは素晴らしかったが、重唱が全く映えなかった 原語フランス語日本初演 新国立劇場ロッシーニ「ウィリアム・テル」
招聘3名の主役ソロは素晴らしく「ブラヴォーの嵐」となったが、重唱(合唱付きを含む)が全く冴えず、カーテンコールも「並み」で、2回で拍手が完全に鳴り止んだ。
- 招聘3名=ミシュケタ(ウィリアム・テル)、ベルバラ(アルノルド)、ペレチャッコ(マティルド)は全員新国立劇場で実績あり
- 合唱団はベスト
- 指揮=芸術監督=大野和士
- 演出は新国立劇場「夜鳴きウグイス/イオランタ」で実績あるコッコス
と言う万全の配置だったのだが、
重唱が「最高声部だけ目立つ」曲ばかりで、全く冴えない
が延々と続く。初めは、「大野和士の指揮が原因?」と思っていたのだが、どうも違う。「セビリアの理髪師」重唱では、低音パートがアジリタで、どんどん盛り上げて行くのだが、「ウィリアム・テル」重唱低音パートは「和音の支え」なのである。う~ん、これでは指揮者が誰でも盛り上げられない曲と感じる。プログラムノートには
- オペラセリア「ウィリアム・テル」はオペラブッファ「セビリアの理髪師」と並ぶ代表作 表記
- 「ウィリアム・テル」上演は日本だけでなく、世界的に極めて少ない
が併記されているが、「ウィリアム・テルは曲の魅力が少ない」の記述は一切無い。(通常無い)
1815年作曲「セビリアの理髪師」はイタリアだけでなく、ロンドン・パリ・ウィーン・ニューヨークで大ヒットした旨、記載されているが、その後のオペラセリアは、「世界中に広がった」記載が無い。
重唱がこれだけ魅力無ければ、人気出ないだろう。
全5公演S券余裕あり=「ウィリアム・テル」は人気無いので、再演はしない → 大道具&衣装は即廃棄 して欲しい
上演時間4時間40分の ロッシーニ「ウィリアム・テル」。ワーグナー「ニーベルングの指輪 4部作」など、これ以上の時間を食う大作は存在するが、ロッシーニ「ウィリアム・テル」よりも演奏頻度は2桁以上に高い。
原因は「曲の魅力」である
重唱が全く魅力無いだけでなく、ソプラノ=マティルド役に唯一与えられたアジリタ も「セビリアの理髪師」よりも聴き応えが無いのである。ペレチャッコの演奏が悪いのでは無い。曲が魅力無いのである。「効果が無い」のである。
コッコス演出は「ブーイング」vs.「ブラヴォー」拮抗
上下の対比は素晴らしい コッコス演出だが、「反射板が皆無」で音響的には「聴こえ難い」。後ろで歌うと聴こえないのである。「後ろ」と言うか「真ん中」辺りで聴こえないのである。「ブーイングが出て当たり前」である。