シャープの大型液晶テレビが今、中国で”爆売れ”していると東洋経済が報じていた。
1月31日に発表された2017年度第3四半期(4~12月)決算では、「シャープ復活」への順調な進捗を裏付ける好調な業績数値が飛び出した。売上高は前年同期比で22%増の1兆8294億円、販売増に加えてコストダウンも効き、営業利益は同約4倍の7030億円となった。
中国ではテレビ販売が倍以上の伸び
中でも、全体を牽引したのは中国市場での売れ行きだ。調査会社IHSマークイットの調査によれば、中国市場におけるシャープの薄型テレビの販売は、2017年4~6月で前年同期比約250%、直近の10~12月期でも同140%(台数ベース)伸びている。しかも、2016年まではマイナス成長が続いていたにもかかわらずだ。
現在の中国テレビ市場が活況なのかというと、そうではない。今や世界最大の薄型テレビ市場となった同国だが、その成長は鈍化してきている。2017年10~12月期には、初めて前年同期の出荷台数を下回り、韓国サムスン電子、LeTVやハイセンスといった中国勢は軒並み売り上げを落としている。その中で、シャープのみが爆走し続け、2015年比で足元のシェアは約2倍に伸びている(IHSマークイット調べ)。
中国で何故、爆売できているのか?「(親会社の)鴻海(ホンハイ)グループの営業力を活用した」「販路はオンラインと実店舗の両方ある」という事しかわからない。そもそも、鴻海グループはEMS(電子機器の受託製造サービス)を事業の核とし、B to Cのビジネスに強いわけではないはずだ。
鴻海グループが中国で運営するネット通販(EC)サイトでのキャッチフレーズは、 「限定100台で50インチ4Kテレビが2999元(約5万2000円)」 「液晶パネルは日本で組み立て。60インチ4Kテレビが3299元(約5万7000円)」
シャープ社製の薄型液晶テレビは、日本で販売されているものと同サイズのもので、およそ半値以下。競合の中国、韓国メーカーのオンラインストア上のセール価格と比べ、1万元ほど安い場合もある。サイト情報が書かれたページを見ると、「シャープが傘下に入る鴻海グループのオンラインプラットフォームである」と説明されている。
現在、日本以上にECの普及が進む中国や台湾では、テレビや冷蔵庫などの大型家電もEC経由での販売が絶好調だ。もともと2014年に鴻海グループの従業員向けECサイトとして作られた富連網も、今現在は一般消費者が家電を購入できるサイトの1つだ。
ECと従業員・関係者への販売が大半か
運営するのは、中国の鄭州市に本社を構える富連網有限公司。同社は鴻海精密工業の孫会社に当たる。シャープの有価証券報告書によれば、2016年度における富連網とシャープの取引額は、582億円に上る。富連網はあくまで鴻海の中国子会社であり、中核事業を担うフォックスコン・テクノロジー(富士康科技集団)の販売網における一つのチャネルにすぎない。仮に富連網が安売りで赤字に陥っていたとしても、2016年度に営業利益1749億台湾ドル(約6500億円)をたたき出した巨大な帝国の中では微々たるものだ。結果的にシャープは、自社の利益を何一つ傷つけることなく格安販売を続けることができる。
シャープは、2017年度のテレビ販売台数目標1000万台を掲げている。対前年度比約2倍という一見無謀な計画にも思えたが、「現時点での進捗状況は順調」(野村副社長)。2019年には、鴻海が約1兆5000億円を投じて中国・広州に建設した第10.5世代(2940mm×3370mmのガラス基板を用いた液晶パネル)のディスプレー工場の稼働が始まり、そのパネルを使ったシャープ製の超大型テレビの販売も開始される。
50インチ4Kテレビが5万2千円というのは、量販店の山田電気が、フナイの格安TVをうえりまくっていたが、価格は10万くらいしていた。またドンキホーテの50型4Kテレビは5万4800円だからできない相談ではなさそう。
それにしても鴻海グループはEMS(電子機器の受託製造サービス)が事業で、B to Cのビジネスに強いわけではない。巨額な売り上げから強大な販売網を築きあげたということだろう。日本のメーカー、依然として良いものは必ず売れるという意識が変わっていないから、世界から相手にされない。スマホやPCから撤退する日本のメーカーの言い分は、強大な人口がある中国は中国のメーカーがおさえているから、自分らには無理だというが、人口が日本の半分しかない韓国のサムソンがスマホでは世界一になっている理由を解明すべきでは?