明治末の国策冤罪「大逆事件」から百年目。1月24日25日は死刑執行された日(同じ絞首台で次々と)
◆「大逆事件」についてとても詳しいサイトをみつけたのでその紹介と、数年前にブログに書いた記事をアップしたい。
そのサイト「アナキズム文献センター」はー
http://cira-japana.net/home/index.php"
伊勢へ行くと、お土産は秋刀魚寿司と決めてる。
三重県熊野沖のは、故郷北海道から南下してきてすっかり脂の抜け落ちた秋刀魚の終焉の海。
でも今年は、秋刀魚・鰹・マグロ等の回遊魚は我慢した方がいいのかもしれな。
紀伊半島南端は、反骨の文学者佐藤春夫や中上健次や、粘菌を研究してた昭和天皇が教えを乞いにきた時も素っ裸だったという・・日本一のスケールの大きい民俗学者南方熊楠のふるさと。
彼らに共通するのは、反権力と、一切の虚飾がない点ではと思う。
まるで秋刀魚寿司みたいな明治末の国策冤罪事件「大逆事件」の時19歳の慶大生だった佐藤春夫の詩はー
大石誠之助は殺されたり 佐藤春夫
げに厳粛なる多数者の規約を
裏切る者は殺されるべきかな
死を賭して遊戯を思い
民族の歴史を知らず
日本人ならざる者
愚なる者は殺されたり
「偽より出でし真実なり」と
絞首台上の一語その愚を極む
われの郷里は紀州新宮
かれの郷里もわれの町
聞く、かれの郷里にして、われが郷里なる
紀州新宮の町は驚愕せりと
うべさかしかる商人の町は歎(なげ)かん
町民は慎めよ
教師等は国の歴史を更にまた説けよ
秋刀魚の歌 佐藤春夫
あはれ ・
秋風よ ・
情(こころ)あらば伝へてよ ・
――男ありて ・
今日の夕餉に ひとり ・
さんまを食(くら)ひて ・
思ひにふける と。 ・
さんま、さんま ・
そが上に青き蜜柑の酸(す)をしたたらせて ・
さんまを食ふはその男がふる里のならひなり。 ・
そのならひをあやしみなつかしみて女は ・
いくたびか青き蜜柑をもぎて夕餉にむかひけむ。 ・
あはれ、人に捨てられんとする人妻と ・
妻にそむかれたる男と食卓にむかへば、 ・
愛うすき父を持ちし女の児は ・
小さき箸をあやつりなやみつつ ・
父ならぬ男にさんまの腸(はら)をくれむと言ふにあらずや。 ・
あはれ ・
秋風よ ・
汝(なれ)こそは見つらめ ・
世のつねならぬかの団欒(まどゐ)を。 ・
いかに ・
秋風よ ・
いとせめて ・
証しせよ かの一ときの団欒(まどゐ)ゆめに非ずと。 ・
あはれ ・
秋風よ ・
情あらば伝へてよ、 ・
夫を失はざりし妻と ・
父を失はざりし幼児とに伝へてよ ・
――男ありて ・
今日の夕餉に ひとり ・
さんまを食ひて ・
涙をながす と。 ・
さんま、さんま、 ・
さんま苦いか塩(しよ)つぱいか。 ・
そが上に熱き涙をしたたらせて ・
さんまを食ふはいづこの里のならひぞや。 ・
あはれ ・
げにそは問はまほしくをかし。
◆以下の手紙を書いた翌日、菅野すがは紫の三紋付きの羽織を着、縊られた時に髪が解けないように紐を結んでただ一人絞首台に上った(他の男たちは前日同じ絞首台で約30分毎に絞首刑)。「われ主義のために死す、万歳」と叫んだ。午前八時二十八分絶命、二十九歳だった。
「明治44年1月18日の菅野すがの手記」
ーああ、気の毒な友よ。同志よ。
彼等の大半は私共五、六人の為に、この不幸な巻き添えにせられたのである。
私どもと交際して居ったが為に、この驚くべき犠牲に供せられたのである。
無政府主義者であった為に死の淵に投げこまれたのである。
ああ、気の毒な友よ。同志よ。
ああ、神聖な裁判よ。公平な裁判よ。日本政府よ。東洋の文明国よ。
