詩人PIKKIのひとこと日記&詩

すっかりブログを放任中だった。
詩と辛らつ日記を・・

君住む町

2020年01月07日 | 
君が住む町は僕もまた住んでいる町
人口が三万のなんの変哲もない町だけど
すぐそばに山が迫った
四季の自然が美しい町

毎年毎年この町の住民と同じ人々が
自殺で亡くなってゆくのだという

日本人には政治嫌いや歴史嫌いが多いけど
政治とはなにかといえば
税金の再分配の事ではないかと思う

いつの時代もいつの社会も
そしてますます弱肉強食の市場原理のために
経済格差や差別が増すばかりを修正するための

歴史とは
そのための智恵を得るための最適の題材だ

ぼくらは奴隷や家畜とは違う
誰もが税金を収める納税者であり
その未来がどうなるかを決める税金の使い道に
物申すべき義務と責任がある

  まるでこの列車は

2020年01月07日 | 
この列車は
地獄行きの列車かなと
ふっと目覚める真昼の車窓

ガタンと揺れるたびに
時給千円の十数時間の仕事で
くたくたに疲れ切った身体が
座席から放り出されそうになる

快速や特急を待っている
列車のドアからは
腋臭のような都会の熱風

各駅停車のガラガラの真昼の列車に
どこからか流れてくるレゲエと
高校生カップルのひそひそ声

まるでこの列車は
地獄から生還してきた列車かなと
見上げたらまうえに真昼の半月

砂の城の残骸

2020年01月07日 | 
初めて海をみた日の感動を
いまでも ありありと思いだす
転校したての十歳の頃
誰ひとり友達ができなかった

寝ぼけた朝の顔を
波に浸しては
じゃぶじゃぶ洗った

遠い沖の鴎だけが友だちで
大きすぎる海と荒々しい波に
負けてたまるかと
懸命で作った砂の城

いつのまにか日が暮れ
海鳥たちはねぐらへ
何度も作り直しては壊された
砂の城の残骸の傍らに立ち尽くす十歳のぼく

故郷の海と波だけが知っているのは
いまでも変わらないぼくの性格
記憶のなかにありあり聳えてるのは
ぼくのもろすぎた砂の城

いまも昔も奴隷たちの国で
唇を噛みしめながら生きてきたし
これからも死ぬまで
砂の城の残骸とともに生きていく