行え、従ままの暴虐を。
為せ、無法なる残虐を。
◆「大逆事件」についてとても詳しいサイトをみつけたのでその紹介と、数年前にブログに書いた記事をアップしたい。
そのサイト「アナキズム文献センター」はー
http://cira-japana.net/home/index.php"
伊勢へ行くと、お土産は秋刀魚寿司と決めてる。
三重県熊野沖のは、故郷北海道から南下してきてすっかり脂の抜け落ちた秋刀魚の終焉の海。
でも今年は、秋刀魚・鰹・マグロ等の回遊魚は我慢した方がいいのかもしれな。
紀伊半島南端は、反骨の文学者佐藤春夫や中上健次や、粘菌を研究してた昭和天皇が教えを乞いにきた時も素っ裸だったという・・日本一のスケールの大きい民俗学者南方熊楠のふるさと。
彼らに共通するのは、反権力と、一切の虚飾がない点ではと思う。
まるで秋刀魚寿司みたいな明治末の国策冤罪事件「大逆事件」の時19歳の慶大生だった佐藤春夫の詩はー
大石誠之助は殺されたり 佐藤春夫
げに厳粛なる多数者の規約を
裏切る者は殺されるべきかな
死を賭して遊戯を思い
民族の歴史を知らず
日本人ならざる者
愚なる者は殺されたり
「偽より出でし真実なり」と
絞首台上の一語その愚を極む
われの郷里は紀州新宮
かれの郷里もわれの町
聞く、かれの郷里にして、われが郷里なる
紀州新宮の町は驚愕せりと
うべさかしかる商人の町は歎(なげ)かん
町民は慎めよ
教師等は国の歴史を更にまた説けよ
秋刀魚の歌 佐藤春夫
あはれ ・
秋風よ ・
情(こころ)あらば伝へてよ ・
――男ありて ・
今日の夕餉に ひとり ・
さんまを食(くら)ひて ・
思ひにふける と。 ・
さんま、さんま ・
そが上に青き蜜柑の酸(す)をしたたらせて ・
さんまを食ふはその男がふる里のならひなり。 ・
そのならひをあやしみなつかしみて女は ・
いくたびか青き蜜柑をもぎて夕餉にむかひけむ。 ・
あはれ、人に捨てられんとする人妻と ・
妻にそむかれたる男と食卓にむかへば、 ・
愛うすき父を持ちし女の児は ・
小さき箸をあやつりなやみつつ ・
父ならぬ男にさんまの腸(はら)をくれむと言ふにあらずや。 ・
あはれ ・
秋風よ ・
汝(なれ)こそは見つらめ ・
世のつねならぬかの団欒(まどゐ)を。 ・
いかに ・
秋風よ ・
いとせめて ・
証しせよ かの一ときの団欒(まどゐ)ゆめに非ずと。 ・
あはれ ・
秋風よ ・
情あらば伝へてよ、 ・
夫を失はざりし妻と ・
父を失はざりし幼児とに伝へてよ ・
――男ありて ・
今日の夕餉に ひとり ・
さんまを食ひて ・
涙をながす と。 ・
さんま、さんま、 ・
さんま苦いか塩(しよ)つぱいか。 ・
そが上に熱き涙をしたたらせて ・
さんまを食ふはいづこの里のならひぞや。 ・
あはれ ・
げにそは問はまほしくをかし。
◆以下の手紙を書いた翌日、菅野すがは紫の三紋付きの羽織を着、縊られた時に髪が解けないように紐を結んでただ一人絞首台に上った(他の男たちは前日同じ絞首台で約30分毎に絞首刑)。「われ主義のために死す、万歳」と叫んだ。午前八時二十八分絶命、二十九歳だった。
「明治44年1月18日の菅野すがの手記」
ーああ、気の毒な友よ。同志よ。
彼等の大半は私共五、六人の為に、この不幸な巻き添えにせられたのである。
私どもと交際して居ったが為に、この驚くべき犠牲に供せられたのである。
無政府主義者であった為に死の淵に投げこまれたのである。
ああ、気の毒な友よ。同志よ。
ああ、神聖な裁判よ。公平な裁判よ。日本政府よ。東洋の文明国よ。
行え、従ままの暴虐を。
為せ、無法なる残虐を。